韓国車の不振は対岸の火事ではない
『中国のものづくり事情』第8回

5月 02日 2017年 経済

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Factory Network Asia Group

タイと中国を中心に日系・ローカル製造業向けのビジネスマッチングサービスを提供。タイと中国でものづくり商談会の開催や製造業向けフリーペーパー「FNAマガジン」を発行している。

中国自動車工業協会(CAAM)の発表によると、2016 年の自動車販売台数は、前年比13.7% 増の2802万8000 台。中国経済の減速が取りざたされるなか、過去最高を更新し、8年連続で世界一の市場となった。小型車減税やエコカー補助金が販売を押し上げた形だが、17 年1月は前年同月比0.2% 増の251 万9500 台と、年が明けてから潮目が変わりつつある。

低調だったのは、今年は1月にも春節がまたがっていたからだという指摘もあるが、メーカーの国別に販売台数を見てみると、一様に悪いわけではない。中国が前年同月比4.39% 減の97 万9600 台だったのに対し、ドイツは8.4%増の48 万5400 台、日本は11.03% 増の33 万1100 台と堅調だった。それにともないシェアも、中国が45.49% から44.04%と微減だったのに対し、ドイツが20.09% から21.88%、日本が13.38% から14.93% に上昇している。

一方、苦戦を強いられているのは韓国とフランスだ。とくに韓国は11.13% 減の11 万100 台で、前月からはほぼ半減している。シェアも、昨年はおおむね6%から8%台で推移していたが、4.96% に急降下している。

その急ブレーキの一因として考えられているのは、在韓米軍の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)配備による中韓関係の長引く悪化だ。韓国人タレントの中国での露出が事実上禁止され、自動車メーカーも宣伝活動をしにくい状況にある。ヒュンダイの微博(ウェイボー)公式アカウントも炎上を恐れてか、投稿の数が極端に減っている。ネット上では、韓国製品の不買を呼びかける書き込みも見られる。

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◆中国車は韓国車を超えた?

これらの騒動を見て思い出されるのは、12 年の反日デモだ。日系企業は宣伝活動を自粛し、自動車の販売台数も激減した。しかし、それは徐々に回復し、いまではメーカーによる差はあるものの、日本車全体の販売台数は堅調に推移している。海外で事業を展開するにあたっては、政治的なリスクが常に横たわっているが、それがずっと続くわけではないのだ。

そういった意味では、韓国車の不調は、政治問題が影響ではないという見方もある。製品自体に魅力がないということだ。中国の自動車サイト「捜狐汽車」(3月7日付)では、「多くの消費者が、韓国車は外見がよくて費用対効果が高いという点以外、品質は中国車と同等に考えている」と指摘。アクセサリや電気系統のトラブルが多く、クレームや投書が増えているという。

中国の別の自動車サイト「汽車之家」(3月8日付)によると、全国人民代表大会(全人代)の会期中、中国の民間大手・吉利集団の李書福董事長が「中国ブランドの品質は、韓国系車を超越している」と発言している。さらには日本に対しても、「来年か再来年には追いつく」と強気に発言している。

韓国車の不振は、対岸の火事ではない。外資系メーカーは品質が高くて当然という思い込みがあるので、少しのエラーでその評価は急降下してしまう。それにほかの国の市場での成功体験が必ずしも通用するわけではない。中国の消費者に受け入れられる製品を供給していかなければ、日系メーカーにも同じことが起こりかねない。

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※本コラムは、Factory Network Asia Groupが発行するFNAマガジンチャイナ 2017年4月号より転載しています。
http://www.factorynetasia.com/magazines/

 

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