п»ї 「日ASEAN友好協力40年」を振り返る『ASEANの今を読み解く』第5回 | ニュース屋台村

「日ASEAN友好協力40年」を振り返る
『ASEANの今を読み解く』第5回

1月 24日 2014年 国際

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助川成也(すけがわ・せいや)

中央大学経済研究所客員研究員。専門は ASEAN経済統合、自由貿易協定(FTA)。2013年10月までタイ駐在。同年12月に『ASEAN経済共同体と日本』(文眞堂)を出版した。

◆稼ぎ頭に成長したASEAN

2013年は、日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)との対話が始まって40周年を迎えた記念すべき年であった。1年を通じて様々な交流事業が行われたが、安倍首相は「ASEAN外交5原則」を掲げ、この1年でASEAN加盟10カ国を全て歴訪した。「ASEANの年」の総仕上げが12月に東京で行われた日ASEAN特別首脳会議であった。ここでは「日ASEAN友好協力ビジョン・ステートメント」と「地球・地球規模課題に関する共同声明」を発出した。

この40年にわたる友好協力の歴史は、1973年に第1回日・ASEAN対話(合成ゴムフォーラム)に始まる。以降、日本とASEANとは官民合わせて多数の対話のチャネルを持つに至るなど、その関係は確実に深化した。

現在までに、日本の対ASEAN投資は概して雇用の促進や工業化や経済発展につながるものとして歓迎されてきた。一方、日本企業にとってもASAENは「親日国」で「事業が展開しやすい地域」「日本のブランド力が発揮できる地域」と見なされている。

実際、日本企業は製造業を中心に長年にわたり相当の資本を投下し、東南アジア各国の産業・経済発展に貢献してきた。2012年末時点の日本の製造業における対外投資残高は4896億ドルであるが、うちASEANは15.6%(763億ドル)を占める。

しかしそのASEANが今や日系企業にとって「稼ぎ頭」に変わりつつある。経済産業省の海外事業活動基本調査(2011年度実績)によれば、海外製造法人全体の経常利益496億ドル のうち、ASEANで27.5%を占める136億ドルを稼ぎだすまでになっている。しかし、日ASEAN関係がここまで深化するまでに先人達のたゆまぬ努力があったことを忘れてはいけない。

◆40年前にはASEANで反日デモ・暴動も

日ASEAN交流が始まった翌年の1974年、当時の田中角栄首相が東南アジアを歴訪した際、日本製品の洪水的な氾濫(はんらん)や「経済至上主義」とも揶揄(やゆ)され、現地事情を斟酌(しんしゃく)しない企業行動などもあり、歴訪した国々で反日デモが発生した。最後の訪問国インドネシアでは、日本車が次々と焼き打ちに遭い、日本企業の入るビルが投石を受けるなど、まさに数年前に中国で発生した反日暴動が当時のASAENでも発生した。

日本企業はASEAN各国での反日デモ・暴動の要因となった自らの活動を省み、「経済至上主義」の色を薄め、「より現地に根差した事業展開」を志向するようになった。特に、日本に対するASEANの見方が大きく変わったのは、現在も語り継がれる「福田ドクトリン」によるところが大きい。その反日デモ・暴動から3年後の1977年、東南アジアを歴訪した福田赳夫首相は、その最後の訪問地マニラで、「日本は、東南アジア地域との間で、政治・経済のみならず、社会、文化など広範な分野において、心と心の触れあう相互信頼関係の構築を目指す」ことを打ち出した。福田ドクトリンは、長年にわたり日本の対ASEAN政策の柱に据えられた。

◆ASEANは「共に描き、共に生き、共に歩む」パートナーへ

ASEANと日本とが互恵的な発展を志向するには、企業が現地に根差した活動に専念出来るよう、政府も法制度面を含めた投資環境を整備することが急務である。

日ASEAN友好協力40周年を記念し開催された特別首脳会議では、3年越しの交渉を続けてきた日ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)のサービスおよび投資のルールについて、実質合意に達したことが報告された。AJCEPについて、物品貿易は2007年に交渉が妥結したが、サービス・投資分野は引き続き交渉していた。

日本はこれまでカンボジア、ラオス、ミャンマーとの間で二国間経済連携協定(EPA)は締結していない一方、近年、これら国々に対する日本企業の進出機運が高まっており、協定による投資保護やビジネス環境改善が求められていた。

AJCEPのサービス・投資ルールは、これら国々への投資にかかる重要なインフラの役割を果たす。例えば、現状の規制を強化しない「スタンドスティル」や、自由化につながる改正は認めるが、規制の強化は認められない「ラチェット規定」、輸出要求、現地調達要求、技術移転要求など投資家の自由な投資活動を妨げる「特定措置の履行要求禁止」(パフォーマンス要求の禁止)は、投資条件の維持・確保と安定した事業活動には不可欠な要素である。

日本とASEANは40年の節目の首脳会議で「共に描き、共に生き、共に歩む」パートナーと位置付けられた。AJCEPなどに見られる投資環境・条件の整備進展を土台に、日本企業は後発加盟国をどう「稼げるASEAN」に組み込んでいくか、またASEANは日本からの投資をいかに自らの成長につなげていけるか、双方の利害は一致する。今後の10年、ASEANの変化に期待したい。

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