п»ї ロボットでにぎわい感の演出『みんなで機械学習』第8回 | ニュース屋台村

ロボットでにぎわい感の演出
『みんなで機械学習』第8回

4月 07日 2021年 社会

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山口行治(やまぐち・ゆきはる)

o 株式会社Aデコード研究所設立準備中。元ファイザージャパン・臨床開発部門バイオメトリクス部長(臨床試験データベースシステム管理、データマネジメント、統計解析)。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

「みんなで機械学習」するために、jamoviとjaspというオランダ・アムステルダム生まれの無料兄弟ソフトを紹介している。CAPDサイクル2回転目では、大量の特許データをインターネットから無料で入手してみた。筆者の仕事では、高価な統計解析ソフトと、貴重な臨床試験データを用いているけれども、無料であっても、機能や価値は劣っていないどころか、技術的には最先端でもある。有料サービスでは、デジタル技術の進歩に追いつかないのだ。一時代前のGAFAのサービスであれば、無料サービスでユーザーを獲得し、時代を先回りして、最終的にはゴッソリと利益をあげた。GAFAも超大型企業となり、社会的責任が問われ、規制が強まった。それでも、AI(人工知能)技術の進歩は止まらないので、社会の仕組みそのものを変えないと、無料サービスの利益を社会に還元できなくなる。「みんなで機械学習」して、技術や大量消費が生み出した数限りない社会的課題を、気長に解決してゆきたい。

大きなPlanを描いてきたので、2回転目のCAPDサイクルを、小さなDoで締めくくろう。筆者が準備中の会社は、「みんなで機械学習」することを支援するビジネスだ。「みんなで機械学習」するビジネスは、AI技術を基盤技術とする新しいビジネスモデルでもある。会社組織が必要とする情報システムを、情報サービスとして提供するsalesforce.comという企業が成功している。その無料版に相当するBitrix24というビジネスソフトが全世界で使われ始めた。Bitrix24が成功するかどうかわからないし、日本ではあまり使われていないけれども、筆者としてはBitrix24を使って「みんなで機械学習」することを計画している。Bitrix24にはRobotic Process Automation(RPA)が実装されている。コンピューターを使ったビジネスプロセスの自動化機能だ。RPAは、AI技術を使ったビジネスモデルの入門編で、中小企業ではメールの自動配信やホームページの自動更新などに使われている。筆者としては、「みんなで機械学習」するために、RPAを使って1人でも「みんな」といるような「にぎわい感」を演出したい。

人工知能の可能性を最初に見抜いた英国の数学者アラン・チューリング(1912-1954年)は、質疑応答でヒトの回答とプログラムの回答を質問者が見分けられないことをAIの条件と考えた。しかし、ボードゲームではヒトはプログラムに勝てないことが明らかなので、もしプログラムに勝つのなら、それはプログラムに違いない。同様に、ヒトよりも正確な回答をするプログラムはありうるので、ヒトとプログラムを見分けられないことは、すでにあまり重要ではなくなっている。相手がロボットであることが分かっていても、危険なヒトに騙(だま)されるよりは、安全なロボットのほうがよいということはありうる。機械学習をするロボット(RPA)では、どのような新しいビジネスモデルが考えられるだろうか。機械学習としては組み合わせ最適化問題(combination optimaization)を想定している。RPAのプロセスを、ユーザーの選好に応じて調整する特許出願があった。多数のRPAプロセスを、ユーザーの選好に応じて使い分け、「にぎわい感」を演出する先行特許は無かった。

<準備中のBitrix24サイト、イメージ図>

1人でも「みんな」と一緒に学習しているように感じられることが「にぎわい感」の目的となる。相手がロボットであっても、個性的なロボットたちと、人生ゲームを楽しみながら学習するイメージだ。この人生ゲームは、生態学の食物連鎖からのバイオミメティックス(生物の構造や機能、生産プロセスを観察、分析し、そこから着想を得て新しい技術の開発やものづくりに生かす科学技術)で、弱肉強食のようであっても、最終的には全ての生物を細菌が食べて「ふりだし」に戻る。この廻(まわ)る順位を機械学習のアルゴリズムに取り入れて、不思議な「にぎわい感」を演出しようと考えている。CAPDサイクルを回る順位で作図していたら、突然、ダグラス・R. ホフスタッターの『ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環』(1990年)を思い出した。本の表紙が、エッシャー流の三角の図形で、メビウスの輪のようによじれている。英語版のペーパーバックの表紙は変わってしまったようで、イタリア語版から図中に引用した。

AIプログラムを使って「みんなで機械学習」するのはCAPDサイクルの前半で、後半は中小企業経営者が自習する。自習して「ふりだし」に戻る。生態学のプロセスのような、生物独自の不思議なプロセスをRPAに応用することで、「みんなで機械学習」するビジネスプロセスは、前例のない未踏領域を目指す。健康関連の大量のデータを機械学習する前段階として、次回の3回転目チェックでは、身体と場所をバイオミメティックスでコーディングしてみよう。西洋医学と東洋医学、それぞれ独自に身体をコーディングしてきた。生活の場所をコーディングする必要が生じたのは21世紀になってからだ。動物としての人類が、草原の生活を始めて、地球環境を無自覚にコーディング(破壊)し始めた。破壊された環境の中で生きるためには、生活の場所を自覚的に再コーディングする必要がある。コーディングについて、中学校程度に「みんなで機械学習」してみよう。4回転目のCAPDサイクルでは、現在の機械学習アルゴリズムの問題点を解説し、最後の4回転半で筆者独自の考え方を紹介する。機械学習から学習機械へ、半歩踏み込む覚悟だ。人間中心主義から脱却して、未踏領域で周辺化する思想を生きてゆく。

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『みんなで機械学習』は中小企業のビジネスに役立つデータ解析を、オープンソースの無料ソフトjamoviでみんなと学習します。質問があっても、絶対にニュース屋台村にはコメントしないでください。株式会社Aデコード研究所(設立準備中)でjamoviと本稿の続き(4回転半の後)をサポートする予定です。

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