引地達也(ひきち・たつや)
コミュニケーション基礎研究会代表。就労移行支援事業所シャローム所沢施設長。ケアメディア推進プロジェクト代表。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長など。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。
◆対策の次なるステップ
2006年に施行された自殺対策基本法が今国会で改正される見通しである。10年が経過し、自殺者3万人以上の時代から2万人台を維持していることを「成果」とし、さらに成果を追求することを念頭に自殺対策を国や自治体の義務と定める内容で4月施行の予定だ。特に自治体ごとに自殺対策に向けた計画づくりが課せられることになりそうだが、実効性の高い計画には、企業や地域コミュニティーなど、自殺の現場に近い市民との連携が求められるであろう。
本稿以前の記事「身近な自死と25000人を考える」で指摘したのは、「6年連続の減少と18年ぶりに2万5千人以下」という対策の成果に惑わされることなく、「2万5000人を塊としてみないこと」「1人1人の死の積み重ね」ということに思いを馳(は)せること、であった。
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