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「内部留保」について考える
その5 まとめ
『視点を磨き、視野を広げる』第85回

10月 22日 2025年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

◆はじめに

本稿は、「『内部留保』について考える」その1〜4のまとめである。本来連動していた企業利益と賃金・投資が連動しなくなった要因と課題という視点から論点を整理した。

法人企業統計調査が示すのは――内部留保の増加は企業利益の上昇を反映したものであり、企業に財務基盤の強化をもたらしている/一方で企業は1990年代後半以降コストカット経営を進め、人件費や国内投資を抑制している/内部留保は、海外への直接投資や現預金の増加に形を変えている――。 記事全文>>

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一日のうちに四季の移ろい
オーストラリア・シドニーを歩く(その1)
『四方八方異論の矛先-屋台村軒先余聞』第21回

10月 20日 2025年 社会

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記者M(きしゃ・エム)

元新聞記者。「ニュース屋台村」編集長。南米と東南アジアに駐在歴13年余。座右の銘は「壮志凌雲」。2023年1月定年退職。これを機に日本、タイ、ラオス、オーストラリアの各国を一番過ごしやすい時期に滞在しながら巡る「4か国回遊生活」に入る。日本での日課は5年以上続けている15キロ前後のウォーキング。歩くのが三度の飯とほぼ同じくらい好き。回遊生活先でも沿道の草花を撮影して「ニュース屋台村」のフェイスブックに載せている。

9月のオーストラリア・シドニーは例年なら春が始まったばかりの過ごしやすい時期だが、今年はそうでもないらしい。私と妻は9月半ばからシドニーに滞在しているが、来る直前の2週間ほどは毎日ずっと雨だったという。

私たちが到着して以来、幸いまとまった雨はまったく降っていないが、気温は朝方に一けた台まで下がっても日中は35度近くまで上がる日がある。一日の寒暖差は優に20度以上あり、朝から夜までのわずかな間に四季の移ろいを肌で感じている。 記事全文>>

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高市早苗とゾーラン・マムダニ
新たなリーダー 日米の違い
『山田厚史の地球は丸くない』第299回

10月 17日 2025年 国際, 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

トランプ米大統領の足元で、新たな変化が始まっている。11月4日に投票されるニューヨーク市長選で、民主党候補が勝ちそうだ。「民主社会主義者」を自認する33歳のゾーラン・マムダニ氏。来年の中間選挙への流れが、変わるかもしれない。

マムダニ氏はアフリカのウガンダ出身、インド系の家族と共に7歳でアメリカに渡ったイスラム教の移民である。白人第一、移民を蔑(さげす)み、イスラムを警戒する「トランプ的価値観」の対極にある人物。そんな若者が、既存の政治家を引き離し、アメリカ最大都市のリーダーに躍り出ようとしている。 記事全文>>

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Canva実況中継(その1)
お絵描きDIY
『みんなで機械学習』第72回

10月 13日 2025年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

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株式会社ふぇの代表取締役。独自に考案した機械学習法、フェノラーニング®のビジネス展開を模索している。元ファイザージャパン・臨床開発部門バイオメトリクス部長、Pfizer Global R&D, Clinical Technologies, Director。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

◆個体差の位相

主体性のある個人だけではなく、会社や国家のような集団においても、個性や個体差はある。個体は、自他を区別するというよりも、個体の内側と外側を区別する仕組みに思える。その意味で、個体差にとって最重要なのは、個体の境界となる場所だ。個人の個体差では、性別や年齢そして肌の色など、外見が重要視される。集団の場合は、大きさが重要視される。

個体の外見は、誰がどこから見ているのかということで、解釈が大きく変化する。多分、中世では神の視点から、近代では抽象的で普遍的な「人間」の視点から見ていたのだろう。個体の境界の近くにいる他者からの視点は、生活者の視点となる。集団も、地域の視点が重要だ。 記事全文>>

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原子力発電のリスクとコストを再検証する(下)
放射性廃棄物の処理・廃炉に関するリスク・全体のまとめ
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第302回

10月 10日 2025年 社会, 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

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バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住27年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

2011年3月11日に発生した東日本大震災により、日本全国の原発は安全対策を行うためにいったん全面的に運転を停止。しかし、ひっ迫する電力事情と原発の低コストを売りとして徐々に原発の再稼働が始まり、25年8月現在36基の原発のうち14基が再稼働(うち3基は停止中)し、今後この数が増えていくと見込まれている。

しかし、本当に原発が安全な発電方法であるためには何をしたらよいのか。また、原発は本当に低コストな発電方法と言えるのか。原発そのものの仕組みが難しいため、私たちがこれらについて検証するにはかなりの困難が生じる。こうした難しい課題についてこれまで上中2回に分けて解説してきたが、最終回となる今回(下)は放射性廃棄物の処理・廃炉に関するリスクなどについて説明し、併せて上中下の全体を総括する。 記事全文>>

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真の高齢化社会はこれからが本番だ
団塊ジュニア世代への交替の先にあるもの
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第91回

10月 08日 2025年 社会, 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

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オフィス金融経済イニシアティブ代表。元NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。著書に『異次元緩和の罪と罰』(講談社現代新書2753、2024年9月)。

案外知られていないのが、日本の人口の最大勢力がすでに入れ替わっていることである。団塊世代から団塊ジュニア世代への移行だ。

1947~49年生まれの団塊世代は、誕生後一貫して人口の最大勢力であり続けた。その期間は約70年にわたった。

2018年、団塊ジュニア世代(1971~74年生まれ)がこれに取って代わった(参考1参照)。最近、政治のテーマが「社会保障関連」から「賃金や資産の格差」に移ったのも、この交替の表れかもしれない。

では、団塊ジュニア世代は今後どれぐらいの期間、最大勢力であり続けるのだろうか。 記事全文>>

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「内部留保」について考える
その4 企業の資金余剰
『視点を磨き、視野を広げる』第84回

10月 06日 2025年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

◆はじめに

企業利益の向上を背景に内部留保が増加している。企業の税引き後純利益から配当を引いたものが、内部留保(フロー)である。それが毎年積み上がって内部留保(ストック)を押し上げている。内部留保は、企業の設備投資の原資となる。しかし、拙稿第81~83回で見たように、2010年代以降、企業利益が増加しても設備投資は伸びておらず、一方で内部留保は積み上がり現預金や海外への直接投資に形を変えている。

企業は事業リスクを背負って設備投資を行う。そのために大きな資金を必要とするので、自己資金だけではなく銀行からお金を借りる。銀行はそのお金を家計から預かる。したがって経済学の前提では、企業は資金不足主体、家計は資金余剰主体である。この前提は現実の経済においても変わらない。しかし例外がある。日本では、企業が投資に慎重になり資金余剰主体になっているのである。 記事全文>>

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誰のための自民党総裁選報道
「勝ち馬探し」の伴走者
『山田厚史の地球は丸くない』第298回

10月 03日 2025年 政治, 社会

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

自民党総裁選はあす10月4日に投開票される。

「読売新聞社が実施した国会議員の支持動向調査では、小泉進次郎農相(44)が、旧派閥横断で幅広い支持を得ている実態が明らかになった。高市早苗・前経済安全保障相(64)は旧安倍派、林芳正官房長官(64)は旧岸田派を中心に浸透する中、各陣営は態度未定の議員票に狙いを定め、追い込みをかける」。

「小泉氏を支持する国会議員71人を派閥・旧派閥別でみると、無派閥が5割弱と最も多く、麻生派が2割弱、旧岸田、旧茂木両派がそれぞれ1割などだった。衆院当選5回以下の中堅・若手議員の支持は30人超で、立候補した5氏の中で最多だった。陣営幹部は『勝ち馬に乗りたい層へのアプローチが重要』と強調し、議員票の更なる上積みを図る」(9月30日付、読売新聞)

同じ日、朝日新聞は以下のように報じた。

「小泉進次郎農林水産相(44)がトップで、林芳正官房長官(64)が続いた。高市早苗前経済安全保障相(64)は3番手だった。いずれも党員・党友票を含む初回投票で過半数を得る勢いはなく、上位2人の決選投票となる公算が大きい」

こちらも「小泉優勢」を伝えている。投票前に「勝つのは誰か」を当てるのがメディアの仕事であるかのような書きぶりである。 記事全文>>

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原子力発電のリスクとコストを再検証する(中)
原発事故のリスク
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第301回

9月 26日 2025年 社会, 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

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バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住27年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

2011年3月11日に発生した東日本大震災により、日本全国の原発は安全対策を行うためにいったん全面的に運転を停止した。しかし、ひっ迫する電力事情と原発の低コストを売りとして徐々に原発の再稼働が図られるようになり、25年8月現在36基の原発のうち14基が再稼働(うち3基は停止中)しており、今後この数が増えていくことが予想されている。

しかし本当に原発が安全な発電方法であるためには何をしたらよいのか。また、原発は本当に低コストな発電方法と言えるのか。原発そのものの仕組みが難しいため、私たちがこれらについて検証するにはかなりの困難が生じる。こうした難しい課題を上中下の3回続きで、できるだけわかりやすく解説する試みだが、今回(中)は「原発事故のリスク」について説明する。 記事全文>>

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Lovable実況中継(その3)
AIマザー
『みんなで機械学習』第71回

9月 24日 2025年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

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株式会社ふぇの代表取締役。独自に考案した機械学習法、フェノラーニング®のビジネス展開を模索している。元ファイザージャパン・臨床開発部門バイオメトリクス部長、Pfizer Global R&D, Clinical Technologies, Director。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

◆スポーツをAIと楽しむ

なぜ人工知能(AI)が大きな話題になるのか。ビジネスの生産性が向上するポジティブな経済効果だけではなく、社会全体の組織や制度に大きな影響を与える可能性、特に、多くの人びとにとってネガティブな影響があるかもしれないという、リスク意識が潜在的にあるのだろう。多分、多くに人びとのリスク意識は、因果関係が説明できなくても、的を得ている。 記事全文>>

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