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「内部留保」について考える
その4 企業の資金余剰
『視点を磨き、視野を広げる』第84回

10月 06日 2025年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

◆はじめに

企業利益の向上を背景に内部留保が増加している。企業の税引き後純利益から配当を引いたものが、内部留保(フロー)である。それが毎年積み上がって内部留保(ストック)を押し上げている。内部留保は、企業の設備投資の原資となる。しかし、拙稿第81~83回で見たように、2010年代以降、企業利益が増加しても設備投資は伸びておらず、一方で内部留保は積み上がり現預金や海外への直接投資に形を変えている。

企業は事業リスクを背負って設備投資を行う。そのために大きな資金を必要とするので、自己資金だけではなく銀行からお金を借りる。銀行はそのお金を家計から預かる。したがって経済学の前提では、企業は資金不足主体、家計は資金余剰主体である。この前提は現実の経済においても変わらない。しかし例外がある。日本では、企業が投資に慎重になり資金余剰主体になっているのである。 記事全文>>

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原子力発電のリスクとコストを再検証する(中)
原発事故のリスク
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第301回

9月 26日 2025年 社会, 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

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バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住27年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

2011年3月11日に発生した東日本大震災により、日本全国の原発は安全対策を行うためにいったん全面的に運転を停止した。しかし、ひっ迫する電力事情と原発の低コストを売りとして徐々に原発の再稼働が図られるようになり、25年8月現在36基の原発のうち14基が再稼働(うち3基は停止中)しており、今後この数が増えていくことが予想されている。

しかし本当に原発が安全な発電方法であるためには何をしたらよいのか。また、原発は本当に低コストな発電方法と言えるのか。原発そのものの仕組みが難しいため、私たちがこれらについて検証するにはかなりの困難が生じる。こうした難しい課題を上中下の3回続きで、できるだけわかりやすく解説する試みだが、今回(中)は「原発事故のリスク」について説明する。 記事全文>>

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原子力発電のリスクとコストを再検証する(上)
原子力発電の概要
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第300回

9月 12日 2025年 社会, 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

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バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住27年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに伴う津波(東日本大震災)により、東京電力福島第一原子力発電所(以下原発)ではかつてないほどの深刻な事故を引き起こした。14年経過した現在に至るまで溶解した核燃料(デブリ)の取り出しには成功していない。こうした原発の大事故を踏まえ、時の民主党政権は「原発政策の見直し」を行い、日本全国の原発は安全対策を行うために全面的に運転を停止した。

しかしひっ迫する電力事情と原発の低コストを売りとして徐々に原発の再稼働が図られるようになる。この間、独立機関である「原子力規制委員会」が再稼働対象となる各原発の安全性を審査してきている。25年8月現在36基の原発のうち14基が再稼働(うち3基は停止中)しており、今後この数が増えていくことが予想されている。 記事全文>>

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日本人が知らない世界のスポーツビジネスの実態(その3完)
ブラジル、インド、日本のスポーツ市場と全体のまとめ
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第299回

8月 29日 2025年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

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バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住27年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

前回に続いて、宮城県の七十七銀行からバンコック銀行日系企業部に出向している巻賢弥(まき・けんや)さんがまとめた世界のスポーツビジネスに実態に関するレポート(全3回シリーズ)を紹介する。今回はその最後となる、ブラジル、インド、日本の各国のスポーツ市場と、全体のまとめである。 記事全文>>

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「内部留保」について考える
その3利益が増えても賃金が上がらない要因
『視点を磨き、視野を広げる』第83回

8月 18日 2025年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

◆はじめに

法人企業統計調査のデータをもとに、増大する内部留保が映す日本経済の課題について考えている。本稿では、「その3」として、企業利益の増大にもかかわらず、賃金が上がらない要因を考えたい。

問題認識

⚫️統計データが示す日本経済の病状

日本経済は、バブル崩壊後ずっと低迷が続いているという印象が強い。確かにGDP(国内総生産)成長率は低位で推移している。しかし、企業収益に焦点を当てると、異なる姿が現れる。図表1は、法人企業統計調査が示す過去半世紀の企業の変化を、売上高、減価償却費、従業員人件費、経常利益、内部留保残高の推移(指数表示:1997年度=100)で追ったものである。 記事全文>>

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日本人が知らない世界のスポーツビジネスの実態(その2)
欧州のスポーツ市場
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第298回

8月 15日 2025年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

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バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住27年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

前回に続いて、宮城県の七十七銀行からバンコック銀行日系企業部に出向している巻賢弥(まき・けんや)さんがまとめた世界のスポーツビジネスに実態に関するレポート(全3回シリーズ)を紹介する。今回は、欧州のスポーツについてである。 記事全文>>

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混乱招く日銀の「基調的な物価上昇率」
「中長期インフレ予想」はどこまで政策判断の材料となりうるか
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第90回

8月 13日 2025年 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

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オフィス金融経済イニシアティブ代表。元NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。著書に『異次元緩和の罪と罰』(講談社現代新書2753、2024年9月)。

最近、日本銀行が主張する「基調的な物価上昇率」に対し、多くの疑問の声が聞かれるようになった。日銀は「『基調的な物価上昇率』がまだ物価目標に達していない」と主張するが、実際の消費者物価は3年以上にわたり2%を超える高騰が続いている。このため、「日銀には国民生活の実態が見えていないのではないか」との声である。

これまで日銀は、「基調的な物価上昇率」の定義を状況に応じて変えてきた。さらに、最近はその定義を必ずしも明確にしていない。

にもかかわらず、政策金利を低水準に据え置く最大の根拠を「基調的な物価上昇率」の動きとする。これでは、国民との対話は成り立たない。 記事全文>>

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日本人が知らない世界のスポーツビジネスの実態(その1)
世界のスポーツ市場の動向とアメリカのスポーツ市場
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第297回

8月 01日 2025年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

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バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住27年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

近年テレビで大谷翔平のニュースを見ない日はない、と言っても過言ではない。米国野球のメジャーリーグで活躍する選手と言えば、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平、山本由伸、サンディエゴ・パドレスのダルビッシュ有、シカゴ・カブスの鈴木誠也など10人を超え、日本のスポーツニュースを連日にぎわせている。

一方、サッカーに目を向ければ、英国プレミアリーグの三苫薫、遠藤航、スペインの久保建英、浅野琢磨を筆頭に海外で活躍する日本人選手は50人を超える。優秀な選手を輩出する割には日本のスポーツビジネスは国内では振るわない。今回は宮城県の七十七銀行からバンコック銀行日系企業部に出向している巻賢弥(まき・けんや)さんがまとめたレポートを3回に分けて紹介する。日本のスポーツビジネス振興に役立つ知恵が見つかるはずである。 記事全文>>

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トランプ政権の関税・通商政策を考える
「理念なきディール」のもとで同盟関係はどこまで保てるのか
『山本謙三の金融経済イニシアティブ』第89回

7月 07日 2025年 国際, 経済

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山本謙三(やまもと・けんぞう)

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オフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。著書に『異次元緩和の罪と罰』(講談社現代新書2753、2024年9月)。

米国トランプ大統領の奔放な発言に目を奪われがちだが、同政権の関税・通商政策は「場当たり的」ではなく、用意周到に進められてきた。

経済学の観点からは反論の余地が大きいが、もともと「MAGA(Make America Great Again)」を掲げ、通商・関税政策と防衛・軍事政策を一体で進めているだけに、いかなる反論も同じ土俵上での議論になりにくい。むしろ下手な反論は、「脅しで突き返されるだけ」との諦観も漂う。 記事全文>>

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内部留保について考える
その2 内部留保から見た日本企業の「変化」
『視点を磨き、視野を広げる』第82回

7月 02日 2025年 経済

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古川弘介(ふるかわ・こうすけ)

海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。

◆はじめに

「法人企業統計調査」(*注1)のデータ(金融・保険業以外の業種)をもとに、内部留保(利益剰余金)の視点から企業活動の変化を捉えたい。

「その1」として前稿では――2010年代以降、企業利益は大幅に増大し、それを背景に内部留保が急速に積み上がっていること。その結果、企業規模を問わず自己資本比率の向上が見られ、企業の財務基盤が強化されていること。一方で内部留保をため込みすぎだという批判もあること――を書いた。後述するように、日本企業は他の点においても変化しているので、「企業の収益力向上」を「変化(1)」とする。

本稿では「その2」として、内部留保の活用という視点から、「(純資産の部に計上された)内部留保は、(資産の部において)何に形を変えているか」について考える。 記事全文>>

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