古川弘介(ふるかわ・こうすけ)
海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。
◆ 本稿の狙い
最近、続けて2本の興味深い映画を見る機会があった。『マルクス・エンゲルス』と『修道士は沈黙する』(*注1)である。時代背景や題材は違うが、ともに資本主義が生み出す貧困と不平等への批判をテーマとした映画だ。前者はカール・マルクス生誕200年記念作品と銘打たれ、若きマルクスが盟友フリードリヒ・エンゲルスと出会い、労働者の貧困、不平等への道徳的怒りをエネルギーに『共産党宣言』(1848)を書くまでを描いている。マルクスの思想は過去のものではないというメッセージが伝わってくる。
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