1 2 3 95

長引く金融緩和がもたらす「政府の肥大化リスク」
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第94回

1月 19日 2026年 経済

LINEで送る
Pocket

山本謙三(やまもと・けんぞう)

o
オフィス金融経済イニシアティブ代表。元NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。著書に『異次元緩和の罪と罰』(講談社現代新書2753、2024年9月)。

昨年(2025年)末、日本銀行は政策金利を引き上げ、年0.75%とした。しかし、為替市場では円安が進んだ。市場は、日銀の利上げ姿勢を引き続き慎重とみたからだ。
 これまで日銀は、利上げに前向きなポーズを示しつつ、実際にはビハインド・ザ・カーブの戦略(経済実態よりも利上げを遅らせる戦略)を続けてきた。その結果、物価上昇率(「生鮮食品を除く消費者物価総合」の前年比、以下同じ)は3%前後で推移している。
 政策金利から物価上昇率を差し引いた「実質金利」は、1970年代以来の大幅なマイナスが続く(参考1)。超緩和状態といってよい。政府は、国民の不満を受け、「物価高対策」と称して巨額の補正予算を編成した。

年明け後には、物価が一時的に前年比2%を割る可能性も指摘され始めているが、ガソリン税にかかる旧暫定税率の廃止や電気・ガス料金の補助の影響が大きい。

記事全文>>

コメント

自動運転に必要なセンサー技術についての考察(上) 自動運転車搭載センサー
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第309回

1月 16日 2026年 経済

LINEで送る
Pocket

小澤 仁(おざわ・ひとし)

o
バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住28年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

私は2025年2月に中国、8月に米国に出張して、両国の自動車事情を視察してきた。驚いたことに、米中両国においては自動運転車が一般道を走り、標準車になろうとしている。場所が限定されてはいるが、無人タクシーが配車アプリを使って普通に乗れる。一般の人が購入する乗用車にも自動運転機能が搭載されている。「人間の目にあたるセンサー」と「脳にあたる人工知能」の進歩が止まらない。かくも、世界の科学技術は急速に進歩しているのである。日本もうかうかしていられない。

今回は山形銀行からバンコック銀行日系企業部に出向している森谷有樹さんがまとめたレポートを上下2回に分けて紹介する。自動運転に必要なセンサー技術について詳細な分析がなされている。日本企業による先進的なセンサーの開発が待たれるところである。
記事全文>>

コメント

「内部留保」について考える
その6 企業から家計への循環不全
『視点を磨き、視野を広げる』第86回

1月 12日 2026年 経済

LINEで送る
Pocket

古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

◆はじめに:本稿のねらい

インフレが止まらず実質賃金はマイナスで、家計は苦しい状態に耐えている。企業の利益や株価の上昇と対照的だ。どうして乖離(かいり)が起きているのかを知るために、法人企業統計調査(財務省)のデータをもとに企業の内部留保を調べた(「『内部留保』について考える(その1〜5)」)。

データが示すのは①バブル崩壊前は企業利益と人件費は連動して上昇していた②2000年代前半からは利益が増える一方で、人件費が横ばい推移している③この間労働生産性は名目・実質ともに上昇している(*注1)――である(図表1参照)。

記事全文>>

コメント

歯止めなき積極財政への懸念
巨額の補正予算が意味するもの
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第93回

12月 08日 2025年 経済

LINEで送る
Pocket

山本謙三(やまもと・けんぞう)

o
オフィス金融経済イニシアティブ代表。元NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。著書に『異次元緩和の罪と罰』(講談社現代新書2753、2024年9月)。

高市早苗新政権が11月下旬、総合経済対策と今年度の補正予算を閣議決定した。対策規模は総額21.3兆円、補正予算は18.3兆円にのぼる。

今年度の当初予算策定時には、物価高に伴う税収増で「うまくいけば今年度中にもプライマリーバランス(PB、基礎的財政収支)の黒字化目標が達成される」との話があった。しかし、今回の大型補正で、PB黒字化目標は完全に吹き飛ばされた。
記事全文>>

コメント

日本の活路はどこにあるのか?
米国出張記録(その4完)
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第306回

12月 05日 2025年 経済

LINEで送る
Pocket

小澤 仁(おざわ・ひとし)

o
バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住27年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

私の住むタイでは、中国の存在感がかなりの勢いで増してきている。特に日系企業が牙城(がじょう)としてきた自動車産業では、BYDをはじめとした中国の電気自動車(EV)メーカーが攻勢をかけてきている。このため中国自動車産業の現状を把握すべく出張と研究を重ね、この「ニュース屋台村」で何度か報告した。

例えば、拙稿第281回「世界の電気自動車シフトの現状②」(2024年12月13日付)ではBYDの開発体制を調べた。当時90万人の従業員数を持つBYDはトヨタの総従業員数37万人を超える40万人がエンジニア、さらに10万人は開発専任となっている。この開発専担者たちは3直24時間体制で開発に従事している。また驚くことに、この10万人の平均勤務時間は一日17.4時間であると聞いた。なるほどBYDの新車開発期間が平均1年1か月と、日本企業の4年を大幅に上回るわけである。まさに日本の「昭和の猛烈社員」である。 記事全文>>

コメント

物価押し上げる「物価対策」
高市政権「積極財政」2つのリスク
『山田厚史の地球は丸くない』第302回

11月 28日 2025年 経済

LINEで送る
Pocket

山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

財務省がまとめた補正予算案に「ショボすぎる!」とダメ出しし、4兆円を首相自ら上積みしたという。高市早苗首相が渾身(こんしん)の力を注いだ総額21兆3000億円の大型経済政策。「強いニッポン」を目指し「強い経済」に望みを託す。旗を振る「積極財政」を形にした政策だ。威勢のいい予算だが、高市政権の致命傷になるリスクを秘めている。 記事全文>>

コメント

EVから自動運転に流れが変わる米自動車業界
米国出張記録(その3)
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第305回

11月 21日 2025年 経済

LINEで送る
Pocket

小澤 仁(おざわ・ひとし)

o
バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住27年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

8月下旬から3週間にわたり米国に出張したが、今回の大きな目的の一つが米国の自動車事情を実際に見ることにあった。コロナ禍の影響が急速に薄れた2023年以降、タイの自動車市場はあっという間に中国企業に席巻されてしまった。中国はコロナ下でのロックダウンを機に電子決済などのデジタル化、EC(電子商取引)によるデリバリーが急速に進展。一方、2014年に労働生産人口(15~65歳までの人口)がピークアウトしたあと、中国経済はいわゆる「失われた30年」に突入。中国国内の景気低迷を受け、電気自動車(EV)メーカーをはじめとして中国の民間企業は大挙して海外に進出した。 記事全文>>

One response so far

113年かかる日銀のETF売却が意味するもの
日銀はETF買い入れの評価を率直に語れ
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第92回

11月 12日 2025年 経済

LINEで送る
Pocket

山本謙三(やまもと・けんぞう)

o
オフィス金融経済イニシアティブ代表。元NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。著書に『異次元緩和の罪と罰』(講談社現代新書2753、2024年9月)。

日本銀行は、2025年9月の金融政策決定会合で、保有ETF(上場投資信託)の処分計画を明らかにした。年間の売却ペースを3300億円程度(簿価ベース)に設定するという。

だが、この売却ペースでは、保有残高がゼロになるのは2138年度となる(26年度の売却開始を仮定、参考1参照)。実に113年かかる計算だ。 記事全文>>

コメント

暴走続けるトランプ
米国出張記録(その1)
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第303回

10月 24日 2025年 国際, 経済

LINEで送る
Pocket

小澤 仁(おざわ・ひとし)

o
バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住27年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

2025年8月末から3週間にわたって私は米国のニューヨーク、ボストン、オースティン(テキサス州)、ロサンゼルス、サンフランシスコの計5都市を訪問した。実に30年ぶりの訪米である。私は1980~81年、87~94年の計2回通算9年半の米国での勤務経験がある。米国は私にとって日本、タイに次いで3番目に長く住んだ国だ。しかし米国は今やすっかり遠い国になってしまった。30年も訪問していなければ何も知らないのと同じこと。現在の米国を少しでも理解したいと思い、出張したのだった。 記事全文>>

One response so far

「内部留保」について考える
その5 まとめ
『視点を磨き、視野を広げる』第85回

10月 22日 2025年 経済

LINEで送る
Pocket

古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

◆はじめに

本稿は、「『内部留保』について考える」その1〜4のまとめである。本来連動していた企業利益と賃金・投資が連動しなくなった要因と課題という視点から論点を整理した。

法人企業統計調査が示すのは――内部留保の増加は企業利益の上昇を反映したものであり、企業に財務基盤の強化をもたらしている/一方で企業は1990年代後半以降コストカット経営を進め、人件費や国内投資を抑制している/内部留保は、海外への直接投資や現預金の増加に形を変えている――。 記事全文>>

コメント

1 2 3 95