п»ї 新学期を前に無理をしないでほしいから『ジャーナリスティックなやさしい未来』第114回  | ニュース屋台村

新学期を前に無理をしないでほしいから
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第114回 

8月 29日 2017年 社会

LINEで送る
Pocket

引地達也(ひきち・たつや)

%e3%80%8e%e3%82%b8%e3%83%a3%e3%83%bc%e3%83%8a%e3%83%aa%e3%82%b9%e3%83%86%e3%82%a3%e3%83%83%e3%82%af%e3%81%aa%e3%82%84%e3%81%95%e3%81%97%e3%81%84%e6%9c%aa%e6%9d%a5%e3%80%8f%e5%bc%95%e5%9c%b0%e9%81%94
コミュニケーション基礎研究会代表。就労移行支援事業所シャロームネットワーク統括。ケアメディア推進プロジェクト代表。精神科系ポータルサイト「サイキュレ」編集委員。一般社団法人日本不動産仲裁機構上席研究員、法定外見晴台学園大学客員教授。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長など経て現職。

◆お便りでつながる

私が勤める就労移行支援事業所シャローム所沢ならびにシャローム和光では、関係機関やお世話になっている方への毎月のお便りとして、「シャロームだより」なる手作りのチラシを郵送や手渡しでお届けしている。統括責任者の私は毎回、冒頭のメッセージを書いているのだが、不安を持つ方々が少しでもその苦しさが緩和できないか、そして私たちとつながれないか、との思いを伝え、思いのほか、メッセージがシンプルで、やさしい気持ちになれる、などの反響をいただいている。

そして、夏休みが終わるこの時期、学生や生徒・子供たちが再度学校に通えなかったり、スタートが切れずに落ち込んでしまったりする季節でもある。今回は、そんな方へのメッセージとして、今年4月から7月までの冒頭メッセージを紹介したい。

4月 人それぞれのスタートでいいんです

日本は春の訪れとともにスタートするものが社会的に集中しているために、4月ははじまりの象徴であり、一斉にいろいろなことがはじまります。新しい生活、新しい学校、新しい職場など。それにつきまとうのが新しい人間関係です。

4月は新しい出会いがあって素敵だと思う人もいれば、新しい出会いに憂鬱になる人もいるでしょう。現に、新しい環境に馴染めず、5月になって外出するのも嫌になったり、属していた職場や関係先に出向けなくなったりするケースも少なくありません。それは4月に一斉にスタートする社会のもう一つの現実です。

それはきっと、一斉にスタートする雰囲気の中で、じっくりと人と関係をつくり、ゆっくりと環境に馴染みながら、人間関係を作っていく人にとっては、急かされている雰囲気であり自分を見失ってしまうことになります。つまり、社会のペースが優先され、自分がかき消されてしまうからです。人間は環境に馴染むまで、人それぞれのスピードがあります。春に出会っても、秋に仲良くなるペースの人もいるのです。

ゆっくりでもいいから、自分のペースでいいんです。今年は自分のペースで、春から夏を迎えてみませんか。

5月 まだ見ぬ皆様へ―これからの人生、可能性を広げるために

今回はまだ見ぬ支援を必要とされている方へのメッセージです。

「就労移行支援事業所」という名前から、シャロームは企業に就職することを目的に取り組む施設だと考えられています。設置根拠の法律の考え方も同様ではありますが、もっと大きく捉えれば、利用する方々が、社会のそれぞれの場所で幸せに生きられるように取り組んでいくのが「支援事業」であり、シャロームのスタッフもそう考えて日々支援に取り組んでいます。

これまでに卒業した利用者は、就労した人が最も多いですが、勉強をし直そうと就学した方や、自分で会社を作って開業された方もおりました。それは、それぞれにとって最良な人生に向けた最良の選択だと考えています。

疾患によって、自分の思い通りのような生活が出来ず、さまざまな不安から未来を描けない状態にある方と関わっている中で、確実に言えるのは、まずはシャロームと触れ合い、他者とのコミュニケーションによって、何らかの道が開けるということです。

その第一歩として、シャロームの門を叩いてみませんか。風薫る季節。何かをやってみるにはよい季節です。

6月 発達障がいの支援と社会への広がり

最近、メディアで「大人の発達障がい」を取り上げるケースが多くなってきました。米マイクロソフトのビル・ゲイツやアップルコンピュータのスティーブ・ジョブズ、フェイスブックのマイケル・ザッカーバーグなど、近年のIT起業家は発達障がいが多く、それは「才能の一部」とまで言われています。日本でも有名芸能人が、自らを発達障がいであると告白したりするなど、発達障がいのにぎやかな状況は、福祉サービス制度の必要性を浮き彫りしています。

確かに発達障がいのある人の「生きづらさ」を解消するための福祉サービスは整備する必要がありますが、問題の表面化が教えてくれることは、「発達障がい」の考え方は歴史的に形成はされましたが、その分類や判断基準は常に揺れ動き続けるものであるということです。その「生きづらさ」も、支援によって、いる環境によって、ある程度解消される可能性があるのです。

医師の診断による「発達障がい」を絶対視してしまう傾向がありますが、それもまた「揺れ動く」もので絶対ではないのです。自分の特性を考えて、できることとできないことを冷静に判断していくのが大事です。それは一人ではできません。やはり、誰かとの共同作業になるでしょう。発達障がいでお悩みの方の問い合わせをお待ちしております。

精神科ポータルサイト「サイキュレ」コラム
http://psycure.jp/column/8/
■ケアメディア推進プロジェクト
http://www.caremedia.link
■引地達也のブログ
http://plaza.rakuten.co.jp/kesennumasen/

コメント

コメントを残す