在庫削減は改善への大きな鍵
『ものづくり一徹本舗』第10回

2月 14日 2014年 経済

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迎洋一郎(むかえ・よういちろう)

1941年生まれ、60年豊田合成入社。95年豊田合成タイランド社長。2000年一栄工業社長。現在中国、タイで工場コンサルタントを務める。自称「ものづくり研究家」。

ある自動車部品の製造会社で、出荷時間になっているのに在庫がゼロで車が出せないと騒いでいた。倉庫の中を見てみると、全体的には有り余るぐらいの在庫量である。しかし、所々の棚は空っぽになっているものもある。

出荷場からそれ以前の加工工程をたどっていくと、工程間には紙箱やプラスチックの容器に前工程から送られてきた半加工製品が山積みされていた。さらに、加工現場に置けない在庫を保管するための仮倉庫を造り、そこにも在庫を持っていた。

どうして、そんなに多くの中間仕掛かり品が必要なのであろうか?

1.機械が、金型が壊れたら大変なことになる
2.不良が多発すると数が不足する
3.作業者が休んだら生産が出来なくなる
4.外注部品の納入遅れが発生したら生産に影響する
5.段取り替えはロスが大きいのでなるべく大ロット生産でムダを少なくしたい
――などと、こうした会社の経営者はあらゆる言い訳をする。

このような考え方が蔓延(まんえん)した職場は、結果として「生産遅れで出荷不能が発生しやすい」というのが私の経験則である。また「中間仕掛かりや完成品在庫の中には2~3割売れないものがある」と考えてよい。会社によっては倉庫を増設したり、貸倉庫に手を出したりして「ムダなコストが発生し収益を落とす」といった事態になっている場合もある。

◆常に剣が峰に立たされた状態で取り組む

このような悪循環から一日でも早く抜け出すためには、逆療法しかないというのが私の考えである。土俵の徳俵に足が掛かった、後がない窮地の状況に自分を追い込み、そこでどんな行動を起こし脱するかを考えるような環境に自らを遭遇させることである。

ジャストインタイムにものをつくるということはまさに、常に剣が峰に立たされた状態でものづくりをやれということである。そのためには、異常があれば作業を停止せよ。その場で原因を明らかにし再発を防止せよ。機械・金型が壊れるのが怖いなら壊れないよう予防活動をせよ。不良が多ければ少なくなるよう改善せよ。段替えロスが多ければそのロスを小さくするよう改善せよ。

この考えに基づく行動は終着点が無く、永遠に続けていくものでなければならないと大野耐一会長(元トヨタ自動車副社長)に徹底的に教え込まれた。在庫を山ほど抱え、少々問題が発生しても耐えられるというぬるま湯的環境に浸っていれば、いつの日か競合他社に凌駕(りょうが)されていく。

在庫削減は「在庫の資金負担を軽減させるために行う」というのは一面的な考え方である。在庫がなくても良品がつくり続けられる「筋肉質な会社づくり」が求められている。

仕掛かり在庫を小さくすることにより改善活動が活性化し、貸倉庫の返却、生産性の大幅向上、納入遅延の防止、予防保全の強化による故障低減、段替え改善による時間短縮などを幅広く全員参加で進め、成果を挙げている会社は数多くある。

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