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経済成長と人口増加を折りたたむ
『みんなで機械学習』第43回

7月 24日 2024年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o株式会社ふぇの代表取締役。独自に考案した機械学習法、フェノラーニング®のビジネス展開を模索している。元ファイザージャパン・臨床開発部門バイオメトリクス部長、Pfizer Global R&D, Clinical Technologies, Director。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

◆個体差の機械学習

前回まで、個体差の機械学習(例えばフェノラーニング®)が実現される、近未来の「データの世界」を、シリーズ記事として記述してきた。「データ論」として、前例のない冒険談に挑戦した。人名や地名などの、固有名詞がある世界では、現在の機械学習(例えば、生成AI〈人工知能〉の大規模言語モデル)では不十分で、固有名詞を責任をもって解釈できない。個体差を理解(モデル化)できるようになれば、膨大な量のデータは不必要になり、個体差を示す表現型に関して網羅性のあるデータのほうが重要になる。筆者の理解では、現在の機械学習技術は、誕生したばかりの幼児段階で、社会的責任のレベルでは、小学生の段階にも至っていない。経済的な誘惑で、未熟な技術を巨大化するのではなく、未来に向けた課題を発見しながら、試行錯誤する時期のはずだ。機械学習の特許は、国別の特許出願数を争うのではなく、まさに「個性的」な特許を探し出して、新たな探索路を見いだすための、創造的なパテントマップを作ることから始めるとよいだろう。ディープラーニングの技術は、米国や中国などの覇権国家が作り出したものではなく、カナダの大学で発明された。個体差の機械学習(例えばフェノラーニング®)も、覇権国家の支配競争とは別次元の、文明論的な文脈で、みんなで機械学習しながら、おおきく成長してもらいたい。近代文明に行き詰まった人類の、最後の存続チャンスを切り開くのは、個体差の機械学習かもしれない。 記事全文>>

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データを食べる
『みんなで機械学習』第42回

7月 08日 2024年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o株式会社ふぇの代表取締役。独自に考案した機械学習法、フェノラーニング®のビジネス展開を模索している。元ファイザージャパン・臨床開発部門バイオメトリクス部長、Pfizer Global R&D, Clinical Technologies, Director。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

スモール ランダムパターンズ アー ビューティフル

1   はじめに; 千個の難題と、千×千×千×千(ビリオン)個の可能性

1.1 個体差すなわち個体内変動と個体間変動が交絡した状態

1.2 組織の集合知は機械学習できるのか

1.3      私たちは機械から学習できるのか

2   データにとっての技術と自然

2.1 アートからテクノロジーヘ

2.2 テクノロジーからサイエンス アンド テクノロジーへ

2.3 データサイエンス テクノロジー アンド アート

2.4 データサイクル

2.5 データベクトル

2.6 局所かつ周辺のベクトル場としてのデータとシミュレーション

3  機械学習の学習

3.1 解析用データベース

3.2 先回りした機械学習

3.3 職業からの自由と社会

3.4 認知機能の機械学習とデジタルセラピューティクス(DTx)

3.5 学習は境界領域の積分的探索-ニッチ&エッジの学習理論

3.6 機械学習との学習

4  機械学習との共存・共生・共進化-まばらでゆらぐ多様性

4.1 生活と経済の不確実性

4.2 生活と経済に関連する技術は、何を表現しているのか

4.3 スモール データ アプローチ-個体差のまばらでゆらぐ多様性

4.4 まばらでゆらぐ多様性の過去・現在・未来

4.5 生活の不確実性を予測する

4.6 弱い最適化脆弱性/反脆弱性からのスタート

4.7 ひとつのビッグ予測、たくさんのスモール適応

5  自発的な小組織(seif-motivated small organizations)

5.1 社会、地域、家族 vs. 国家、企業

5.2 組織は組織でできている組織サイクル

5.3 機械学習する組織

5.4 CAPDサイクル

5.5 ビジネス表現の個体差(AI中心8画面周辺モデル)

5.6 組織の周辺積分的思考

5.7 データサービス商品を創出する知的自由エネルギー産業-固有場知能農業

6  おわりに;生活と社会のビューティフル ランダム パターンズ

6.1 ほとんど色即是空・空即是色な世界

6.2 ランダムな人びと(前稿)

6.4 延長されたフェノラーニング®(本稿) 記事全文>>

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固有名詞
『みんなで機械学習』第41回

6月 19日 2024年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o株式会社ふぇの代表取締役。独自に考案した機械学習法、フェノラーニング®のビジネス展開を模索している。元ファイザージャパン・臨床開発部門バイオメトリクス部長、Pfizer Global R&D, Clinical Technologies, Director。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

『スモール ランダムパターンズ アー ビューティフル』

1   はじめに; 千個の難題と、千×千×千×千(ビリオン)個の可能性

1.1 個体差すなわち個体内変動と個体間変動が交絡した状態

1.2 組織の集合知は機械学習できるのか

1.3      私たちは機械から学習できるのか

2   データにとっての技術と自然

2.1 アートからテクノロジーヘ

2.2 テクノロジーからサイエンス アンド テクノロジーへ

2.3 データサイエンス テクノロジー アンド アート

2.4 データサイクル

2.5 データベクトル

2.6 局所かつ周辺のベクトル場としてのデータとシミュレーション

3  機械学習の学習

3.1 解析用データベース

3.2 先回りした機械学習

3.3 職業からの自由と社会

3.4 認知機能の機械学習とデジタルセラピューティクス(DTx)

3.5 学習は境界領域の積分的探索-ニッチ&エッジの学習理論

3.6 機械学習との学習

4  機械学習との共存・共生・共進化-まばらでゆらぐ多様性

4.1 生活と経済の不確実性

4.2 生活と経済に関連する技術は、何を表現しているのか

4.3 スモール データ アプローチ-個体差のまばらでゆらぐ多様性

4.4 まばらでゆらぐ多様性の過去・現在・未来

4.5 生活の不確実性を予測する

4.6 弱い最適化脆弱性/反脆弱性からのスタート

4.7 ひとつのビッグ予測、たくさんのスモール適応

5  自発的な小組織(seif-motivated small organizations)

5.1 社会、地域、家族 vs. 国家、企業

5.2 組織は組織でできている組織サイクル

5.3 機械学習する組織

5.4 CAPDサイクル

5.5 ビジネス表現の個体差(AI中心8画面周辺モデル)

5.6 組織の周辺積分的思考

5.7 データサービス商品を創出する知的自由エネルギー産業-固有場知能農業

6  おわりに;生活と社会のビューティフル ランダム パターンズ(前稿)

6.1 ほとんど色即是空・空即是色な世界(前稿)

6.2 ランダムな人びと(本稿) 記事全文>>

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能登半島地震 復興の遅れと被災地訪問断念の顛末
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第268回

6月 07日 2024年 社会

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住26年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

日本出張中の5月18~22日、仕事の関係で金沢を訪れた。石川県、特に金沢は私にとって日本では最も愛着を感じる街である。中学1年の終わりに父親が金沢に転勤になったため、私は東京に1人残った。夏休みや冬休みなど長期休暇になると、私は金沢に帰省した。60年近く前の話である。

当時は上野から金沢まで特急で8時間半、夜行の急行で13時間もかかった。現在は北陸新幹線で東京から金沢まで約2時間半、雲泥の差である。冬ともなると、1メートル以上の雪が積もり、毎日家の前の雪かきに追われた。雪の重みから枝を守るために準備された兼六園の雪吊(つ)りは地球温暖化のため今や無用の長物と化しているが、当時は風情を伴った美しい景色を作っていた。 記事全文>>

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『みんなで機械学習』第40回

6月 05日 2024年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o株式会社ふぇの代表取締役。独自に考案した機械学習法、フェノラーニング®のビジネス展開を模索している。元ファイザージャパン・臨床開発部門バイオメトリクス部長、Pfizer Global R&D, Clinical Technologies, Director。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

◆制作ノート

英国の経済学者エルンスト・シューマッハー(1911~1977年)の「スモール イズ ビューティフル」における中間技術の提案を、「みんなで機械学習」として実現するため、「スモール ランダムパターンズ アー ビューティフル」という拙稿を連載している。前回は、人工知能(AI)の根っことなる「固有場知能」(ネイティブ・インテリジェンス)を、本シリーズの到達点としてまとめ、「固有場知能」を活用する農業を次のシリーズの宿題とした。「スモール ランダムパターンズ」は、本当に「ビューティフル」なのだろうか。「ランダム」な「パターン」は、そもそも矛盾した概念だ。しかし、自然においては、量子力学の2重スリット実験のように、論理的には理解しがたい確率的な「ランダムパターンズ」が存在することも事実だ。筆者は中学時代から西洋哲学にはまり、論理学の本も多数読んでいる。厳密な数理論理学(ゲーデルの不完全性定理など)によって明らかになったことは、論理は数学の証明には不可欠であっても、数学を記述するためには表現力不足ということだ。言語や絵画の表現力が、数学よりも豊かであることは疑いようがない。それでも、「スモール ランダムパターンズ」は「ビューティフル」か、という問いに答えは無さそうだ。論理で考えれば、無から有は生まれない。しかし、真空から対称性の破れによって、エネルギーや物質が生まれる。「空」を真空と考えるか、雲がある「そら」と考えるのかは、文脈に依存してはいるものの、「空」をどのようにイメージするのか「自由」だ。「ランダムパターンズ」の「自由度」が、「ビューティフル」かどうかは、人びとと共有する表現の場が「自由」であることを問うているようにも思われる。 記事全文>>

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NI(ネイティブ・インテリジェンス、固有場知能)
『みんなで機械学習』第39回

5月 23日 2024年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o株式会社ふぇの代表取締役。独自に考案した機械学習法、フェノラーニング®のビジネス展開を模索している。元ファイザージャパン・臨床開発部門バイオメトリクス部長、Pfizer Global R&D, Clinical Technologies, Director。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

◆制作ノート

英国の経済学者エルンスト・シューマッハー(1911~1977年)の「スモール イズ ビューティフル」における中間技術の提案を、「みんなで機械学習」として実現するため、「スモール ランダムパターンズ アー ビューティフル」という拙稿を連載している。前回は、近代合理主義の微分的思考との比較で、データの機械学習を積分的思考として描写してみた。今回が最後の各論となる。NI(ネイティブ・インテリジェンス、固有場知能)を活用する農業を、近未来のデータ文明に向かう産業的な試行錯誤として再考してみたい。「スモール ランダムパターンズ アー ビューティフル」は途中の画像以降なので、制作ノートに相当する前半部分は、飛ばし読みしてください。逆に言うと、制作ノートは形式にこだわっていないので、まとまりがないけれども読みやすいかもしれません。 記事全文>>

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団塊の世代最後の闘い
私たちの「終活」
『山田厚史の地球は丸くない』第263回

5月 17日 2024年 社会

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

かつての学友が50数年ぶりに集まった。それぞれ二十歳(ハタチ)の青春は大学紛争のさなかだった。爪痕(つめあと)をキャンパスや自らの内心に残し、就職して企業戦士となった者、バブルに踊り不良債権の処理にまみれた銀行員、大学に留まり医局改革で孤立した医学生……。道はそれぞれ違ったが、みな10年ほど前に現役を終え、いまや後期高齢者である。「終活」に話題が及ぶと、1人が言った。「あの世に行く前に、今の世の中に、落とし前をつけたい」

吉野源三郎の『君たちはどう生きるのか』は、若者に「生きる意味」を正面から問いかける著作として話題になった。終活を意識する高齢者にとって「君たちはどう生きたか」が人生の意味を考える問いかけだろう。 記事全文>>

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書き切れなかった見聞記 思いのままに
「4か国回遊生活」オーストラリア再訪編(その4完)
『四方八方異論の矛先-屋台村軒先余聞』第19回

5月 13日 2024年 社会

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元記者M(もときしゃ・エム)

元新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。座右の銘は「壮志凌雲」。2023年1月定年退職。これを機に日本、タイ、ラオス、オーストラリアの各国を一番過ごしやすい時期に滞在しながら巡る「4か国回遊生活」に入る。日本での日課は3年以上続けている15キロ前後のウォーキング。歩くのが三度の飯とほぼ同じくらい好き。回遊生活先でも沿道の草花を撮影して「ニュース屋台村」のフェイスブックに載せている。

オーストラリア・シドニーでの「回遊生活」も3か月目に入った。小雪舞う東京から到着した3月初めのシドニーは夏の終わりから秋にさしかかろうとしていたが、それでも日中の最高気温が30度以上になる日が多く、強い日差しと紫外線に「南半球にいる」ことをいきなり実感した。

シドニーは日本の約20倍の広さがある豪州の東南部に位置するニューサウスウェールズ州の州都で、隣接するビクトリア州の州都メルボルンに次いで2番目に人口が多い。シドニーもメルボルンも四季がはっきりしている温帯性気候で、私たちが滞在しているシドニーは5月に入って雨の日が多くなった。

日本では気温が25度を超えて夏日となる地点が増えているというのに、「秋の長雨」をまさかシドニーで経験するとは思わなかったが、Tシャツと短パン姿の若者に交じってダウンジャケットを着たりマフラーを巻いたりしている人の数がにわかに多くなり、本格的な秋の到来をいやおうなしに感じている。 記事全文>>

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AI技術は、AI技術者に任せておくには重要すぎる
『みんなで機械学習』第38回

5月 07日 2024年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o株式会社ふぇの代表取締役。独自に考案した機械学習法、フェノラーニング®のビジネス展開を模索している。元ファイザージャパン・臨床開発部門バイオメトリクス部長、Pfizer Global R&D, Clinical Technologies, Director。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

◆制作ノート

英国の経済学者エルンスト・シューマッハー(1911~1977年)の「スモール イズ ビューティフル」における中間技術の提案を、「みんなで機械学習」として実現するため、「スモール ランダムパターンズ アー ビューティフル」という拙稿を連載している。前回は、AI(人工知能)を中心にして、4隅を固有名詞でピン止めする、ビジネス表現の8画面周辺モデルについて考えてみた。食文化の機械学習という話題から、食と農業におけるAIの役割、そして「みんなで機械学習する」DIYから、シューマッハーの食と農業の中間技術へと、出発点に戻ってきた。「スモール ランダムパターンズ アー ビューティフル」は途中の画像以降なので、制作ノートに相当する前半部分は、飛ばし読みしてください。逆に言うと、制作ノートは形式にこだわっていないので、まとまりがないけれども読みやすいかもしれません。 記事全文>>

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中国 改めて感じる影響力と存在感
「4か国回遊生活」オーストラリア再訪編(その3)
『四方八方異論の矛先-屋台村軒先余聞』第18回

4月 30日 2024年 社会

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元記者M(もときしゃ・エム)

元新聞社勤務。南米と東南アジアに駐在歴13年余。座右の銘は「壮志凌雲」。2023年1月定年退職。これを機に日本、タイ、ラオス、オーストラリアの各国を一番過ごしやすい時期に滞在しながら巡る「4か国回遊生活」に入る。日本での日課は3年以上続けている15キロ前後のウォーキング。歩くのが三度の飯とほぼ同じくらい好き。回遊生活先でも沿道の草花を撮影して「ニュース屋台村」のフェイスブックに載せている。

◆日本は案外幸せな国?

ほぼ確信的に言えることだが、私自身もかつてそうだったように、日本を離れ海外で長く暮らしている日本人の多くは、日本の現状を自虐的に見たり考えたりして批判する傾向があるようだ。彼らの思い描く日本の姿は、最も繁栄した「古き良き時代」のほんの一瞬を切り取ったもので、不可逆的な今の世の中にあっては決して戻ってこない画餅(がべい)に他ならない。

しかし内心、それが十分わかっていながら、日本を離れている時間が長くなればなるほど、古き良き時代に味わった自らの体験と日本への郷愁的な気持ちや応援したい気持ちがついつい過剰に合わさって倍加され、憎悪にも似た気持ちに逆転してしまうことさえある。かつての日本は「ユートピア」のように思えたのに、その現状を海外から見ると、目を覆いたくなるほどのなんという体たらく――。日本への自虐的な思いも不信の念もいっそう強まるのだろう。 記事全文>>

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