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警視庁公安部で「反乱」が起きた
内部告発が突き崩した冤罪
『山田厚史の地球は丸くない』第251回

11月 24日 2023年 社会

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

2022年2月11日付の拙稿第206回で「大川原化工機」(本社・横浜市)を巡る冤罪(えんざい)事件を取り上げた。警視庁公安部が、液体を粉末にする機械を作る町工場を「軍事転用できるハイテク機器を中国に輸出する怪しい企業」に仕立て上げた。社長らを逮捕したものの、見込み捜査は見事に外れ、起訴が取り消されるという、お粗末極まりない冤罪事件となった。その顛末(てんまつ)は前回書いた通りだが、大川原化工機の社長らが起こした損害賠償訴訟の法廷で、驚くべき事態が発生した。捜査に関わった公安部の警部補が「事件は捏造(ねつぞう)」と言い放ち、もう1人の警部補も「(幹部は)捜査のマイナス情報を取り上げなかった」と証言した。

警察官が自ら関わった捜査の不当性を裁判の場で証言したのである。上司が指揮する捜査を部下の警官が公然と批判する「下剋上(げこくじょう)」である。一体、警視庁の内部で何が起きているのか。 記事全文>>

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「先憂後楽」岸田首相に欠ける資質
「道半ば」でも給与は上げる
『山田厚史の地球は丸くない』第250回

11月 10日 2023年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

お客様から預かったクルマにわざと傷をつけて修理代金を増やしていた、と問題となったビッグモーター(BM)。そんな違法行為を知りながら、他社に先駆けてBMとの保険契約を再開した損保ジャパン。契約再開を主導したのは社長だった白川儀一氏とわかり、社長を辞任。これにて一件落着かと思われたが、終わらなかった。金融庁は損保ジャパンの親会社SOMPOホールディングスに立ち入り検査に踏み切った。

「親会社の責任」が焦点となっている。なぜか? SOMPOホールディングスの櫻井謙吾グループCEO兼取締役兼代表執行役会長のワンマン体制に問題の根源がある、と金融庁は疑っている。ワンマンぶりの表れが「飛び抜けて高い」とされる櫻井氏の報酬だ。損保業界首位の東京海上HD小宮暁社長の報酬が1億7000万円程度であるのに、業界3位のトップ櫻井氏は4億7000万円(2023年度)。この「不釣り合いぶり」が業界で話題になっていた。

白川社長は親会社の意向に沿ってBMに甘い決定としたのではないか。櫻井ワンマン体制は4億7000万円の報酬に値する立派な経営をしていたのか、金融庁の検査の注目が集まっている。 記事全文>>

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「買収減税」に政権崩壊の兆し
状況に引きずられる無責任政治
『山田厚史の地球は丸くない』第249回

10月 27日 2023年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

臨時国会が始まり、岸田首相の顔を頻繁に見かけるようになった。演説も答弁も、紙を読んでいる。抑揚をつけ、句読点で区切りながら、丁寧に読むが、言葉が伝わってこない。官僚作文に頼るからか。無味乾燥なのはそれだけではなさそうだ。掲げる政策や政治の方向に岸田文雄の魂がこもっているように思えない。「こんな政策、やるつもりはなかった」というような、どこか醒(さ)めた思いが表情や口調ににじんでいる。典型が「所得税減税」だ。

これから増税が始まる、と多くの人は身構えている。防衛予算を倍増してGDP(国内総生産)の2%に引き上げる。人口減少に対処するため少子化対策に力を入れる。介護・子育ての充実、教育や職業訓練など、税金の投入先は膨らむばかりだ。財源を本気で考えるなら増税は不可避――。そんな状況の中で「所得税を減らします」というのだから、世の中にどよめきが起きた。 記事全文>>

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岸田首相のテレサ・テン
「時の流れに〜」が招いた日本の不幸
『山田厚史の地球は丸くない』第248回

10月 13日 2023年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

「岸田政権、もう2年だよ」「えっ、もうそんなになったのか」

この手の会話をよく耳にする。それほど印象の薄い政権だが、やっていることは、中国を敵視する「安保政策大転換」や「原発推進へのUターン」といった未来への針路を危うくする政策だ。希薄な存在感と強面(こわもて)政策。このギャップをどう考えたらいいのか。

岸田文雄は「気配のない政治家」である。意識して「気配と消す」というほど周到とは思えない。存在感が希薄、首相という輪郭が見えないまま、透明人間のように状況に溶け込む。「気配を感じさせない政治家」と言った方がいいかもしれない。 記事全文>>

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与那国 要塞化する島
日本の最西端 いま何が起きている?
『山田厚史の地球は丸くない』第247回

9月 29日 2023年 社会

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

「南西諸島の防衛力強化」が、盛んに言われるようになった。沖縄といえば米軍基地だが、宮古島、石垣島など離島にミサイルを配備しているのは自衛隊だ。

「台湾有事」が囃(はや)され、「海洋進出の動きを強める中国」などと不安を煽(あお)り、「抑止力の強化」が当然のように叫ばれているが、現地の人々はどう受け止めているのか。それが知りたくて、日本西端の島・与那国島(よなぐにじま)を訪れた。 記事全文>>

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自民党の「新しいお姫さま」
岸田首相「女性重視」の内実
『山田厚史の地球は丸くない』第246回

9月 15日 2023年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

「高い実務能力と選挙対策への知見を培ってきた。こうした能力や知見を生かしていただきたい」

一瞬、冗談かと思った。岸田首相は、小渕優子氏を自民党選挙対策本部長に抜てきした理由を、記者会見でこう述べた。

選挙対策への「高い能力と知見」が小渕氏にある? 真っ先に思い浮かんだのは、ドリルで破壊されたハードディスクの一件である。 記事全文>>

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「水産物禁輸」は何の報復か?
外交を失った国の悲劇
『山田厚史の地球は丸くない』第245回

9月 01日 2023年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

原発事故から12年余、廃墟となった東京電力福島第一原子力発電所から「核汚染処理水」放出が8月24日始まった。「海を日本の下水道にするな」と警告していた中国は、態度を硬化させ「水産物の全面禁輸」に踏み切った。

野村哲郎農水大臣は「想定外の事態」と驚きを隠さず、自民党からは「WTO(世界貿易機関)に提訴すべきだ」との声も上がっている。その一方で、中国から抗議と怒りの電話が日本各地に殺到、「迷惑電話」が話題となった。メディアは「嫌がらせ」と報じ、岸田首相は「遺憾なことと言わざるをえない」と抗議。処理水放出は、是非論を超え、日中関係をますます険悪させ、反中感情を刺激している。 記事全文>>

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「戦う覚悟」を政治家が叫び始めた
『山田厚史の地球は丸くない』第244回

8月 18日 2023年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

果たしてこれを「放言癖のある年寄り政治家の妄言(もうげん)」と片付けていいのだろうか?

訪問先台湾での麻生太郎自民党副総裁の発言である。

「日本、台湾、米国をはじめとした有志国に強い抑止力を機能させる覚悟が求められている。戦う覚悟だ。お金をかけて防衛力を持っているだけではダメなんだ。いざとなったら使う。台湾防衛のために」

台湾当局に招待され、内外の政治家や外交関係者を集めた席でのスピーチだった。

「台湾海峡の平和と安定は、わが国はもとより国際社会の安定にとって重要な課題だ。 最も大事なことは、台湾海峡を含むこの地域で戦争を起こさせないことだ」と言いつつ、そのための抑止力として日・台・米の結束を強調した。「抑止力は能力(戦力)がいる。そして、力を使うという意思を持ち、それを相手に教えておく。その三つがそろって抑止力になる」と語った。 記事全文>>

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臆病者?それとも策士?
問われる植田日銀総裁の真贋
『山田厚史の地球は丸くない』第243回

8月 04日 2023年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

日本銀行の第32代総裁・植田和男の評価が揺れている。前任の黒田東彦(はるひこ)総裁は異次元の金融緩和で経済活性化を狙ったが果たせず、途方もない歪(ゆが)みを市場に残した。「黒田は自ら手を染めた政策を修正することを嫌った。やれるのは新しい総裁だ」と、市場は植田に期待した。だが、就任から100日近くが経っても、植田にその意欲が感じられない。「本気で金融政策の正常化をする気があるのか」と疑いの目が注がれている。総裁は臆病者。そんな声さえ聞かれる。

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税源が国家を破壊する兵器ローン
元凶は「安倍爆買い」 逃げ道は「軍事国債」
『山田厚史の地球は丸くない』第242回

7月 21日 2023年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

「防衛費を5年で倍増」。そう決めておきながら、財源が決まらない。岸田政権は、増税は不可避とみて「2024年以降の適切な時期に」としていた。ところが今になって「増税はしたくない」と自民党保守派が渋り、なすすべもなく議論は先送りとなった。

財源がないから防衛費の積み増しをやめる、というならそれは一つの見識だが、政府も自民党もそんな気はさらさらない。

防衛費倍増は米国に約束している。増税には党内外に抵抗がある。だが、決断を先延ばししても遠からず(たぶん2年以内には)選択が迫られる。最悪は、何もしないまま「国債」に尻を回すことだ。「軍事国債」を兵器の支払いに充てるという「あってはならないこと」が、なし崩し的に始まろうとしている。 記事全文>>

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