п»ї 心を一つにして正々堂々の道を行く『ものづくり一徹本舗』第14回 | ニュース屋台村

心を一つにして正々堂々の道を行く
『ものづくり一徹本舗』第14回

4月 25日 2014年 経済

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迎洋一郎(むかえ・よういちろう)

1941年生まれ、60年豊田合成入社。95年豊田合成タイランド社長。2000年一栄工業社長。現在中国、タイで工場コンサルタントを務める。自称「ものづくり研究家」。

1989年1月、私は樹脂の外装部品やハンドル、エアーバッグを生産する新工場の工場長として赴任した。赴任直後に外注先である協力工場のトラブルに直面したことは、前回紹介した。

当社の歴代社長はこれまでに製造部門の体質強化のために、3大管理方式であるTPS(トヨタ生産方式)、TQC(全社的品質管理=デミング賞やトヨタQS賞への挑戦)、TPM(総合設備管理=TPM特別賞への挑戦)の導入に借しみなく資本投入し、社内外の講師の指導の下に人材の育成と製造管理技術、固有技術の向上を進めてきた。しかし、私が着任した工場はその恩恵を受けて育った者が少なく、結果が伴わないのが実情であった。

作業者は新卒が重点的に配属され、管理監督者も私を含め他工場からのローテーション配属で、精通した者が少なかった。一方、クルマ社会もバブル期を迎え、当工楊の生産量は増加の一途をたどっていた。

◆「人、地域、地球にやさしい、誇りの持てる製造工場」づくりを目指す

職場のいたるところで品質問題や納入遅れが頻発し、日々戦場化の有様である。この状況を打破し安定化させるためには、強力なトップマネジメントが重要と判断した。管理者層を中心に研修会を数回行い、当工場のあるべき姿の概念図を作り、それを基に全職場、全従業員の意思の疎通と統一を図り、あらゆる分野で改善を進めることにした。

そこで、あるべき工場の姿をリンゴの木を例えにして図示し、全員に理解と協力を促し、一丸となって、「人、地域、地球にやさしい、誇りの持てる製造工場」づくりを目指すことにした。その概要を示したものが下の図である。

◆お客様に満足していただける商品づくりへそれぞれがすべきこと

立派なおいしいリンゴを実らせるために、我々はそれぞれの立場で、何をどんな方法で仕事を進めていかなければならないかを明確にする必要がある。次に、何のために立派なおいしい実をみのらせるのか目的を明確にする。

つまり、お客様が品質、納期、価格で満足していただけるような商品を、総力をあげてつくり出そう。そして、営業マンが胸を張ってセールス出来る商品づくりが我々の役割、義務であるということを共通の理解として認識していくのである。

この活動を名付けて、「正々の旗、堂々の陣」。つまり、正々堂々をもって、工場の体質を向上させよう、を合言葉としたのである。

実際、就任から3年を過ぎた頃になると、各人の業務遂行能力は著しく向上し、品質、納期の問題も激減させることができ、改善提案も他工場に劣らぬレベルになってきた。改善の中には、世界に誇れるものも出るようになってきた。

正々の旗(誇りの持てる製造工場)、堂々の陣(環境を整えやるべき方法を決め前進する)を掲げて役割の遂行に励んだ事例を、次回から詳しく説明していきたい。

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