古川弘介(ふるかわ・こうすけ)
海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。
◆はじめに
前稿では経済学者の原田泰著『ベーシック・インカム――国家は貧困問題を解消できるか』を参考に、ベーシックインカムについて考えた。原田の主張を要約すると――日本の格差と貧困の問題は深刻である。格差是正については社会保障制度の改革が必要だが、それだけでは深刻化する貧困は解決できない。生活保護受給者は214万人だが、その水準以下で生活している人々は約1000万人と推計され、5人に1人しか救えていないのだ。現在の生活保護制度の問題点は、国際比較で高い給付水準の一方で低所得者のアクセスを制限することで制度をなんとか維持させている点にある。現行制度で全員を救うことは不可能なので、発想を変えて国家が全国民にお金を給付するベーシックインカム(基礎的所得)を導入すべきである。それは財政的に可能だということを示したい――である。 記事全文>>