п»ї nms(タイランド)日系企業紹介『おじゃまします』第25回 | ニュース屋台村

nms(タイランド)
日系企業紹介『おじゃまします』第25回

5月 08日 2015年 経済

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バンコク週報

1976年10月創刊のタイで発行する日本語新聞。在タイビジネスマンに向けてタイの政治・経済・社会ニュースから人物紹介まで多彩なコンテンツを提供している。

◆人材のミスマッチを極力回避

製造請負・派遣を主軸事業とする日本マニュファクチャリングサービス(nms)(東京都新宿区)は2014年9月、タイで人材派遣業を行うため東部チョンブリ県シラチャにnms(タイランド)(松本正登社長)を立ち上げた。

同社がタイで派遣する人材はタイ人およびカンボジア人のブルーワーカーだ。このうちタイ人は工業団地に置かれている募集ブースなどで受け付け、職歴・技能など可能な限り詳しくヒアリングシートに記入してもらう。さらに面接で手のスピード、色認識能力、視力などもチェック。これらをデータベース化することで、人材のミスマッチングを極力回避する。現在、登録しているタイ人には職業高校卒が多い。新規登録は月間150~200人に達しており、特に、特殊溶接技術のある人材が日系企業では不足していることから積極的に集めている。なお、登録者の4割が転職希望という。

登録者の中で優秀な人材についてはリーダー候補として育成。座学の後、日本のモノづくりの基礎を教え込む。その後、ラインのリーダーとして派遣する。なお、顧客である日系企業の多くは、アマタシティー、イースタンシーボード、ピントン1・2・3、レムチャバンに集中している。

nms(タイランド)の事業は人材斡旋(あっせん)にとどまらない。人材派遣を切り口に生産管理・労務管理・品質管理などの業務を一括して請け負う。日本本社では中国・ベトナムで現地大学と提携してコースを組み、そこで育成した人材を日本に送る事業を展開。さらに、電子機器の受託生産を行うEMS事業を日本、中国、マレーシアで行っている。これらの事業で築いたノウハウがすべてタイでの事業に投入されている。

◆カンボジア人斡旋で先んずる

松本社長がタイで調査を開始したのは1年ほど前。当時、自動車産業は人手不足にあえいでいた。そこで、カンボジア、ラオス、ミャンマーのいずれかの国で人材斡旋のスキームを他社に先駆けてつくることを考えたという。

しかし、これまでASEANの人材送り出し事業には金銭の流れを含め灰色の部分が多少なりともあったことが否めない。しかし、働く人が不利益を被ることがあってはならない。そこで、すでに事業を展開していたベトナムの労働省からカンボジア労働省の幹部を紹介してもらい、タイでのビジネスの理念・スキームを何度も説明した。

その結果、カンボジアにある32の人材送り出し機関のうち2社との提携が決まる。このうちの1社の社長がカンボジアの送り出し機関協会の会長を兼任しており、2017年までに1万人をタイの労働市場に投入することを目標とするnmsにとり理想的な枠組みができあがった。

現時点でタイの日系企業からは約200人の発注を受けている。タイ投資委員会(BOI)が16年末までの限定措置としてBOI奨励企業に対し外国人単純労働者の雇用を認めたことから、BOI企業、非BOI企業の双方から派遣依頼があるという。

ただ、カンボジア人労働者の多くは農村で集めるため、農業以外に就業経験のない人材は、そのまま連れてきてもすぐには使えない。「雨が降っても仕事はあるので休んではいけない」というところから教える必要があるという。そこで、nmsではカンボジア提携先の研修施設で教育した後にタイに送り込むことにした。トイレの使い方の説明に始まり、バリとりやサンダー系の仕事に従事するのであれば実際に使用している工具をカンボジアに持ち込み、OJTで使い方を指導する。

このため、タイの日系企業は一から教育する必要がなく、即戦力に近い人材の派遣を受けることができる。この点が他の人材派遣会社との大きな違いだ。タイ人が嫌がる業種の企業の中にはタイ人をカンボジア人に総入れ替えする企業もあるという。このケースではnmsが管理業務をアウトソーシングで担当する。

さらに、カンボジア人に非合法で就業させている企業の場合、既存の人材をいったんカンボジアに戻し、正規労働者として再入国させ、労働許可証を取得させるところもあるという。この手続きはnmsが代行する。

一方、カンボジア人労働者に熱い視線を送るのは在タイ日系企業だけではない。20年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け工事現場で働く労働者不足に対する危機感が募るなか、国土交通省ではカンボジアからの人材派遣に期待感を示す。このため、先読みに長けているnmsでは、カンボジアおよびタイを拠点として現地の人材を日本へ送り出す準備をすでに進めている。

◆タイプラスワンも視野に

タイプラスワン戦略でカンボジアへの進出を計画する企業にとり、タイでカンボジア人の工員を使うメリットは大きい。カンボジア進出にあたり一からカンボジア人を集める必要がなく、スムーズな立ち上げが可能となるためだ。実際、在タイの某日系自動車部品会社はこのパターンでの進出を計画しているという。タイとカンボジアをつなぐ事業の拡大がほぼ確実視されることから、nmsでは7月めどにカンボジアに事務所を置く予定だ。

今後の営業計画であるが、まずタイ東部の約1500社を回った後、バンコク周辺、アユタヤ、国境エリアに展開していく。

ただ、今後の事業が拡大するにつれ、労働者を搾取しようとするグループからの圧力が増えることは覚悟しているという。「何があろうと労働者を守っていく。現地責任者として覚悟を決めている」と言い切る松本社長だ。

日本への人材送り出しも視野に入れる松本正登社長、nms(タイランド)社で

カンボジア人労働者に対する研修

カンボジアで行われた業務提携調印式

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設立年月日: 2014年9月12日

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