改善結果の評価(その2)―工数生産性
『ものづくり一徹本舗』第5回

10月 18日 2013年 経済

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迎洋一郎(むかえ・よういちろう)

1941年生まれ、60年豊田合成入社。95年豊田合成タイランド社長。2000年一栄工業社長。現在中国、タイで工場コンサルタントを務める。自称「ものづくり研究家」。

前回お話しした「付加価値生産性」とは、投資した人件費に対する労働生産性を表すもので、会社全体もしくは工場全体の労働生産性を把握するのに適した指標である。

一方、生産現場では一つの製品を作るのに、材料準備、成型加工、塗装、組み立てなど複数の工程を経るのが一般的である。

今回は、その職場の係もしくは班単位に労働生産性を管理する指標として「工数生産性」を提言したい。

◆工数生産性の計算と仕方

工数生産性とは、投入人員の1時間あたりにどれだけ良品が出来たかを管理する手法である。具体的には、以下の事例となる。
<事例1>・・・工数生産性
  良品数÷人加工投入時間=工数生産性
  良品数・・・800個
  人加工投入期間・・・3人の工員を各80時間投入
 工数生産性(例)-800個÷(3人×8時間)=33.3個
 上記事例では、A工場のB工程でのある一日の工数生産性が33.3個であったと計算されている。この33.3個の個数を日々の改善によって引き上げていかなければならない。

◆複数品目の生産

上記事例では生産品目が単品である。しかし、実際の工場では複数の品目が生産されている。こうした場合の個数計算には若干の工夫が必要となる。
 
<事例2>・・・加工サイクルタイムが異なるものを複数生産した場合

加工時間標準時間がそれぞれ違うものを混合で流す場合は、加工時間の基準  を設定する。この場合は60秒を係数1としたので、80秒は80÷60=1.33に置き換え(ハンディキャップをつける)異種混合ラインの内容変化に対応させる。

このようにして計算された良品個数898個に対し、<事例1>で作ったように、人加工投入時間を除く工数生産性の数値を得る。
工数生産性<事例2>=898個÷(3人×8時間)=37.42個

◆工数生産性管理表

こうして計算される工数生産性を、各工程毎に毎日管理していく必要がある。具体的には以下の工数生産性管理表を作成されることをお薦めしたい。
 
<事例3>・・・工数生産性管理表

◆工数生産性を向上させるには

工場の各係・各班は、この工数生産性の向上を目指して改善移動を行っていく必要がある。働いた時間内になるべく多くの良品を作ることが、原価を下げる改善活動につながっていくのである。具体的には以下の2つが目標となる。

①生産停止期間を顕在化して減らす…稼働率の向上(詳細は次回以降に説明)
機械故障、段取り時間短縮、不良品低減、手余り手持ち短縮、災害防止など

②加工時間(人、機械の加工時間…加工サイクルタイムと言う)を短縮する人
人、機械の動きのムダ短縮、取り置き、運搬など

①は標準が遵守されていない状況を顕在化し、原因を追及し、実際作業を標準に近付ける手順である。②は標準そのものの改善、作業の短縮化を意味する。いずれも重要な改善のプロセスである。

◆改善結果の評価なくして改善は行われず

私は豊田合成に勤務当時、数多くの改善活動を先頭に立って行ってきた。現在もアドバイザーとして複数の会社に対して改善提言を行っている。しかし、これまでの経験から、標準が設定されていなかったり改善結果の評価のフォローアップが出来ていなかったりする会社で改善がうまくいった試しがない。

ある経営者はレイアウト変更や新規設備の導入などで改善をしたと思い込んでいるが、こうした会社の工程変更は多くの場合、業務向上には結びつかない。地道な作業の繰り返しによって初めて改善活動が根付くのである。

また、別の経営者はこうした改善結果を部下に任せてコンピューターの中に保管している。しかし、こうした改善の評価は従業員全員と結果を共有して初めて意味を持つのである。

付加価値生産管理表、工数生産性管理表とも工場内に貼り出し、従業員を巻き込んだ改善活動を行っていただきたい。

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