表の顔と裏の顔(バンコク編)
『アセアン複眼』第15回

12月 18日 2017年 国際

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佐藤剛己(さとう・つよき)

『アセアン複眼』
企業買収や提携時の相手先デュー・デリジェンス、深掘りのビジネス情報、政治リスク分析などを提供するHummingbird Advisories CEO。シンガポールと東京を拠点に日本、アセアン、オセアニアをカバーする。新聞記者9年、米調査系コンサルティング会社で11年働いた後、起業。グローバルの同業者50か国400社・個人が会員の米国Intellenet日本代表、公認不正検査士、京都商工会議所専門アドバイザー。自社ニュースブログ(asiarisk.net)に、一部匿名ライターによる東南アジアのニュースを掲載中。

日本でいう暴力団のような組織だった犯罪者集団は、東南アジアでは稀(まれ)と言われる。しかし犯罪者はいるし、彼らが「案件」に合わせてグループを組むこともある。シンガポールで刑事裁判を専門にする弁護士に聞いたところ、「薬物の売人がいい例だ。どこから来たクスリをどうやって売りさばくかで、個人の犯罪者がくっついたり離れたりしている。日本みたいなorganizedされたやつは聞いたことはないな」。後で別の人から、この弁護士の自宅は数年前に放火され、奥さんを亡くしたと聞いた。この別人は「ある裁判で恨みを買った」と断言する。真相は分かっていないが、社会の裏側が顔を見せた瞬間である。
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メコン川流域に見る地政学の変化とビジネスへの影響
『アセアン複眼』第14回

11月 20日 2017年 国際

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佐藤剛己(さとう・つよき)

『アセアン複眼』
企業買収や提携時の相手先デュー・デリジェンス、深掘りのビジネス情報、政治リスク分析などを提供するHummingbird Advisories CEO。シンガポールと東京を拠点に日本、アセアン、オセアニアをカバーする。新聞記者9年、米調査系コンサルティング会社で11年働いた後、起業。グローバルの同業者50か国400社・個人が会員の米国Intellenet日本代表、公認不正検査士、京都商工会議所専門アドバイザー。自社ニュースブログ(asiarisk.net)に、一部匿名ライターによる東南アジアのニュースを掲載中。

今年5月に日本でも公開された中国映画「オペレーション・メコン」をご覧になっただろうか。メコン川を渡る中国商船乗組員13 人の殺害事件(2011年10月)を基にしたアクション映画だ。殺害犯とされたタイ、ミャンマー、ラオスの3国混成ギャングを追うのは中国の公安当局。関係国と共同捜査を持ちかけ、治安は中国が取り戻すというのが筋書きだ。
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「応援」するだけの海外進出が恐ろしいところ 『アセアン複眼』第13回

2月 23日 2017年 国際

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佐藤剛己(さとう・つよき)

『アセアン複眼』
企業買収や提携時の相手先デュー・デリジェンス、深掘りのビジネス情報、政治リスク分析などを提供するHummingbird Advisories 代表。シンガポールと東京を拠点に日本、アセアン、オセアニアをカバーする。新聞記者9年、米調査系コンサルティング会社で11年働いた後、起業。グローバルの同業者50か国400社・個人が会員の米国Intellenet日本代表、公認不正検査士、京都商工会議所専門アドバイザー。

大手の東南アジア進出に続き、今は中堅企業や小規模企業に進出意欲がある。昨年来、タイへ本格投資を始めた中堅日本企業は、国際協力機構(JICA)の後押しもあり700社以上に上る(※注1)。日本政府は補助金を潤沢に付け、日本貿易振興機構(JETRO)も加わり中小企業基盤整備機構も進出支援に勢力を注ぐ。民間では地銀が進出融資の形でこの勢いに乗ろうとし、「出ないと乗り遅れるのではないか」という雰囲気もある。しかし大手企業とは異なり、中小企業の進出には特徴的なリスクがある。周りは「応援団」ばかりなのだ(※注2)。 筆者の仕事は、個別固有の背景をベースに機微に触れる事項が多く、ケーススタディーは極力出さないようにしているが、企業の失敗を見るのは忍びない。巷(ちまた)に数多あふれる自称コンサルタントの無責任さにも目を覆うものがあり、少しばかりケースファイルをひも解くことにする。
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日本へ送り返された電子ごみ
『アセアン複眼』第12回

9月 02日 2016年 国際

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佐藤剛己(さとう・つよき)

『アセアン複眼』
企業買収や提携時の相手先デュー・デリジェンス、深掘りのビジネス情報、政治リスク分析などを提供するHummingbird Advisories 代表。シンガポールと東京を拠点に日本、アセアン、オセアニアをカバーする。新聞記者9年、米調査系コンサルティング会社で11年働いた後、起業。グローバルの同業者50か国400社・個人が会員の米国Intellenet日本代表、公認不正検査士、京都商工会議所専門アドバイザー。

タイへ違法に輸出された日本発の電子ごみが、タイ政府の輸入拒否により、2年かかってようやく日本に送り返された。「シップバック」と呼ばれるこの「ごみ返送」問題、当局の取り組みにもかかわらず類似事案が増加している。

◆200トン、コンテナ8個分

「Hazardous waste going back to Japan」(タイ英字紙ネーション)。タイの新聞各紙は7月28日、タイ工業省高官を招いての電子ごみ返送(シップバック)式典を、一斉に報じた。国境を越えた有害廃棄物の移動を防ぐバーゼル条約に基づくシップバックは、タイでは初めてだ。日本に送り返されたその量196.11トン、コンテナで8個に上る。2014年8月にタイ中部チョンブリ県のレムチャバン港に入り、税関検査などの結果、中身が申告通りの金属くずだったのはコンテナ1個だけ。残りは有害物質を含む電気製品関連ごみ、いわゆる「電子ごみ」だったというのだ。
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ASEAN共同体とCSR
『アセアン複眼』第11回

4月 15日 2016年 国際

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佐藤剛己(さとう・つよき)

企業買収や提携時の相手先デュー・デリジェンス、深掘りのビジネス情報、政治リスク分析などを提供するHummingbird Advisories 代表。シンガポールと東京を拠点に日本、アセアン、オセアニアをカバーする。新聞記者9年、米調査系コンサルティング会社で11年働いた後、起業。グローバルの同業者50か国400社・個人が会員の米国Intellenet日本代表、公認不正検査士、京都商工会議所専門アドバイザー。

◆AC15はAECなど傘下3グループで構成

東南アジア諸国連合(アセアン)加盟10カ国によるアセアン共同体(ASEAN Community、 AC15)が2015年末に発足した。アセアン共同体は計6億2000万人、2兆5000億米ドルのGDPを擁する。3グループのうち、「単一市場と生産基地」を目指すAECが何かと注目を集め、16年2月4日に署名された環太平洋経済連携協定(TPP)と並んで、頻繁にニュースに取り上げられる。日本企業にとってもビジネス拡大の素地は大きく、景気後退が言われる今後数年も、企業の進出傾向は変わらないと見られる。地域では、弁護士事務所、コンサルティング・ファームのAEC、TPP関連セミナーが昨年来急増。かく言う筆者の会社も、通商対策に元ジェトロの方をアドバイザーに迎えるなどして対応力を上げている。

共同体は実は3グループから構成されている。経済共同体(ASEAN Economic Community、 AEC)、社会・文化共同体(ASEAN Socio-Cultural Community、ASCC)、政治・安全保障共同体(ASEAN Political-Security Community、APSC)だ。今回は、あまり陽の当たらないASCCについてご紹介したい。TPPなどと並んで域内統合が進むと、皮肉なことだが、実は犯罪や貧困も拡散すると言われ、社会セーフティネットへの視点も維持する必要があるからだ。摩天楼の中で目立ちにくくなっている(シンガポールにも多くいる)生活困窮者や身を売って生計を立てる人たちが、より厳しい立場に追いやられている現状も無視できない。
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タイはテロリスト天国
『アセアン複眼』第10回

9月 18日 2015年 国際

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佐藤剛己(さとう・つよき)

企業買収や提携時の相手先デュー・デリジェンス、深掘りのビジネス情報、政治リスク分析などを提供するHummingbird Advisories 代表。シンガポールと東京を拠点に日本、アセアン、オセアニアをカバーする。新聞記者9年、米調査系コンサルティング会社で11年働いた後、起業。グローバルの同業者50か国400社・個人が会員の米国Intellenet日本代表。公認不正検査士。

バンコク中心部で8月に起きた爆弾テロ事件で、偽造パスポートの問題が改めて浮かび上がった。パスポートの盗難や偽造・変造について日本人の間で聞くのは「ちょっとしたすきにホテルで盗まれた」「ゴルフをしていたらコインロッカーで……」など、当人のその後の苦労はともかく、あまり深刻さを感じない文脈での話が多い。だが、タイでは入国管理の緩さと併せ、テロを助長する原因になっている。

◆イスラエル人を狙うイスラム勢力

バンコク爆弾テロ事件で8月27日に最初に逮捕された容疑者の男は、トルコ国籍を示す偽造パスポートを所持していた。また、警察が逮捕の際に押し入ったバンコク東部ノンチョク地区のアパートには約100冊の偽造パスポートがあったという。
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シンガポール人にとっての兵役
『アセアン複眼』第9回

7月 31日 2015年 国際

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佐藤剛己(さとう・つよき)

企業買収や提携時の相手先デュー・デリジェンス、深掘りのビジネス情報、政治リスク分析などを提供するHummingbird Advisories 代表。シンガポールと東京を拠点に日本、アセアン、オセアニアをカバーする。新聞記者9年、米調査系コンサルティング会社で11年働いた後、起業。グローバルの同業者50か国400社・個人が会員の米国Intellenet日本代表。公認不正検査士。

戦後70年の節目に、日本の安全保障のあり方についての議論が活発になっている。この分野で多少心得のある身としては言いたいことはあるものの、本稿ではシンガポール人の日々の言葉や行動から読み取れる彼らの兵役に対する考え方を紐(ひも)解いてみたい。そこからシンガポールが安全保障にどう取り組み、それが日本とどう違うか、8月15日を前に読者に考えていただく参考になれば幸いである。

◆シンガポール国軍の姿

今年建国50周年を迎えるシンガポール。陸軍を主体に約7万人が現役である。建国当時は歩兵連隊2個1000人しか自前の兵士がおらず、しかもほぼ全員が当時在住の非シンガポール人だったとされる。徴兵制が始まったのは、駐留イギリス軍が撤退を決めた1967年。周囲を大国(しかもイスラム教徒の国)に囲まれ、国土を守るには職業軍人だけでは足りない状況だった。イスラエルから極秘に専門家を招へいし、軍や徴兵システム、また諜報(ちょうほう)手法まで協力を仰いで今日の基礎を築いた。イスラエルとシンガポールは軍事面で今も協力関係にある。
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70年後の「帰還」
『アセアン複眼』第8回

7月 03日 2015年 国際

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佐藤剛己(さとう・つよき)

企業買収や提携時の相手先デュー・デリジェンス、深掘りのビジネス情報、政治リスク分析などを提供するHummingbird Advisories 代表。シンガポールと東京を拠点に日本、アセアン、オセアニアをカバーする。新聞記者9年、米調査系コンサルティング会社で11年働いた後、起業。グローバルの同業者50か国400社・個人が会員の米国Intellenet日本代表。公認不正検査士。

栃木県のJR宇都宮駅から北へ20キロほど行ったところに、関東では珍しいリンゴ栽培の地、石那田(いしなだ)の集落がある。1944年のインパール作戦を戦い、24歳で亡くなった旧日本兵、半田進(はんだ・すすむ)さんの生家があるところだ。先月、ここに半田さんの日の丸が70余年を経て還(かえ)る、という稀有(けう)な出来事に立ち会うことができた。今回は個人的体験をお許しください。

◆インパール作戦と半田さん

本人が戦地から送った手紙などによると、半田さんの所属はインパール作戦(日本軍「ウ号作戦」)を戦った3個師団のうち、第33師団歩兵第214連隊6823部隊。第33師団は、南北のインド・ビルマ(当時)国境に沿うアラカン山脈を流れるカバウ河谷(かこく)から西側へインド制圧を狙った師団で、英軍第4軍(インパール)と戦った。
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インドネシア政治の影の仕事師
『アセアン複眼』第7回

6月 26日 2015年 国際

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企業買収や提携時の相手先デュー・デリジェンス、深掘りのビジネス情報、政治リスク分析などを提供するHummingbird Advisories 代表。シンガポールと東京を拠点に日本、アセアン、オセアニアをカバーする。新聞記者9年、米調査系コンサルティング会社で11年働いた後、起業。グローバルの同業者50か国400社・個人が会員の米国Intellenet日本代表。公認不正検査士。

ジョコ・ウィドド大統領のもとで更なる経済成長を図るインドネシア。しかし、2015年明けに表面化した国の特別捜査機関、汚職撲滅委員会(KPK)と国家警察の対立は、半年以上たっても尾を引いている。本稿は地元情報を交えて、騒動の中で垣間見える「黒子」らしき仕事師の影にスポットを当ててみた(註1)。

◆汚職撲滅委と国家警察、対立の黒子

KPKは「インドネシアで汚職と戦う希望の星」というほど民衆の期待を背負う国家機関。最近も組織を率いるトップの5ポストを公募したところ、弁護士や民間人100人以上の応募があった。一方の国家警察は、「インドネシアで最も汚職にまみれた機関」(Transparency International)とも言われる好対照な組織で、国内では今も隠然たる力を持っている。02年のKPK創設以来、両者は長らくつばぜり合いを続けてきた。
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ラスベガスで逮捕されたマレーシア人と政府の奇妙な関係
『アセアン複眼』第6回

3月 20日 2015年 国際

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佐藤剛己(さとう・つよき)

企業買収や提携時の相手先デュー・デリジェンス、深掘りのビジネス情報、政治リスク分析などを提供するHummingbird Advisories 代表。シンガポールと東京を拠点に日本、アセアン、オセアニアをカバーする。新聞記者9年、米調査系コンサルティング会社で11年働いた後、起業。グローバルの同業者50か国400社・個人が会員の米国Intellenet日本代表。公認不正検査士、独立行政法人中小企業基盤整備機構・国際化支援アドバイザー(3月末で退任)

今回は、マレーシア人のカジノ界の大物が、米ラスベガスで違法賭博容疑で逮捕され、その後、警察を管轄するマレーシア内相がこの男性を支持する手紙を米連邦捜査局(FBI)に出していた、という話をご紹介したい。いわゆる「政商」はアセアンでは数多く「活躍」。その存在は見え易く、また異様な存在感醸している。英字メディアでも細かく見ていくと、小さな事件から政治と裏社会のつながりの片鱗(へんりん)を垣間見ることができて、なかなか興味深い。

◆サッカー・W杯開催中の逮捕劇

2014年7月9日、ラスベガスのシーザーズパレス・ホテルのヴィラで、マレーシア・ギャンブル界の大物ポール・プア・ウィセン(Paul Phua Wei Seng)氏と息子のダレン・プア・ワイキット(Darren Phua Wai Kit)氏がFBIに違法賭博の疑いで捜査された(逮捕は14日)。FBIの捜査員がホテルの部屋に入った当時、親子と仲間らは、彼らが運営するオンラインのサッカー賭博サイトと、テレビ画面に映るサッカー・ワールドカップ(W杯)のオランダ対アルゼンチンの試合のライブ放送に見入っていた、という。
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