引地達也(ひきち・たつや)
コミュニケーション基礎研究会代表。就労移行支援事業所シャローム所沢施設長。毎日新聞記者、ドイツ留学後、共同通信社記者、外信部、ソウル特派員など。退社後、経営コンサルタント、外務省の公益法人理事兼事務局長など。東日本大震災直後から「小さな避難所と集落をまわるボランティア」を展開。
◆「進撃の巨人」化
安全保障関連法案の参院での審議の最中、国会前のデモも連日、にぎわいをみせている。シュプレヒコールをあげているだけではない。法案が成せる行動を想像し、戦争を知らずに育った若者が、戦争を想像し、それに拒否反応を示す意味ある内容の演説もある。それがソーシャルメディアで拡散している。ライブのデモが新たなコミュニケーションツールで全国に広がる様相を示している。この声に9割以上が「戦争を知らない」政治家たちはどう応えるのだろうか。
このまま法案を突破させてしまうのならば、政治は正常な判断ができるのかと疑いたくなる。それは、社会生活を営むために必要な脳内神経伝達物質である「セロトニン」の分泌が止まった、脳としての機能が低下した凶暴な怪獣に過ぎないのではないか。今風に言えば、政治や国会は「進撃の巨人」である。このイメージに従えば、市民はただ踏みつぶされていくぼろ雑巾のような犠牲者でしかないことになる。
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