古川弘介(ふるかわ・こうすけ)
海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。
◆はじめに:本稿のねらい
米中対立が続き、ロシアがウクライナに侵攻した。新しい冷戦の始まりという捉え方は現実感を増している。地政学的に見れば、覇権国米国の衰えは隠せず、中国の台頭による国際秩序の変化は明らかだ。また、経済においても、ベルリンの壁崩壊以降約30年続いたグローバリゼーション(グローバル化)の時代が転換期を迎えている。
こうした「変化」は、グローバル化を支えるイデオロギーである新自由主義の退潮をもたらしている。2021年10月に発足した岸田政権が「新しい資本主義」を掲げて新自由主義からの転換を打ち出しているのは、それを象徴している。政権が掲げる「成長と分配の好循環」によって格差の縮小が進むことを期待したいが、前稿で米国の経済学者ブランコ・ミラノヴィッチ(ニューヨーク市立大学大学院客員教授)の『資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来』を読んで、「格差」の問題は「分配」だけでは解決できないという思いを強くした。今回はその続きを考えてみたい。 記事全文>>


オフィス金融経済イニシアティブ代表。前NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。
株式会社エルデータサイエンス代表取締役。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。








