引地達也(ひきち・たつや)
コミュニケーション基礎研究会代表。就労移行支援事業所シャローム所沢施設長。ケアメディア推進プロジェクト代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長など。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。
◆癒やされたメディアは何?
「癒やされたメディアは何ですか?」。私が施設長を務める精神疾患者向けの就労移行支援事業所シャローム所沢での講座で、利用者にそんな質問を投げかけてみると、返ってきた答えは、音楽と映画が大半であった。例えば米国映画「グッド・ウィル・ハンティング」だったり、痛快なミュージカルコメディーの米国映画「ブルースブラザーズ」。音楽ならば中島みゆきの「時代」など。
その作品化した「メディア」の数々は、決してテレビ番組ではなく、作り手が精魂こめて練り上げた熟成されたものばかりであった。精神疾患者が癒やされるのは、簡単な作り込みで済ませてしまうメディアではない。何かを訴え、強い感情を伝えようという意思が積み上げられた作品こそが、人の心を揺さぶる、という視点は間違っていないように思う。
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