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与那国島・町長選が示した民意
島民が判断できる情報を
『山田厚史の地球は丸くない』第296回

9月 05日 2025年 政治, 社会

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

日本最西端の島・与那国島(よなぐにじま)が静かに変わろうとしている。

この10年余、急速に軍事要塞(ようさい)化が進んでいた。8月24日に行われた町長選挙で「平和な島に」と主張する上地常夫(うえち・つねお)氏が当選した。

上地常夫(61)無所属新 557票▽糸数健一(72)無所属現 506票▽田里千代基(67)無所属新 136票

上地氏は、本島の高校を卒業後、島に戻り、役場に勤務し、22年から町議会議員を務めていた。自衛隊の駐屯には反対しないが、自衛隊の島にはしたくない、と訴え、僅差(きんさ)で現職を破った。 記事全文>>

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ガザ 死を覚悟して伝える現地記者
「暴挙の可視化」恐れるイスラエル
『山田厚史の地球は丸くない』第295回

8月 22日 2025年 国際, 社会

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

イスラエルはガザを制圧し、住民すべてを追い出そうというのか。

容赦ない空爆、瓦礫(がれき)の山から運び出される犠牲者、飢餓にさらされる子供たち、食料配給に群がる人々。地球の裏側にいながら、ガザの悲劇を私たちは冷房が効いた茶の間で見ている。「ひどいなあ」「何とかならないものか」と同情しながらも、怒りは日常の中で消えていく。

悲惨な現実を撮っている人は、どんな日々を送っているのか。思いを巡らす人は決して多くはない。私も、テレビ画面に映し出されるガザの現実を、ニュースの一つの項目として眺めていた。 記事全文>>

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なぜ「石破辞めるな」なのか?
驕りが招いた自民党時代の終わり
『山田厚史の地球は丸くない』第294回

8月 08日 2025年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

自民党では悪評嘖嘖(さくさく)の首相だが、世間の評判はさほど悪くない。誠実さをたたえる声さえもあり、「石破おろし」に反発する「石破辞めるな!」のデモさえ国会周辺で起きている。

「石破首相らしさ」が滲(にじ)み出たのが8月6日、広島の平和記念式典でのあいさつ文だった。原爆投下80年、毎年繰り返される行事だが、手あかが付いた政治的決まり文句を排し、自分の思いを込めた言葉を選び、最後に被爆歌人・正田篠枝(しょうだ・しのえ)さんの短歌「太き骨は先生ならむ そのそばに 小さきあたまの骨 あつまれり」を、2度繰り返し、締めくくった。

あいさつの後、首相は自らの思いは「あの歌に全て尽くされている」と語った。被爆者や平和団体ばかりかSNSでも「ありがとう」の声が上がった。石破の言葉が際立ったのは、過去に安倍首相、菅首相が読んだあいさつ文が、ひどいものだったからだ。 記事全文>>

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なめられてたまるか!
ならず者国家に従うこの国
『山田厚史の地球は丸くない』第293回

7月 25日 2025年 国際, 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

急転直下、合意した日米関税協議。 米国側の発表で、両国の合意事項に「数十億ドルの防衛装備を日本は毎年、追加発注する」との項目があることが分かった。この協議は、やはり「防衛費をGDP(国内総生産)の3.5%」という軍拡を引き出す対日圧力の一環だった。

トランプ大統領が仕掛けた「高関税政策」で世界が沸きたっていた7月1日、ワシントンで日米の外務・防衛相による日米安全保障協議委員会(通称2プラス2会合)が開かれる予定だった。米国はルビオ国務長官とヘグセス国防長官、日本から岩屋外相と中谷防衛相が出席することになっていた。ところが、会合は突然のキャンセルとなった。

「中止」を報じたのは英紙フィナンシャル・タイムズだった。「アメリカ側が事前に『日本の防衛費をGDP比で3.5%に増額する要請を行う』と非公式に通告したことで、日本が反発し、会合は開かれないことになった」という趣旨の記事だ(6月20日付)。 記事全文>>

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高関税から防衛負担へ
米との「対等な関係」は可能か
『山田厚史の地球は丸くない』第292回

7月 11日 2025年 国際, 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

「べらぼうな高関税」の一方的な押し付けが行き詰まり、姿を現したのは「身勝手な防衛費増額」だった。

トランプ米大統領は7月8日、韓国に駐留する米軍への韓国側の負担が少なすぎると不満を述べ、「増額する必要がある」と主張した。言い分の趣旨は、以下のようなものだ。

米軍の駐留などで我々は韓国の発展に貢献しているが、韓国は費用をほとんど払っていない。駐留経費の負担増は第一次政権の時、韓国政府と協議していたが2020年の大統領選で敗れ、協議は完結しなかった。その後のバイデン政権は増額交渉を怠った。政権に復帰したからには、韓国に適正な駐留経費を負担してもらう――。 記事全文>>

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トランプについていくのか?
日本外交におとずれた転機
『山田厚史の地球は丸くない』第291回

6月 27日 2025年 国際, 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

「戦争にもルールがある」と言われるが、ルールは、強い国が勝手に決める。そう言わんばかりの武力行使を公然と見せつけたのが、アメリカのイラン攻撃だ。

武力介入によって、ひとまず停戦となったが、状況は予断を許さない。紛争再燃の恐れだけではない。イスラエルとアメリカは国際社会が積み上げてきた秩序や慣行を無惨に破壊した。主要国は「暴力による決着」に黙認し、あるいは称賛するという異様な空気が世界に充満している。 記事全文>>

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放送局の企業体質 私の体験的感想(下)
『山田厚史の地球は丸くない』第290回

6月 13日 2025年 社会

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

入社した1971年は、M放送にとってテレビ開局30年の節目だった。10月には数々のイベントが予定され、制作の現場では「特別番組」の企画が進んでいた。私も「アシスタントディレクター」として、特番チームの末端に加わった。

テレビ業界で「アシスタントディレクター」は、「エー・ディー(AD)」と呼ばれ、タレントの送迎、飲食の手配から小道具の手配、カンペ(看板ペーパー=タレントやアナウンサーの発言表示)出し、など「制作現場の下働き」を一手に引き受ける。ほとんどは下請けの制作会社の人たちで、「奴隷労働」などと呼ばれていた。そんな中に若手の正社員は別格の「ディレクター見習い」として参加し、経費計算など担当する。 記事全文>>

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総監・長官 腹を切って謝罪を!
大川原化工機冤罪事件
『山田厚史の地球は丸くない』第289回

5月 30日 2025年 社会

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

大川原化工機株式会社(以下、大川原社・本社横浜市)を巡る冤罪(えんざい)事件の民事裁判の2審で東京高裁が5月28日、厳しい判決を下した。液体を粉末にする噴霧乾燥機を製造・販売している中小企業が、細菌兵器に転用できることを承知で、機械を中国に輸出した、と社長ら3人が逮捕された事件である。

身に覚えがない容疑を認めなかった3人の収監は11か月に及んだ。技術担当顧問だった相嶋静夫さんは、過酷な取り調べの中でがんを発症し、冤罪が晴れないまま死亡した。自供しなければ保釈しないという「人質司法」の犠牲者である。

過酷な取り調べをさんざんしておきながら、警視庁は逮捕から1年4か月で突然、起訴を取り下げた。初公判の4日前だった。法廷で容疑を立証することは困難と判断したからである。この時点で公安警察の失態は明らかだった。公判も維持できないような事件に警察庁長官賞を与えていた。それが根本から崩れたのである。 記事全文>>

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放送局の企業体質 私の体験的感想(上)
『山田厚史の地球は丸くない』第288回

5月 16日 2025年 社会

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

「中居クンの性暴力」に端を発し、フジテレビの企業としてのあり方が問題になっている。「面白くなければテレビじゃない」に象徴される企業風土、芸能界との癒着、日枝久取締役相談役への権力集中など、かなりユニークな会社に見えるが、放送局という業種の企業体質を煮詰めたような会社だと思う。

私は、社会人になって最初の職場は放送局だった。わずか半年だったが、とても刺激的な日々で、ここにいたら人生おかしくなってしまう、と感じることさえあった。「今や昔」の話だが、体験の一端を紹介し、放送局を考えてみた。 記事全文>>

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トランプ100日 7つの大罪
時代に逆行「MAGA」の実態
『山田厚史の地球は丸くない』第287回

5月 02日 2025年 国際

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

米国のトランプ大統領が就任して100日がたった。「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン(MAGA)」を掲げ、矢継ぎ早に打ち出す大統領令に世界は右往左往するばかりだ。独善を押し通す78歳の老人は、アメリカをどこに導くのか。就任100日で鮮明になったのは、以下7つの大罪である。

①友好国への冷淡な仕打ち②敵を作り民衆を煽(あお)る③ 敵対者は徹底して叩(たた)く④アメリカ社会を分断⑤力による決着への傾斜⑥国際社会での責任放棄⑦剥(む)き出しの「国家エゴ」――。

こうした乱暴な振る舞いは、世界の不確実性を高め、経済活動を萎縮させている。アメリカの国際的地位を低下させるだけでなく、自らの国家を不安定で住みにくい社会する「自傷行為」に他ならない。 記事全文>>

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