助川成也(すけがわ・せいや)
中央大学経済研究所客員研究員。1998年から2回のタイ駐在で在タイ10年目。現在は主にASEANの経済統合、自由貿易協定(FTA)を企業の利用の立場から調査、解説。著書に「ASEAN経済共同体」(2009年8月/ジェトロ)など多数。
◆過大な「ASEAN経済共同体」像
東南アジア諸国連合(ASEAN)は2015年末のASEAN経済共同体(AEC)実現を目指し、統合作業を進めている。残すところ2年強。最近、タイの新聞で「AEC」の文字を見ない日はなく、それに釣られる形で「2015年AECに向けた戦略」策定の必要性を声高に叫ぶ企業も増えている。しかし、その多くは「ASEAN経済共同体」という名前に踊らされている感がある。
2015年末、「ASEAN経済共同体の完成」で、東南アジアにASEANという欧州連合(EU)と同様の統合体が誕生するのか。答えは「No」である。それは、①ASEANは統合モデルとしてEUを目指しているわけではないこと②2015年末時点で各種措置が動き始めている区切りではあろうが、全ての措置の完成はさらにその先になることが見込まれること――による。
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