п»ї YOSHU (THAILAND)日系企業紹介『おじゃまします』第21回 | ニュース屋台村

YOSHU (THAILAND)
日系企業紹介『おじゃまします』第21回

1月 23日 2015年 経済

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バンコク週報

1976年10月創刊のタイで発行する日本語新聞。在タイビジネスマンに向けてタイの政治・経済・社会ニュースから人物紹介まで多彩なコンテンツを提供している。

◆ステンレス鋼材のデパート

ステンレス鋼材の在庫販売を主要業務とするYOSHU(THAILAND)の設立は2013年2月。ステンレス鋼材の需要は鋼板関連が多いのだが、同社がタイで扱うのはフラットバー、ラウンドバー、四角棒、六角棒などの棒材だ。その理由を同社の北原一社長は、「鋼板を販売するタイの地元企業は多いが、棒材を扱うところはないため」と説明する。

またステンレス鋼材の流通パターンであるが、これは2つに大別される。在庫販売と、大手ユーザーが使用する鋼材を直接メーカーから仕入れて販売する「ひも付き」販売だ。大手機械メーカーでは常時鋼材が必要となるため、商社が材料を調達して販売するが、これら商社が在庫を抱えることはない。そのため、ステンレス鋼材の在庫販売する日系企業はタイに存在せず、ここに同社は商機を見出した。

◆磨き鋼材

YOSHUがタイで力を入れているのが「磨き鋼材」だ。日本では中小企業(SME)からの注文の多い材であるが、これまでタイ市場で入手することはできなかった。

例えば、設計図面上で寸法公差の指定が有るフラットバーが必要となった場合、タイでは熱間で製造したサイズの大きいフラットバーを購入し切削しなければならなかった。時間がかかるし、材料ロスも大きい。日系企業も自社で削るか、ローカル企業に切削を外注するかしていた。

これに対し、YOSHUでは精密な公差の磨きフラットバーを100サイズ以上取り揃え顧客の必要な長さに切断して販売するため、ユーザーはそのまま機械部品として組み付けすることができ、時間と材料ロスの削減になる。

一方、磨き丸棒では、直径を20㍉とする場合、21㍉か22㍉の棒を入口と出口のサイズが異なる筒状の金型に入れて引っ張る「冷間引抜」という工法を用いる。これなら切削する手間が省け、大量生産にも向く。ただ、材料に強い力を加える加工であるため表面が硬化したり、品質が変わり磁性を帯びたりする可能性が否定できない。表面に細かい傷のできることもある。

そこで、YOSHUは、「センターレス研磨」と呼ばれる工法を導入。これは丸棒をベアリンなどの径にあうよう50ミクロン程度の公差で削っていくもので、最新の設備と熟練した技術が必要不可欠となる。北原社長によれば、「タイ国内でこれができる企業が3社のみ」という。YOSHUは日本からセンターレス研磨のための設備をタイに持ちこみ、日本と同レベルの品質を実現している。

日本のSMEには、材料と時間を無駄にしない磨き材によりコスト競争を勝ち抜いてきた歴史がある。そのため、北原社長は、「日本の高品質の磨き材をタイのマーケットに広めたい」と力を込める。今後は、顧客の所有する丸棒の研磨委託も受け付けていく考えだ。

◆ASEAN進出

日系企業、ローカル企業を問わず、タイで磨き鋼材市場を拡大していく方針を掲げるYOSHUは、今年末に発足するASEAN経済共同体(AEC)を追い風として、ASEAN展開をすでに始動させている

人件費が急激に高まるタイ、およびASEANでは今後、自動化が進んでいくことは確実。洗浄機や食品加工機など日系自動機メーカーの進出は活発になっており、ステンレス鋼材の需要が高まることは間違いない。ただ、ステンレスは機能材であるため、使用環境によりいろいろな材質が必要となる。しかし、これまでローカルで入手できる種類は限られていた。YOSHUのASEAN進出は日系SMEの生産形態を変えることにもなりそうだ。

タイ・ASEAN市場戦略の最前線を担う日本人およびタイ人スタッフ
(後列中央が北原社長)

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