古川弘介(ふるかわ・こうすけ)
海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。
◆はじめに
法人企業統計調査のデータをもとに、増大する内部留保が映す日本経済の課題について考えている。本稿では、「その3」として、企業利益の増大にもかかわらず、賃金が上がらない要因を考えたい。
◆問題認識
⚫️統計データが示す日本経済の病状
日本経済は、バブル崩壊後ずっと低迷が続いているという印象が強い。確かにGDP(国内総生産)成長率は低位で推移している。しかし、企業収益に焦点を当てると、異なる姿が現れる。図表1は、法人企業統計調査が示す過去半世紀の企業の変化を、売上高、減価償却費、従業員人件費、経常利益、内部留保残高の推移(指数表示:1997年度=100)で追ったものである。 記事全文>>