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Archive for: 8月, 2013

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なくならない経済的不平等
『教授Hの乾坤一冊』第3回

8月 15日 2013年 文化

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教授H

大学教授。専門は環境経済学および理論経済学。政府の審議会の委員なども務める。「知性は、セクシーだ」が口癖。趣味は鉄道(車両形式オタク)。

自由・平等・博愛はフランスの標語としてあまりにも有名である。もちろん、フランスでは自由・平等・博愛のどれも欠かせないという意味だろう。だが悩ましいことに、博愛は別として、自由と平等が手に手を取り合いながら仲良く歩んでいくかというとそうでもない。

たとえばアメリカは自由な国の象徴のようなものだが、必ずしも平等な社会とは言えない。確かに政治的には平等な社会かもしれないけれど、経済的には不平等が支配しているように思えるからだ。毎年10億円を超える給与をもらい退職時には100億円以上の退職金を手にする最高経営責任者(CEO)がいるかと思えば、教会の無料給食に列をなす人々も多数いる。プール付きの大邸宅に住む人がいるかと思うと、ホームレスとして街をさまよい歩く人もいる。そのギャップはどう見ても大きすぎる。
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フン・セン「不在」の72時間 迷走カンボジア総選挙
『カンボジア浮草日記』

8月 15日 2013年 国際

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木村 文(きむら・あや)

元朝日新聞バンコク特派員、マニラ支局長。2009年3月よりカンボジア・プノンペン在住。現地で発行する月刊邦字誌「プノン」編集長。

「フン・セン首相は、もうカンボジアにはいない」。

7月28日夜から29日にかけて、そんなうわさが、プノンペンを駆け巡った。その日、カンボジアでは国民議会選挙(総選挙、定数123)が実施された。投票のために多くの人たちが地方へと戻り、首都は、盆休みの初日のように静まり返っていた。
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PM2.5と集団的自衛権
『山田厚史の地球は丸くない』第2回

8月 08日 2013年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹

「北京駐在になりますが、家族は日本に残します」。赴任が決まった知人は、迷ったすえ一人で行くことに決めた。対日感情の悪化は気になっていたが、近頃話題のPM2.5が決定打になった。このごろそんな人が増えているらしい。

ニュースで流れる白く霞んだビル群、薄ぼんやりとした太陽。そんな映像を目にして「子供は連れていけないな」と思ったという。
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今だからこそ問う アベノミクス
(上)米国との比較

8月 08日 2013年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住15年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

1980年代の落ちぶれたアメリカ。97年のアジア金融危機の中で瀕死の重傷を負ったタイや韓国。これらの国々はその最悪の状況から、幸運にも恵まれ復帰をなしえてきた。一方で、わが日本はバブル経済崩壊以降、はや20年の年月がたつにもかかわらず、私の目からは回復の兆しが見えない。人々は、アベノミクスによって円安株高が実現し景気回復が実感されつつあると言うが、従来と何が変わったのだろうか? 最悪期にあったアメリカとタイに当時勤務し、その回復の道のりを実際に見てきた者として、これらの国々と日本の現状を2回に分けて比較検討してみたい。

◆ブラックマンデーからの復活

私が2回目の米国赴任をしたのは1987年のことであった。その年の10月19日に史上最大の株の暴落である「ブラックマンデー」が起こり、いよいよ奈落の底へと落ちていった。
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日系企業のタイ進出の失敗事例 その1
『バンカーの目のつけどころ、気のつけどころ』
第2回

8月 08日 2013年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住15年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

タイには相変わらず、多くの日系企業の進出が続いている。しかしバンコック銀行日系企業部が、タイ商務省のデータを活用して2009年に行った内部調査では、タイ進出日系企業の約3分の1は恒常的な赤字もしくは債務超過になっているとの結果を得ている。タイの進出日系企業数が4500社であれば、実に1500社は問題を抱えているということだ。

問題の原因は、以下の4つに類型化できるだろう。
① 目的の明確ではない海外進出
② 企業内犯罪
③ 人事管理
④ 資金繰り
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日本を等身大に映し出す日系人の歴史
『読まずに死ねるかこの1冊』第2回

8月 08日 2013年 文化

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記者M

新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間100冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング。

ふだん一般開放されている皇居東御苑には木々に覆われるように立つ平屋建ての休憩所が3カ所にあり、このうちの2カ所ではいつも天皇皇后両陛下の国内外の訪問の様子などを伝えるビデオが流されている。僕は休日、ウオーキングの途中に大手門に近い大手休憩所で休むことが多く、何種類かあるそのビデオはどれも繰り返し見ている。

見るたびにいつも目頭が熱くなるのが、いまの天皇陛下が皇太子時代の1978年、サンパウロ市内のパカエンブー競技場で行われた日本人移民70周年の記念式典にご夫妻で出席された時の日系人の熱烈な歓迎ぶりを伝えるビデオである。その数、実に8万人超。入植するためにブラジル各地に散った移民の家族らがスタンドで大歓声とともに日の丸の小旗を振って出迎えた。競技場全体が、歓喜で揺れ動いているように見える。
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大使公邸料理とディプロマチックセンス
『記者Mの外交ななめ読み』

8月 08日 2013年 国際

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記者M

新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。年間100冊を目標に「精選読書」を実行中。座右の銘は「壮志凌雲」。目下の趣味は食べ歩きウオーキング。

岸田文雄外相はこのほど、大使館など日本の在外公館で開くパーティーの料理の質が落ちていると指摘したうえで、在外公館予算の上積みを各党に呼びかけた。これを報じた全国紙の記事を俎上に載せて「Yahoo! JAPAN」が「日本大使館の料理予算増加をどう思う?」との問いで意識調査を行ったところ、計3万5585票が寄せられた。結果は「減らしたほうがいい」が1万7998票(全体の50・6%)、「現状のままでいい」が9080票(同25・5%)、「増やしたほうがいい」が8507票(同23・9%)だった。

この結果について、僕は「妥当」だと考える。ただし、「減らしたほうがいい」と考えるのが「妥当」なのではない。おおかたの日本人がなんでもかんでも節約節約と考えているその志向は、大使公邸の料理についても及んでいることを示した「平均的な回答」という意味において「妥当」だと考えるのだ。
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思想は死んだのか
『教授Hの乾坤一冊』第2回

8月 02日 2013年 文化

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教授H

大学教授。専門は環境経済学および理論経済学。政府の審議会の委員なども務める。「知性は、セクシーだ」が口癖。趣味は鉄道(車両形式オタク)。

偉大な思想家がその後の信奉者たちによってどのように解釈され、継承されていったのか見るのは面白い。イエス・キリスト(仮に彼を思想家と呼ぶのが許されるのなら)は使徒たちに、そしてクリスチャンたちによって教祖化され、布教の対象となった。カール・マルクスはマルクス主義者たちによって学問化されると同時に政治思想化され、また闘争の武器となった。しかしもっと身近なところで考えると、吉本隆明が「吉本主義者」たちにどのように受け止められ、広められていったのかということの方がずっと面白いかもしれない。

幸か不幸か、私は「吉本教」の信者ではない。そういう人間から吉本教信者を見ると、興味深さとともにある種の違和感を覚える。クリスチャンがイエスをあがめるように、またマルキストたちがマルクスを崇拝するように、吉本教信者は吉本の一言一句を必死で読み取り、あがめるようにしてそれを人に伝えようとする。なぜなのか、これが不思議でならなかった。
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