п»ї 副資材にも必要な輸入申告『実録!トラブルシューティング』第35回 | ニュース屋台村

副資材にも必要な輸入申告
『実録!トラブルシューティング』第35回

8月 26日 2016年 経済

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東洋ビジネスサービス

1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。

今回は、通関の際のちょっとしたことが大きなトラブルとなってしまったケースについてご紹介します。

◆日本で買った工作機械が輸入できない!

あるお客様から、とても焦った様子で電話がありました。業務で使用するための工作機械を日本で購入し、タイの工場で受け入れ準備をしていたところ、輸入通関業務を依頼しているフォワーダー(代理業者)から連絡があり、機械の輸入が出来ない可能性があり、最悪の場合は日本へ返送(シップバック)しなければならなくなる可能性があるとのことです。

一体何が起こったのか聞いてみたところ、日本からタイに輸出した機械に、副資材である洗浄液と接着剤、接続用のコードが機械に同包されていたため、税関を通ることが出来ないとのことです。

慌てて書類を確認してみると、インボイスや船積書類には、副資材がしっかりと記載されていました。しかし、タイに輸入する際はその上に全て船積書類に記載された通りに輸入申告をしなければなりません。そして、貨物によっては更にライセンスが必要な場合があります。

貨物を輸入する際には、一部でもライセンスがない場合には、その便で来た貨物は全て輸入できなくなります。輸出者が気を利かせて副資材を同包してくれたのだと思いますが、結果として、本命の機械が輸入できなくなってしまいました。

◆悪意がないトラブル・過失でも被害は甚大

何の変哲もない洗浄液や接着剤、接続用のコードですが、輸入者の輸入ライセンスとその貨物の輸入許可証がないと密輸となってしまいます。税関も通すわけにはいきません。

とても厳しく感じられるかもしれませんが、税関としては、違法薬物、銃器、偽札や偽クレジットカード、偽ブランド商品など、知的財産権侵害物などがタイ国内へ流入するのを防ぐために日夜厳しく取り締まるのが彼らの仕事です。決まりを曲げるわけにはいきません。

今回のケースでは、副資材を廃棄することを認めてもらう、または、日本へシップバックし、再度梱包(こんぽう)し直して最初から機械のみで輸出をやり直すかの二つの選択肢があります。

前者の場合には、そもそも廃棄が認められるかどうかも定かではありません。もし廃棄をした場合でも、税関に廃棄をしたという履歴が残ってしまうので、今後、廃棄をした物に関係する物品を正規に輸入しようと思った場合、何か問題が起こる可能性もあります。

後者の場合には、税関でのトラブルですので、返送費用は事故やダメージに対してかけられている保険の対象外となります。全額費用負担をしなければいけません。どちらにしても、時間とお金の両方がかなりかかります。頭を抱えてしまいますが仕方がありません。

このように悪意がないトラブル・過失だとしても被害は甚大です。解決に向けてコネクションを通じて相談するなどの裏技は通用しませんので、全ての手続きには細心の注意を払うことをお勧めいたします。

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