п»ї インドネシア 期待したい2015年の新たな展開『東南アジアの座標軸』第3回 | ニュース屋台村

インドネシア 期待したい2015年の新たな展開
『東南アジアの座標軸』第3回

12月 26日 2014年 国際

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宮本昭洋(みやもと・あきひろ)

りそな総合研究所など日本企業3社の顧問。インドネシアのコンサルティングファームの顧問も務め、ジャカルタと日本を行き来。1978年りそな銀行(旧大和銀)入行。87年から4年半、シンガポールに勤務。東南アジア全域の営業を担当。2004年から14年まで、りそなプルダニア銀行(本店ジャカルタ)の社長を務める。

◆与野党のねじれ解消なるか

ジョコ・ウィドド大統領は10月に就任後早々からインドネシアが直面している歳出削減の一環として燃料補助金削減を実施、さらに他省庁に分散している許認可権限を外国企業の投資受け入れ窓口となる投資調整庁への一元化を指示。外国投資の積極的な誘致を図るとともに、インフラ整備へ弾みをつける取り組みなど「仕事優先内閣」にふさわしい動きをしています。

来年から本格化する国会での与野党対決を前に、最大野党ゴルカル党のバクリ党首はバリで開催された党大会で再選されましたが、それに反発する勢力はアグン・ラクソノ氏を担いでジャカルタでの党大会で新たな党首として選出しました。

このため党内分裂の動きが顕著となり、アグン党首の一派が与党連合にくら替えすると与野党のねじれが解消する可能性も出てきました。もちろん、政治の世界の話ですので今後の動きに予断は許さないものの、既得権益に固執するバクリ党首一派と分派した反対勢力が決別する事態に発展すれば、ジョコ大統領の政権運営は現在の不利な状況を一挙に逆転できます。

ジョコ大統領は国民の間で非常に根強い政治への不信感を取り除くために、国民に理解しやすく透明度の高い政策決定プロセスを目指しています。言い換えれば、既得権益にしがみつく政治家と構造改革を目指す政治家との対立軸を浮き彫りにしながら、必要な政策を国民に示し、国民の全面的な後押しで進めようとしています。

野党勢力も次回選挙での復権を目指していますが、国民の目線が大いに気になりますから、政権が提案する政策に反対ばかりしていられません。まずは来年1月からの2015年度補正予算案含めた国会審議の行方が注目されます。

◆大きく揺れ動く経済

米国連邦準備銀行の量的緩和政策の終了宣言と早期の利上げ観測から米国の一段の景気回復が期待される中、欧州や中国の経済状況は芳しくありません。さらに原油価格の下落から資源国ロシアもルーブル安に見舞われ、今後の欧州経済に与える影響が懸念されます。

資源輸出に依存してきたインドネシアも大幅なルピア安に見舞われています。12月16日には、期末のドル買い需要の要因も重なり、1998年のアジア通貨危機以来16年ぶりの安値となる1ドル=12900ルピアをつけ、心理的な抵抗レベルである1ドル=13000ルピアも視野に入りました。ルピアの更なる下落を憂慮するインドネシア中央銀行は、これまで控えていた市場介入を再開していますが、ルピアが反転する兆しはありません。

中央銀行はルピア安を容認して輸出の増加を通じて貿易収支の赤字削減を狙ってきました。しかし、資源商品の国際価格が下落して思うように輸出に寄与できていないことや内需が相変わらず好調のため輸入増加も収まらないことから、これ以上のルピア安を回避したい姿勢です。

また、最近のルピア安の影響でドル建て債務のある国営・民間企業には為替リスク回避のため一定条件下での為替ヘッジを義務付ける規制が来年1月から発効します。タイからインドネシアに伝播(でんば)して国の金融経済を壊滅的な危機に陥れたアジア通貨危機の再燃を心配する声もあります。当時と比べて格段に違うファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)から見てもその懸念はありませんが、金融当局は警戒を怠っていません。

◆厳しさを増す経営環境

ルピア安による輸入原材料のコストアップ、労務費の増加、公共料金の値上げなどで急速に高コスト化が進み、販売価格に転嫁が難しい日本の製造業はここ数年で軒並み収益力が低下し、赤字に転落した企業も多くなりました。

完成車メーカーを頂点にした重層的なピラミッド構造の部品メーカーは悪化する経営環境に苦しんでいます。一方で、好調な内需をターゲットにしている地産地消型ビジネスモデルの飲料、調味料、化粧品などの日系企業の業績は好調で製造業とは対照的です。

この国で日系製造業として生き残っていくには労働集約型から資本集約型のビジネスモデルに転換するか、同業他社との差別化戦略を打ち出すなどの戦略の転換が不可欠です。厳しさを増す経営環境ですので、「日系企業だから信用リスクは問題ない。地場企業の方がはるかにリスクは高い」という見方を変えていく必要があります。

さらに今後は、税収増加を目標に税務署が徴税強化の動きを加速します。ジョコ大統領も選挙公約で東南アジア地域のなかでも最も低い現在の国内総生産(GDP)対比12%の徴税率を16%まで引き上げると約束していますから、日系企業をはじめとする外国企業は税務対策に従来以上に苦労することになりそうです。

投資調整庁によれば、大統領選挙後は様子見していた日本企業からの投資相談の件数も増えてきているようです。投資相談は製造業、非製造業など多岐(たき)にわたっています。

また、最近の新たな傾向として地場企業も事業拡大のため日本企業のパートナーを探して欲しいとのニーズが多く出てきているようです。日本の銀行と地場ネットワークを持つ機関とのコラボにより日本企業とインドネシア企業のビジネスマッチングの機会を提供していけば、ビジネスチャンスも広がります。

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