п»ї ほほ笑んでくれない担当官もいる『実録!トラブルシューティング』第9回 | ニュース屋台村

ほほ笑んでくれない担当官もいる
『実録!トラブルシューティング』第9回

4月 24日 2015年 経済

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1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。

今回は、タイで働くための必須条件であるビザ(査証)とワークパーミット(就労許可証)のトラブルについてご紹介します。

まずは、それらの概要を説明します。簡単に言うと、ビザとは「タイに入国・滞在しても良いですよ」という許可で、タイ王国国家警察庁移民局の管轄になります。ワークパーミットは「タイで働いても良いですよ」の許可で、労働省から発給されます。タイで働くためには日本にあるタイ公館でビザを取得した上でタイに入国し、ビザの有効期限である90日以内にワークパーミットを申請・取得するというのが基本的な流れとなります。

◆公館ごとに違う取得手続き

日本のタイ公館でのビザ取得申請時には、タイに既に足を一歩踏み入れているのと同じです。そもそも東京の大使館と、大阪の総領事館および名古屋の名誉総領事館でビザ取得に必要な書類が違っています。「担当官による裁量」というタイ式の最初の“洗礼”です。

東京の大使館ではウェブサイトでの事前予約が必要ですが、大阪の総領事館では不要です。名古屋の名誉総領事館は取得までの時間がかかり、審査が厳しいとの評判もあります。

必要書類のうちの一つであるタイ側からの招聘(しょうへい)状は、新規にタイ法人を設立する場合には、代表者(Authorized Director)である自分が自分を招聘するという形になります。

担当官によっては「自分で自分を招聘するとは何事だ。差し戻し!」と始まります。招聘者を変更して次の日に再申請に出向いたところ、「招聘状の署名者と他の書類の署名者が違う」との指摘。なんとか拝み倒してビザを取得した顧客からは「ほほ笑みの国の担当官はほほ笑んでくれなかった……」と、なんともお上手な感想をいただきました。

無事にB(ビジネス)ビザで入国した際には、リエントリー(再入国)の手続きが欠かせません。ビザというものは一度出国すると失効してしまいます。ワークパーミット取得の前に日本に一時帰国し、Bビザがあるつもりで再入国しても実際はビザ無しの状態でタイに再入国することになり、ワークパーミットの取得手続きが一からやり直しとなります。

リエントリーの手続きは通常、事前に入国管理事務局での申請・取得となりますが、タイから出国する際に空港のカウンターでも手続きできますのでお忘れのないように。ついでですが、駐在員ではなく、「ビザラン」と呼ばれるビザなしでの滞在期間の30日期限内で近隣諸国との出入りを繰り返しタイに長期滞在をする外国人に対しても、最近では入国時の審査がとても厳しくなってきています。日本や近隣諸国などで短期間集中的にアルバイトをし、稼いだ金を持って入国して長期滞在している、俗に「外こもり」と呼ばれる人たちは要注意です。

その他、配偶者ビザで駐在員と同じ日付に入国して、同じタイミングで更新をしてきたはずの奥様のスタンプの日付が違っていたり、ワークパーミットを申請しようとしたら既に操業している会社のビジネスライセンスが未取得だったりと、ビザとワークパーミット関連の手続きではトラブルに事欠きません。「誰かがやっていてくれているだろう」とビザの更新手続きを怠ったために、3年間タイへの入国禁止処分となった例もあります。

◆期限を把握しておく

タイで働いていく上で基本となるビザとワークパーミットですが、このような様々な落とし穴があります。しかも、忙しい駐在員は出入国に関わるスケジュールの調整なども簡単にはいかないことも多いでしょう。とにかくビザ、ワークパーミット、パスポートの期限はしっかり把握しておくことが重要です。

ちなみに、もしも失敗してしまった場合には最後の手段があるようです。弊社としてはあまりお勧めできませんが、知らないうちに被害者になってしまった緊急事態に陥った場合は、「パスポートをなくしてしまった」ことにして、再発行して乗り越えるケースもあるようです。いずれにしましても、普段から複数の情報源からルールの変更や事例などの情報収集をして身を守るのが一番です。

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