会社組織で不可欠な社員の「職務記述書」
『実録!トラブルシューティング』第45回

9月 06日 2017年 経済

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東洋ビジネスサービス

1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。

今回は、タイ人の仕事への取り組み方について、日本的な考え方との違いから生じたトラブルについてご紹介します。弊社で新規採用を考え、面接を繰り返していた時の話です。とても良い候補者Tさんがいたので、すぐに人材紹介会社にOKの返事を出しました。しかし、弊社が評価する人材は他社からも評価が高かったのでしょう、Tさんは他の会社に就職してしまいました。残念ながら、引き続き面接を繰り返しておりました。

ある日、その人材紹介会社より「Tさんが転職を希望しております。御社でいかがでしょうか」と連絡がありました。詳しく話を聞いてみると、どうやら就職先の会社で面接時に説明を受けた仕事の内容ではないことをやらされているため、転職を希望しているとのことです。

◆ジョブローテーション制度を徹底する

皆さんの会社では「職務記述書」というものは準備なさってますか。Job Descriptionと言ったほうが分かりやすいかもしれません。タイでは職務記述書がなければ各人の仕事が成立しないことが多くあります。その記載内容としては、具体的な職務内容、目的、目標、責任、権限が明記されているのが一般的です。これは従業員が昇進や異動の際に戸惑うことなく、自分のやらなければいけないことを明確に理解するのに役立ちます。

また、企業側にもメリットがあり、そのポジションの人材を探す際に、雇用主と就職希望者のすり合わせをより正確に行うことが可能になります。タイでは人材紹介会社を介して採用活動をすることが多いのですが、募集をかける時にJob Descriptionを人材紹介会社に送るだけで、ある程度のスクリーニングがされた人材を紹介してもらえると思います。

日本でよくあるジョブローテーション制度は、社員の職場を定期的に変え、さまざまな職務を経験させることによってマンネリズムを避けながら、社員の職能を高め、企業として将来必要な人材、各種の専門家・技術者の育成を図るねらいがあります。ただし、タイでは受け入れられにくい制度で、タイでは一般的に、経理なら経理、人事なら人事と、採用時から仕事内容が決まっていることが多く、日本のように入社後、本人のキャリア開発や業務能力開発を目的としてジョブローテーションを行っても、本人はそれを受け入れられずに辞めてしまう可能性もあります。ジョブローテーションを実施することで従業員の仕事の幅を広げたり、将来、上に立つ者として会社を俯瞰(ふかん)することができたりするようになるなどのメリットを、十分過ぎるほど説明する必要があります。

会社側としては、不正防止の面からも定期的なジョブローテーションは効果があります。また、降格人事の一つとしてジョブローテーションをすることもあるでしょう。従業員の同意が得られるならば、日本式を取り入れてみるのも良いかと思います。

冒頭でご紹介したTさんの件は、弊社で再度面接し、本人の希望通りの業務内容ということで、入社してもらいました。現在、本人はとても生き生きと働いております。

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