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「長期国債の買い入れ減額の中間評価」を考える(その2完)
新発国債の発行圧縮が減額実現のカギを握る
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第88回

6月 11日 2025年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

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オフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。著書に『異次元緩和の罪と罰』(講談社現代新書2753、2024年9月)。

日本銀行は、6月16、17日の金融政策決定会合で、2025年度以降の長期国債買い入れの減額計画を更新する。昨年7月、24、25年度の買い入れ減額計画を公表した際に、1年後に中間評価を行うとしていたものだ。

前回第87回の試算では、少なくとも年間40兆円程度の残高圧縮ペースを維持するのが適当との結果になった。本稿では、このペースでの圧縮を続ける場合、日銀が直面する困難と課題を考えてみたい。 記事全文>>

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コメ不足ニッポン その現状と外国との比較(上)
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第293回

6月 06日 2025年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

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バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住27年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

米の価格上昇が止まらない。小泉進次郎農林水産大臣の就任によって備蓄米売却の随意契約が実施され、当面の間は安価な米が市場に出回るかもしれない。しかし90万トンしかない備蓄米が米価の低下にどの程度貢献するかは不透明な状況である。米価高騰の原因を「天候による米の一時的不作」や「一部業者による買い占め」のせいにする議論が目立つ。しかしこうした指摘は正しいのだろうか。世界の農業先進国と比較すると、明らかに日本の農業政策は異質である。米国や中国などの農業先進国が農業生産物を増やしている中で日本の農業生産量は近年低下を続けている。一方で、農薬使用量はこれら大国に比べて日本は多い。また、農業補助金のあり方も世界の潮流からは外れている。 記事全文>>

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「長期国債の買い入れ減額の中間評価」を考える(その1)
日銀は年40兆円の残高圧縮ペースの維持を
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第87回

6月 05日 2025年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

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オフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。著書に『異次元緩和の罪と罰』(講談社現代新書2753、2024年9月)。

日本銀行は、6月16、17日の金融政策決定会合で、2025年度以降の長期国債買い入れの減額計画を更新する。昨年7月、24、25年度の買い入れ減額計画を発表した際、1年後に中間評価を行うとしていたものだ。

これまでの減額計画は、24年7~9月から26年1~3月までの間、買い入れ額を毎四半期4000億円ずつ減らすというものだった(参考1参照)。この計画にしたがえば、圧縮率は当初小さく、次第に高まる計算となる。 記事全文>>

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世界のコンビニ市場(下)
各国のスーパーとコンビニの位置づけ・まとめ
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第292回

5月 23日 2025年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

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バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住27年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

前回(第291回)に続き、世界のコンビニ市場に関するレポートの後編である。前回報告した結果の要因を探りながら、各国のスーパーとコンビニの位置づけを明らかにしたい。 記事全文>>

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世界のコンビニ市場(上)
小売業界の概況と百貨店、スーパー、コンビニの歴史
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第291回

5月 09日 2025年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

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バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住27年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

日本は1990年代のバブル崩壊以降「失われた30年」に突入した。「失われた30年」とは、デフレ経済と円安のぬるま湯によって日本人と日本企業が世界の中で競争力を失った時代でもある。しかしデフレ経済下で花開いた産業もある。その一つがコンビニ業界であると私は考えている。世界に先行して進化した日本のコンビニ業界は、他国に進出する競争力を持っているのであろうか? 世界の小売市場の現状がよくわかるレポートである。ぜひご一読いただきたい。 記事全文>>

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内部留保について考える
その1 内部留保の概要
『視点を磨き、視野を広げる』第81回

5月 07日 2025年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

◆はじめに

本稿は「内部留保」について考える。企業の内部留保が増加しているが、その要因を探っていくと、日本経済の長期課題である企業の貯蓄超過の問題が浮かび上がってくるのである。

内部留保は、財務省が公表している「法人企業統計調査」(*注1)で分かる。同統計は、企業活動の実態を把握できる貴重な資料だ。そこで、この統計資料を活用して、内部留保の実像を把握するとともに、企業の行動変化と貯蓄超過の問題を捉えたいと考えている。なお、「内部留保」は一般用語で、統一された定義はないが、同統計では、企業の過去の利益の蓄積である「利益剰余金」を指しており、本稿ではそれに従う。 記事全文>>

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自動運転に急速に舵を切る中国自動車産業
中国見たまま聞いたまま・2025年版(その2完)
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第290回

4月 25日 2025年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

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バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住27年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

タイは言わずと知れた「日系自動車産業の一大集積地」である。ところが、中国の自動車メーカーが2023年半ばから電気自動車(EV)を武器に急速に存在感を高めてきた。タイ政府は中国製EVの輸入に関して、過度とも思える恩典を与えた。そして、環境問題に敏感な有識者層やファッション志向の強い女性たちが中国製EVに飛びついた。 記事全文>>

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ロンドンで実感した「日本の貧しさ」
円安で潰れる日本と米国の高関税
『山田厚史の地球は丸くない』第286回

4月 18日 2025年 国際, 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

久しぶりに訪れたロンドン、日本との物価の違いに驚くばかりだった。パブでハンバーガーにフライドポテト、それにビールで約35ポンド(約7000円)。ミュージカルのチケットは1階後部の席で100ポンド(約2万円)。繁華街ピカデリーサーカス近くにあるユニクロをのぞくと、日本で2900円くらいのジーンズやパーカが35〜40ポンド(約7000〜8000円)。だった。

銀座のユニクロに海外からの旅行者が詰めかけ、大量に買い物しているシーンに、「ユニクロはいまや世界のどこにもあるのに、なぜ日本で買って帰るのか」と怪訝(けげん)に思ったことがある。

ロンドンに来てその理由がよくわかった。同じ規格の製品が半値で買えるのだから、日本に行ったらユニクロで買おうと考えるのは、当然だ。

日本で実感できなかった「日本は安い!」をロンドンでわかった。 記事全文>>

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国民と日銀の物価感はなぜこうもズレるのか(その2完)
物価高対策は中央銀行の仕事
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第86回

4月 16日 2025年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

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オフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。著書に『異次元緩和の罪と罰』(講談社現代新書2753、2024年9月)。

国民と日本銀行の物価感が著しくズレてしまった。

前回第85回では、日銀が強調する「基調的な物価上昇率」のリスクを述べ、足元の物価の基調は年3%前後の上昇にあることを確認した。

◆意味合いを変えた「基調的な物価上昇率」

実は、2022年春に物価が上昇局面に入って以降、日銀は「基調的な物価上昇率」の意味合いを変えてきた。 記事全文>>

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国民と日銀の物価感はなぜこうもズレるのか(その1)
「基調的な物価上昇率」のワナ:基調はすでに3%
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第85回

4月 09日 2025年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

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オフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。著書に『異次元緩和の罪と罰』(講談社現代新書2753、2024年9月)。

国民と日本銀行の物価感が著しくズレてしまった。

日銀は「基調的な物価上昇率」という概念を用い、これが「まだ2%を幾分下回っている」として慎重な利上げ方針を維持してきた。

一方、国民が日々の生活で直面する物価の上昇率(消費者物価総合)は、前年比3%前後に達している。しかも3年近く続いてきた(参考1参照)。これを「基調」と呼ばずして「何が基調なのか」というのが国民の実感だろう。

いま、政府は強力な物価対策を検討中と伝えられる。しかし、物価全般の高騰である以上、物価への対処は中央銀行の責務だ。当の日銀は、物価の高騰継続をむしろ望んでいるようにすら見えるが、どう理解すればよいだろうか。 記事全文>>

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