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Canva実況中継(その2)
夢みる機械の周辺
『みんなで機械学習』第73回

10月 27日 2025年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

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株式会社ふぇの代表取締役。独自に考案した機械学習法、フェノラーニング®のビジネス展開を模索している。元ファイザージャパン・臨床開発部門バイオメトリクス部長、Pfizer Global R&D, Clinical Technologies, Director。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

◆予測する未来と夢みる未来

本論考では、個体差の機械学習について考えている。例えば、認知症患者に治療薬を投薬するときに、一定期間後の薬効を評価すると、患者によっては症状の改善効果がある場合と効果が無い場合がある。薬効の個体差は、症状の予後変化に依存するので、とても複雑だ。症状の予後変化は、未来を予測するという意味では、天気予報とあまり変わらない。

現在の天気予報は、雨雲データなどをリアルタイムで観測しているし、現在の天気をユーザーがフィードバックする。直近の天気は、天気予報というよりは、天気レポートの感がある。中長期の天気予報はあまり当たらないので、薬効予測と似ている。薬効予測は不十分でも、診断技術は急速に正確になっていることも、天気予報に似ているかもしれない。個体差といっても、個体間変動(inter-individual-variability)だけではなく、個体内変動(intra-individual-variability)もある場合で、個体間変動と個体内変動が複雑に交絡(こうらく)している状況は、実際に頻繁にある。このように複雑な状況では、現在の統計解析の技術では、占い師の未来予測のレベルと大きくは変わらないのだろう。 記事全文>>

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