п»ї 富裕層からビジネス成功の鍵を見つける(その2)『ビジネスの”あり方” ”やり方” ”つくり方”』第2回 | ニュース屋台村

富裕層からビジネス成功の鍵を見つける(その2)
『ビジネスの”あり方” ”やり方” ”つくり方”』第2回

9月 19日 2017年 経済

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小林昇太郎(こばやし・しょうたろう)

株式会社LUFTホールディングス取締役経営戦略室長。株式会社LUFTメディアコミュニケーション取締役。2014年8月に12年間勤めた船井総合研究所から現職へ。船井総研では、日本をはじめ、世界の富裕層ビジネスの今を知ることが日本の多くの経営者の抱える課題をも解決、それが地域活性にも貢献することにつながると考え「富裕層ビジネス研究会」を立ち上げ、そこから多くの新規ビジネスを創出させた。現職での事業領域は医療、飲食、旅行、メディアと多岐にわたり、ここ最近では子会社のメディアの役員も兼任、隔月で発行しているワインとそこに関わる人たちのライフスタイル誌『Wine What!?』を活用し、地域の活性につながる情報発信やそれに関連する各種企画やイベントのプロデュースも手掛ける。13年、SEOUL METROPOLITAN GOVERNMENT Advisory Officer for Business Attraction(諮問官)兼名誉大使。著書に『ビリオネアビジネスの極意』(ベストセラーズ)、『図解 富裕層ビジネス最前線』(KADOKAWA)などがある。

私自身、これまでコンサルタントとして、また、その後に携わることになった事業会社で主に富裕層を対象としたビジネスに関わる中で、当初から仮説としていた「富裕層ビジネスを紐解くことは、富裕層だけでなく多くの業種・業態、あらゆるお客様を対象としたビジネスの価値を上げ、成果に有効である」ことが正しいと確信するに至った。

前回の記事から、かなりの時間が経ってしまったが、第1回の記事で成功する富裕層ビジネスは「究極的なOne to Oneマーケティング(顧客一人ひとりの嗜好〈しこう〉に合わせて展開するマーケティング)」を確立している企業であることに触れた。

船井総研時代、成功する富裕層ビジネスをリサーチする中で、ビジネスの成功には「究極的なOne to Oneマーケティング」への理解と実践が必要と考えるに至ったことと合わせ、資本力のある大企業ならいざ知らず、中小企業や個人事業主がこの「究極的なOne to Oneマーケティング」を自らのビジネスに取り入れていくためには、限られた人、モノ、金といったリソース、かけられる費用と効果の点で問題があることも感じていた。

◆中小企業でも「究極的なOne to Oneマーケティング」は可能

ビジネスの成果を上げるためには、自社の製品、サービスの売り上げを上げること、そのため、日々の営業活動に多くの時間を費やさなければならない。加えて、営業以外にも多くの管理的業務にも時間を取られる。大企業では、営業活動、管理業務ともに多くの人で担うことができるが、中小企業や個人事業主はそれらの活動を一人か、少人数で対応しなければならない。

そういった時間的、物理的にも多くの制約がある企業が成果を上げていくためには、少しでも売り上げにつながる直接の営業活動を増やし、その分、利益につながらないバックオフィス的な管理業務は極力、効率的に進めなければならない。この問題を解決することなしに中小企業が「究極的なOne to Oneマーケティング」を導入、実践することは難しい。

では、中小企業や個人事業主がこれを取り入れることはできないのかと言えばそうではない。昨今、中小企業や個人事業主でも、また、地方など都市部から距離が離れ、直接お客様と接することが難しい企業であっても、営業活動の効率を上げ「究極的なOne to Oneマーケティング」を実践し、ビジネスの成果を上げている企業も出てきている。地方や過疎地域であっても遠方のお客様にしっかりと情報を届け、成果をあげることができる時代が到来していると感じる。

そのような企業は、どのような手段によって成果を出しているのか、そのキーワードとなるのが、私の研究テーマでもある富裕層と今の時代のトレンドを掛け合わせた「富裕層ビジネス×デジタル時代のマーケティング」だ。

デジタル時代のマーケティングで活用される手段として、最近話題のfacebookやインスタグラムといったSNSが挙げられる。少し前にfacebookの月間での利用者は日本国内で2700万人、世界では20億人を超えたことが発表され、その数は今なお増加している。例えば、これらのSNSツールの利用はあなたの製品やサービスを遠方の見込み客に情報として届け、お客様とすることにも有効だ。SNSの活用はそれだけにとどまらず、商品やサービスを購入、利用したお客様とあなた、加えて、お客様同士をも直接つなぐことでコミュニティーをつくりあげ、その後のフォローにより、リピーターを増やしていくことにも有効な手段となる。

営業活動だけではない。例えば、最近話題のマネーフォワードやfreee(フリー)など、クラウド会計ソフトを開発、展開する企業なども増えているが、こういったクラウドサービスもビジネス成果に向けて果たす役割は大きい。

これまで中小企業や個人事業主を煩わせてきた管理業務を自動で効率的に進めることで、それにかかる時間を大幅に削減、その分、売り上げを上げるための営業活動により多くの時間を費やせるようになってきている。

デジタル時代において、これまで成果を出すことが難しいとされてきた企業にも大きなチャンスが到来している。

◆SNSを導入しただけでは成果につながらない

しかし、SNSマーケティングを始めたからと言って、それがすぐに成果に結びつくわけではない。導入してすぐにファンと見込み客が増え続け、それが大きな売り上げにつながるわけではない。これまでSNSを導入した企業を見てきた中で、大きく成果につなげている企業とそうでない企業にはそれぞれ共通した要因が見られる。例えば、facebookページを開設し、短期間のうちに何万人ものファンを獲得、売り上げも大きく上げている企業では、facebookページの開設と合わせ、そのページの担当者にトップ営業マンを据えていた。そして日々、その営業マンからの商品の紹介、それに関連するニュース配信などを画像や動画と合わせて積極的に行っている。

facebookページには、その商品に興味を持った人や購入した人からの質問や感想が日々入ってくるが、それに丁寧に返信を行っているのは、このトップ営業マンだ。その営業マンにヒアリングした際、彼からは「こういったコメントへの返信は新たな注文やリピーター獲得へのチャンスなので、常に成果につながることを意識したコメントを、できるだけ早く返信しています。」とのことだった。

一方、成果を上げることができない企業で多く見られるケースは、このfacebookページの担当者にそれほど重きを置かず、ページ更新や情報発信には、営業経験も無い担当者を置いていることだ。この担当者に話を聞くと、「facebookページへ問い合わせのコメントが来ると、通常の仕事の時間が奪われて大変です。できるだけ効率的にこなせるようにもっと自動返信できるようにしてもらいたいです」といったコメントが帰ってくる。

前者と後者の担当者では、明らかにSNSを使う目的、その使い方が異なることがお分かり頂けるだろう。成果を出している会社では、このツールを現在のトップ営業マンに担わせ、普段からその営業マンが持つ「成果につなげる力」をこのツールを活用することで最大限に引き出し、高めようとしている。反面、成果を出せない企業では、このツールを事務的な業務の延長でしか活用できておらず、それを任された担当者も、従来の管理業務に加え、新たに任せられた業務に消極的な気持ちの中で携わっていることが多い。

どれほど良い商品やサービスであっても、それらツールの導入だけでは成果は見込めない。このSNSというツールの導入を自社のマーケティング戦略として位置づけることと合わせ、そこにどれだけ自社の想い、魂を入れられるかが、ビジネス成功の鍵となる。

先にも触れた、中小企業や個人事業主であっても、また都市部から遠方の地方で、なかなか直接にはお客様とつながることが難しい企業であっても「究極的なOne to Oneマーケティング」を実践し、ビジネスの成果を上げることはデジタル時代の到来により十分に可能だ。今一度、皆さんのビジネスを活性化するために活用できることはないかを考えるきっかけとして頂きたい。

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