п»ї クリンビー(タイランド)日系企業紹介『おじゃまします』第23回 | ニュース屋台村

クリンビー(タイランド)
日系企業紹介『おじゃまします』第23回

3月 20日 2015年 経済

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バンコク週報

1976年10月創刊のタイで発行する日本語新聞。在タイビジネスマンに向けてタイの政治・経済・社会ニュースから人物紹介まで多彩なコンテンツを提供している。

◆真空洗浄システムを世界で初めて実用化

「実際に部品を洗浄してお見せしたら急に話し合いを始めたんです。断る口実を探しているのかと思ったのですが、実は…」

工業洗浄機製造大手、クリンビー(タイランド)の山本雅之社長はそう言ってほほ笑む。この時、きれいになりすぎて今までの洗浄では確認できなかった擦り傷が発覚。加工工程の問題点が判明したことで、関係者を慌てさせることになったという。

現在、洗浄といえば真空洗浄が主流となっているが、この技術の実用化に世界で最初に成功したのが、クリンビーだ。

なぜ、真空状態で洗浄すると汚れが完全に落ちるのか。真空状態は当然のことながら酸素濃度が低い。そのため、洗浄液として使用する石油系溶剤の爆発する危険性はほとんどない。また、真空下では沸騰温度が下がる。これは洗浄液の沸点が下がることでもあり、安全な高温洗浄が可能となる。その結果、日本では禁止されている強力な洗浄液と同等の洗浄力を得ることができる。

さらに、ねじ穴などを洗浄する時は空気を完全に抜かないと、洗浄液の届かない部分ができてしまう。しかし、真空下で洗浄をすれば、穴や狭い隙間の隅々まで洗浄液が行き渡る。

クリンビーではこの真空洗浄の特許を日本で取得しているが、「ハイレベル洗浄の普及に貢献するため、他のメーカーが特許を使用することを容認しており、特許侵害で訴訟を起すことはしていない」(山本氏)という。

ところで、14年間の中国勤務後、タイに異動してすでに1年が過ぎた山本氏は、「タイに来て炭化水素系洗浄機を使用したことのない企業の多いことに驚きました」と話す。水系洗浄機を使用する場合、汚れた液を捨てるための排水処理設備をどうするかをあわせて検討しなければならない。そしてこの設備は決して安価ではない。もしくは業者に廃液を引き取ってもらうことになるが、これもかなりの費用負担となる。

これに対して炭化水素系洗浄機は、蒸留再生技術により装置内で洗浄液をリサイクルすることができるため、排水処理を考えなくてよい。ただ、炭化水素系洗浄には真空技術が必要不可欠となる。

◆ダブルポンプで完全真空

特許戦争を放棄したクリンビーであるが、その背景の一つには自社の真空ポンプシステムに対する絶対的な自信がある。同業他社の多くが使用するドライポンプは内部のファンを回すために潤滑剤が必要となる。ただ、文字通り、乾いたガスを吸引するためのポンプが脱脂剤である炭化水素の蒸気を吸い込むため、潤滑剤がとれてしまい、そのため頻繁にファンの点検をしなければならない。日本では頻繁にメンテナンスを行うこともできるが、東南アジアでそこまでのメンテを期待するのは難しい。そのため、どうしてもポンプが壊れやすくなる。

一方、クリンビーは液封式ポンプをメインポンプとして使用する。このポンプでは潤滑剤の代わりに洗浄剤を使う。洗浄剤で潤滑しているところに、熱い洗浄剤のガスが触れるため冷えて液状となりリサイクルされることから、洗浄剤の消耗はドライポンプの半分以下。ファンの頻繁なメンテは不要であり、故障による停止はほどんどない。企業の嫌うライン停止がなきに等しい点も顧客から高い評価を受けている。

同社ではさらに、液封式ポンプにメカニカルブースターポンプを取り付けることで、ゼロ真空を実現。「確実に真空を達成しているのはクリンビーだけ」と山本氏は言い切る。そこそこに真空にしておけばある程度はきれいになる。しかし、1台の真空ポンプだけでは真空状態が安定しない。そこで、ダブルポンプ方式を採用することで完全真空を常時保つことを可能とした。製造コストは若干かさむが、業界最高レベルの洗浄乾燥品質が評価され、日本では販売実績トップの座を長年キープしている。

◆オーダーメイドか標準機か

クリンビーでは、独自設計・製造のオーダーメイドのほか、標準機も取り扱う。

顧客は最初、「この部品をこのレベルまできれいにしたいが可能か」「いままでの洗浄ではシミが出て困っている」などの悩みをかかえて同社を訪ねる。その後、顧客の要望にあわせていろいろな提案をした上で、オーダーメイドにするのか、それとも標準機に微調整を加えるのかを決める。標準機の場合、納期が短くコストも低い。ただ作業の流れが複雑な場合には設計から始めるオーダーメイドが適する。タイでは標準機3、オーダーメイド7の割合となっている。

◆ノブレス・オブリージュ

タイにおける顧客の大半は日系企業だ。中国では洗浄した部品を納入するよう求められることが大半であるが、タイはまだそこまで厳しくない。ただ、時代は完全な洗浄を求めるようになってきており、タイでも、高機能洗浄機を買いたいが資金的に無理、しかし購入しなければ同業他社と差別化ができないとのジレンマに悩む企業が増えてきた。

そこで、山本氏は、委託洗浄事業をビジネスとして立ち上げるべく、リサーチを進めている。「洗浄機トップメーカーとしての義務ではないかと考えます」と山本氏。ノブレス・オブリージュ(高い地位には責任が伴うという意味)をタイで実践する。

◆国際戦略を積極展開

クリンビーではタイのほか、中国にも工場をもつ。為替変動などをにらみ、日本・タイ・中国という3拠点の連携プレーを展開しており、昨年は日本で受注した洗浄機を10台近くタイで製造した。また、タイで調達した部品を日本に送ることもある。例えば、上海で製造した設備をインドネシアに納入し、メンテはタイが担当するコラボができるのもクリンビーの強みだ。同社ではインド、バングラデシュ、インドネシア、ベトナム、マレーシアなどにも納品しているが、今後はタイを東南アジアのハブとした国際戦略をより積極的に展開していく。

そのためにも、「日本に安心して送り出せる製品をつくる技術をタイ工場で確立することが今の使命」と山本氏は力を込める。同氏は三菱電機社員時代に中国に駐在。その後、14年間、中国で中国人技術者を育ててきた。「中国人を育てるのが生きがいだった」という。そして、今度はその情熱をタイに振り向ける。「タイをクリンビーのトップ工場にする」。現在、61歳の山本氏の挑戦は続く。

◆洗浄に関することなら、全てクリンビーにお任せください

①お手持ちの設備で「綺麗にならない」「乾燥できない」など洗浄に関する問題がありましたら、まずは弊社へご相談ください。

②洗浄したいが装置は買えない…こんな時は、悩まずクリンビーへご相談下さい。世界が認めたクリンビー洗浄機を使用し、洗浄代行をお引き受けします。

タイ人部下の育成に余念のない山本社長(左端)

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