佐藤剛己(さとう・つよき)
企業買収や提携時の相手先デュー・デリジェンス、深掘りのビジネス情報、政治リスク分析などを提供するHummingbird Advisories 代表。シンガポールと東京を拠点に日本、アセアン、オセアニアをカバーする。新聞記者9年、米調査系コンサルティング会社で11年働いた後、起業。グローバルの同業者50か国400社・個人が会員の米国Intellenet日本代表。公認不正検査士。
ジョコ・ウィドド大統領のもとで更なる経済成長を図るインドネシア。しかし、2015年明けに表面化した国の特別捜査機関、汚職撲滅委員会(KPK)と国家警察の対立は、半年以上たっても尾を引いている。本稿は地元情報を交えて、騒動の中で垣間見える「黒子」らしき仕事師の影にスポットを当ててみた(註1)。
◆汚職撲滅委と国家警察、対立の黒子
KPKは「インドネシアで汚職と戦う希望の星」というほど民衆の期待を背負う国家機関。最近も組織を率いるトップの5ポストを公募したところ、弁護士や民間人100人以上の応募があった。一方の国家警察は、「インドネシアで最も汚職にまみれた機関」(Transparency International)とも言われる好対照な組織で、国内では今も隠然たる力を持っている。02年のKPK創設以来、両者は長らくつばぜり合いを続けてきた。
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