п»ї 顧客にとって望ましい4P『経営コンサルタントの視点』第19回 | ニュース屋台村

顧客にとって望ましい4P
『経営コンサルタントの視点』第19回

10月 30日 2015年 経済

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中野靖識(なかの・やすし)

株式会社船井総合研究所上席コンサルタント。メーカーから小売業まで幅広いコンサルティングフィールドを持つ。一般消費者向けの商材を扱う企業の現場レベルでの具体的な販売手法の提案を得意とする。

日経平均株価は、2015年1月16日の年初来安値1万6592円57銭から6月24日の年初来高値2万952円71銭の大きなゆれ幅を経由して、10月23日現在は1万8825円30銭と、1万9000円にとどくかとどかないかの水準を繰り返しています。為替は1ドル=120円台で、引き続き円安基調のまま推移していますので、外国人観光客を顧客にした一部の小売業ではメリットがでているようです。

少し前になりますが、日本百貨店協会が発表した9月の外国人観光客の売上高・来店動向によると、外国人観光客招致会委員店(71店)での免税手続き総売上高は約138億6000万円(前年同期比180.0%増)で、2013年2月から32か月連続のプラスになりました。

一人当たり購買単価は約7万2200円(15.6%減)と少し下がってはいるものの、購買客数は、約19万2000人(231.8%増)で、都市部を中心にメリットがでている様子です。

一方、外国人観光客増加の影響で、東京、大阪、京都などの都市部のホテルの予約が非常に取りにくくなっており、出張族が悲鳴を上げています。私自身も出張族ですが、空室が少ないだけではなく値上がりもしているため、適当な宿を探すのには苦労しています。

ビジネスホテルの方にとって、海外観光客であっても部屋の稼動が上昇するのは好ましい状況だと思いますが、国内固定客層を失うリスクが拡大します。宿泊が取れない状況が続くと、それに適合する仕事の仕方、つまり宿泊をしない動き方に変わっていくはずですね。

加えて、新幹線網の拡大やリニアによる大幅な時間短縮化などが加速していきますので、日帰り出張へシフトしていく可能性がさらに拡大します。また、いったん変わった仕事の仕方は元に戻りにくいため、宿泊出張族そのものが減少することになると考えられるのではないでしょうか。そうなると海外観光客から選ばれ続けるための努力に、今まで以上に磨きをかけることが必要になります。

◆付き合いたい顧客から選ばれる

これをマーケティング的に考えると、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングが変わったと言えるのではないでしょうか。自社が勝つためには顧客に選ばれ続けることが必要ですが、全ての顧客ではなく、自社が付き合いたい顧客から選ばれることがマーケティング的には大切とお考え下さい。

奇跡の航空会社と言われているスカンジナビア航空では、自社の考え方に合わない顧客は「利用してくれなくて結構だ」というスタンスを貫いています。財務成果を挙げ続けるためには、どのような顧客を対象とするのかを明確に定義し、その顧客にとって望ましい4P(プロダクト、プライス、プレイス、プロモーション)を設計していくことが王道です。

出張族としては残念ですが、これも時代の流れなのかも知れません。日常生活の中で感じる変化を、ビジネス感覚で捉えて検討してみると、色々な気づきが生まれます。頭の体操だとお考えいただき、読者の皆様もお試し下さい。

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