п»ї サイアム・ソラナ(タイランド)日系企業紹介『おじゃまします』第18回 | ニュース屋台村

サイアム・ソラナ(タイランド)
日系企業紹介『おじゃまします』第18回

10月 17日 2014年 経済

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バンコク週報

1976年10月創刊のタイで発行する日本語新聞。在タイビジネスマンに向けてタイの政治・経済・社会ニュースから人物紹介まで多彩なコンテンツを提供している。

◆もうひとつの省エネ照明

液晶テレビ、PCモニターなどに使用されている光源であるCCFL(冷陰極管)を組み込んだ「CCFL照明」。この照明器具の製造(アセンブリ)・販売をタイで行うため、照明開発・販売およびプリント基板設計・製造などを手がける豊光社(福岡県北九州市)は2012年11月21日、サイアム・ソラナ(タイランド)社を設立した。

日本や台湾から調達した部品をタイで組み立て販売する。タイでは月間約3000本を生産。そのうち8割をタイ国内市場に投入、残り2割は日本などに輸出する。

 CCFL照明は日本でも決して知名度の高い照明器具ではない。日タイ両国とも省エネへの関心が高まっているものの、省エネ照明でまず名前のあがるのはLED(発光ダイオード)照明だ。サイアム・ソラナ(タイランド)社ではLEDも扱うが、主力としているのはCCFL。それでは両者の間にはどのような違いがあるのか。

省エネ効果の指標の一つとなる寿命であるが、一般の蛍光灯は7000から1万時間、CCFLとLEDは約5万時間といわれている。しかし、サイアム・ソラナ(タイランド)の橋内慎社長は「LEDは最近できた光源のため十分なデータがない。しかし、CCFLは液晶テレビ、PCモニターで使用されている光源のため30~40年にわたり検証されてきた」と長寿命とする商品説明の信憑(しんぴょう)性を強調する。

一般の蛍光灯はスイッチをオンにする時の発熱でフィラメントが劣化し、寿命が縮まるという。CCFLの電極部もメカニズムとしては蛍光灯と同様であるが、電極がもともと低発熱仕様であることに加え、電極部に金属キャップを使用しているため、電極部の熱による劣化がない。これが、長寿命の理由ともなっている。

◆やさしい光

一方、LEDと明確に一線を画すのが、光の性質だ。LEDと比べCCFLの光は目に刺激がなくやさしいという特性を持つ。そのため、照度はLEDよりわずかに落ちはするものの、従来の照明器具と比較した場合には何ら遜色(そんしょく)がない。

またCCFLはLEDの光より演色性が高いため、従来の蛍光灯から変更した時の違和感がない。そのため、光の下で作業をする人の多い事務所や天井のあまり高くない工場など、自然でやわらかい光を求める職場で導入されるケースが多い。

タイでの納入実績は約3000本。取引先は日系企業6割、タイ現地企業が4割。ともに中堅が多いという。

タイ政府がCO2削減のため、使用電力量を下げるよう指導していることから、民間企業の省エネ意欲は高まっており、省エネ商品の市場は拡大していくと橋内社長は見越す。しかし、ここでネックとなるのが価格だ。タイでLED普及速度が鈍い理由のひとつとして、低品質のLEDを導入したところすぐに切れてしまったという話が多いため、導入意欲の伸びないことがある。その点、日本製への信頼感は揺るぎないものがあるのだが、問題は価格。商談も価格を提示したとたんにストップしてしまうことがあり、これが今後の課題ともなっている。

ただ、光源の特性により、LED照明が向いている場所、CCFL照明の方が向いている場所もあることから、同社ではCCFLとLEDの双方の開発が可能な強みを生かし、「適材適光」を進めていくとのことだ。

◆タイはAECのハブ

「海外進出は必然だった」と振り返る橋内社長。日本の照明業界は価格競争が年々激化している。大手メーカーは系列グループ企業内での事業展開が可能であるが、中小企業の場合、大幅な業績アップは日本ではなかなか望めない。そこで、まだシェアが確立されていない海外に打って出ようということで社内のコンセンサスが一致したという。

「タイは親日国であり、ASEAN経済共同体(AEC)発足後にヒト・カネ・情報の動きが活発化した時、ハブとなるのはタイであると考えた」――橋内社長は本社が進出先をタイに決めた理由をそう説明する。

◆思いを伝えたい 試行錯誤の毎日

タイのおける事業展開での苦労はまず部材などの調達だ。日本のように比較した上で購入できる環境にはなく、最初から購入先が限定されてしまう。それ以前にモノが見つからないという問題も出てくる。この場合は人に聞くしかない。人とのつながりの大切さをタイに来て痛感したという。

しかし、最大の課題はタイ語。ビジネスの場でも、スタッフとのやり取りでも、「伝えたいことの〃熱量〃がそのまま伝わらないことが一番つらい」(橋内社長)という。通訳を介してでは「これをわかってほしい」との思いはなかなか伝わらない。試行錯誤の毎日だ。

自社製品をタイ国内に流通させることに余念がないという。タイの電力使用量を削減することで、環境保全にも貢献できる。そして事業が軌道に乗った暁には、国境など夜間真っ暗になる地域に照明器具を寄贈したい、と力を込める橋内社長だ。   (倉林義仁記者)

サイアム・ソラナ(タイランド)のタイ人スタッフと橋内社長(左から2人目)

Siam Solana (Thailand) Co., Ltd.

35 onnnut soi 36, SuanLuang,SuanLuang,Bangkok

電話:02-332-9600
FAX :02-331-5553
HPアドレス:http://www.solana.asia/

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