山田厚史(やまだ・あつし)
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。
自民党では悪評嘖嘖(さくさく)の首相だが、世間の評判はさほど悪くない。誠実さをたたえる声さえもあり、「石破おろし」に反発する「石破辞めるな!」のデモさえ国会周辺で起きている。
「石破首相らしさ」が滲(にじ)み出たのが8月6日、広島の平和記念式典でのあいさつ文だった。原爆投下80年、毎年繰り返される行事だが、手あかが付いた政治的決まり文句を排し、自分の思いを込めた言葉を選び、最後に被爆歌人・正田篠枝(しょうだ・しのえ)さんの短歌「太き骨は先生ならむ そのそばに 小さきあたまの骨 あつまれり」を、2度繰り返し、締めくくった。
あいさつの後、首相は自らの思いは「あの歌に全て尽くされている」と語った。被爆者や平和団体ばかりかSNSでも「ありがとう」の声が上がった。石破の言葉が際立ったのは、過去に安倍首相、菅首相が読んだあいさつ文が、ひどいものだったからだ。 記事全文>>