п»ї 先送り発想は衰退の始まり『経営コンサルタントの視点』第20回 | ニュース屋台村

先送り発想は衰退の始まり
『経営コンサルタントの視点』第20回

3月 11日 2016年 経済

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中野靖識(なかの・やすし)

株式会社船井総合研究所上席コンサルタント。メーカーから小売業まで幅広いコンサルティングフィールドを持つ。一般消費者向けの商材を扱う企業の現場レベルでの具体的な販売手法の提案を得意とする。

ここ最近、日本国内では為替、株価の話題が多くなっていますが、日銀のマイナス金利政策の影響で、普通預金や定期預金、住宅ローンの金利を引き下げる動きが出ている一方、円相場と株価は大きく乱高下。日本国債も資産リスクが拡大し、差し引きしてみると、実質的な国内経済活動そのものにはいまだに良い影響が出せるほどではないようです。

経済関連のニュースの傍らで、「保育園落ちた」という匿名投稿が大きな話題になっていますが、子供を持ちにくい状況が改善されないと、将来の国力に影響する深刻な問題です。

国立社会保障・人口問題研究所研究所が開示しているデータでは、将来推計として「世帯総数は2010年の5184万世帯から増加し、2019年の5307万世帯でピークを迎えるが、その後は減少に転じ、2035年には4956万世帯まで減る」としています。

現在は、人口そのものは減少していますが、世帯数が減っていません。つまり、世帯に従属する消費はある程度維持されているのが現在で、この状態は2019年までと考えるべきなのです。

翌年に東京オリンピック・パラリンピックを控えていることもあって、それまではある程度の国内市場規模は維持できるはずですが、それ以降は大幅に悪化するリスクがあります。

オリンピック後の経済成長に成功している国は少ない上に、戦後初めて人口、世帯数のダブル減少が到来すると考えると、一般消費市場はさらに激烈な競争状況に陥る可能性があります。

◆強い企業体質の柱は二つ

それだけに、アンコントローラブルな外部環境に振り回されることなく、自身でコントルールできる内部改善を徹底的に実施し、強い企業体質に変革していくことが期待されています。

市場縮小に備える強い企業体質の柱は、「強い財務体質」「顧客との強い絆」の二つとお考え下さい。強い財務体質に向けては、「キャッシュフロー重視」「投資回収を前提とした改善」、顧客との強い絆づくりには「コンタクト頻度アップ」「ワンストップ性の強化」を意識することが必要になります。

経済動向などの未来予測は正しいとは限りませんが、常に最悪の状況を想定し、対処を決めておく、対策を準備しておくことが強い企業体質をつくり出します。まだ大丈夫という先送り発想が衰退の始まりと考えましょう。

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