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放送局の企業体質 私の体験的感想(下)
『山田厚史の地球は丸くない』第290回

6月 13日 2025年 社会

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

入社した1971年は、M放送にとってテレビ開局30年の節目だった。10月には数々のイベントが予定され、制作の現場では「特別番組」の企画が進んでいた。私も「アシスタントディレクター」として、特番チームの末端に加わった。

テレビ業界で「アシスタントディレクター」は、「エー・ディー(AD)」と呼ばれ、タレントの送迎、飲食の手配から小道具の手配、カンペ(看板ペーパー=タレントやアナウンサーの発言表示)出し、など「制作現場の下働き」を一手に引き受ける。ほとんどは下請けの制作会社の人たちで、「奴隷労働」などと呼ばれていた。そんな中に若手の正社員は別格の「ディレクター見習い」として参加し、経費計算など担当する。 記事全文>>

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総監・長官 腹を切って謝罪を!
大川原化工機冤罪事件
『山田厚史の地球は丸くない』第289回

5月 30日 2025年 社会

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

大川原化工機株式会社(以下、大川原社・本社横浜市)を巡る冤罪(えんざい)事件の民事裁判の2審で東京高裁が5月28日、厳しい判決を下した。液体を粉末にする噴霧乾燥機を製造・販売している中小企業が、細菌兵器に転用できることを承知で、機械を中国に輸出した、と社長ら3人が逮捕された事件である。

身に覚えがない容疑を認めなかった3人の収監は11か月に及んだ。技術担当顧問だった相嶋静夫さんは、過酷な取り調べの中でがんを発症し、冤罪が晴れないまま死亡した。自供しなければ保釈しないという「人質司法」の犠牲者である。

過酷な取り調べをさんざんしておきながら、警視庁は逮捕から1年4か月で突然、起訴を取り下げた。初公判の4日前だった。法廷で容疑を立証することは困難と判断したからである。この時点で公安警察の失態は明らかだった。公判も維持できないような事件に警察庁長官賞を与えていた。それが根本から崩れたのである。 記事全文>>

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放送局の企業体質 私の体験的感想(上)
『山田厚史の地球は丸くない』第288回

5月 16日 2025年 社会

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

「中居クンの性暴力」に端を発し、フジテレビの企業としてのあり方が問題になっている。「面白くなければテレビじゃない」に象徴される企業風土、芸能界との癒着、日枝久取締役相談役への権力集中など、かなりユニークな会社に見えるが、放送局という業種の企業体質を煮詰めたような会社だと思う。

私は、社会人になって最初の職場は放送局だった。わずか半年だったが、とても刺激的な日々で、ここにいたら人生おかしくなってしまう、と感じることさえあった。「今や昔」の話だが、体験の一端を紹介し、放送局を考えてみた。 記事全文>>

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トランプ100日 7つの大罪
時代に逆行「MAGA」の実態
『山田厚史の地球は丸くない』第287回

5月 02日 2025年 国際

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

米国のトランプ大統領が就任して100日がたった。「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン(MAGA)」を掲げ、矢継ぎ早に打ち出す大統領令に世界は右往左往するばかりだ。独善を押し通す78歳の老人は、アメリカをどこに導くのか。就任100日で鮮明になったのは、以下7つの大罪である。

①友好国への冷淡な仕打ち②敵を作り民衆を煽(あお)る③ 敵対者は徹底して叩(たた)く④アメリカ社会を分断⑤力による決着への傾斜⑥国際社会での責任放棄⑦剥(む)き出しの「国家エゴ」――。

こうした乱暴な振る舞いは、世界の不確実性を高め、経済活動を萎縮させている。アメリカの国際的地位を低下させるだけでなく、自らの国家を不安定で住みにくい社会する「自傷行為」に他ならない。 記事全文>>

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ロンドンで実感した「日本の貧しさ」
円安で潰れる日本と米国の高関税
『山田厚史の地球は丸くない』第286回

4月 18日 2025年 国際, 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

久しぶりに訪れたロンドン、日本との物価の違いに驚くばかりだった。パブでハンバーガーにフライドポテト、それにビールで約35ポンド(約7000円)。ミュージカルのチケットは1階後部の席で100ポンド(約2万円)。繁華街ピカデリーサーカス近くにあるユニクロをのぞくと、日本で2900円くらいのジーンズやパーカが35〜40ポンド(約7000〜8000円)。だった。

銀座のユニクロに海外からの旅行者が詰めかけ、大量に買い物しているシーンに、「ユニクロはいまや世界のどこにもあるのに、なぜ日本で買って帰るのか」と怪訝(けげん)に思ったことがある。

ロンドンに来てその理由がよくわかった。同じ規格の製品が半値で買えるのだから、日本に行ったらユニクロで買おうと考えるのは、当然だ。

日本で実感できなかった「日本は安い!」をロンドンでわかった。 記事全文>>

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自傷する大統領・トランプ
アメリカ壊す人物の全能感
『山田厚史の地球は丸くない』第285回

4月 04日 2025年 国際

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

高い関税を乱発し、世界秩序への役割を拒否、友好国まで敵に回す。政府機関やメディアを罵倒(ばとう)し、多様性などリベラルな価値を否定、学問の自由にまで手を突っ込む暴走ぶりだ。

民主主義・人権尊重・自由貿易――。アメリカが牽引(けんいん)してきた世界観を自ら踏みにじり、社会や経済を傷める。それは、回り回って自らを傷める「自傷行為」ではないか。

トランプという特異な人物だから起きたのか、アメリカが立ち至った状況がトランプという怪物を生んだのか。私は「移民が切り開いた新世界」というこの国の成り立ちに、いま起きている混乱の根源が埋め込まれている、と思う。 記事全文>>

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「カネ」こそ自民の「絆」
石破「10万円商品券」の政局
『山田厚史の地球は丸くない』第284回

3月 21日 2025年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

石破茂首相が、新人議員15人と公邸で催した食事会で、10万円の商品券を手土産として配っていたことが発覚。政治資金規正法違反ではないか、と国会で追及を受けている。カネの匂いがあまりしなかった政治家だけに、「石破、お前もか!」である。「政治とカネ」が問題になっている最中に、初当選議員を集めて10万円を渡す政治感覚にあきれるばかりだ。 記事全文>>

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グレートなアメリカ?
幕引き役トランプの登場
『山田厚史の地球は丸くない』第283回

3月 07日 2025年 国際

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン」。

トランプの決め台詞(ぜりふ)である。偉大なアメリカを再び。集会でこの言葉を発すると万雷の拍手が起こる。トランプが夢想する「偉大なアメリカ」とは、どんな国なのか。

団塊(だんかい)の世代である私は「偉大なアメリカ」を覚えている。圧倒的な経済力と軍事力、世界を差配する政治力。人々の暮らしは豊かで、アメリカは包容力があり、憧れの対象でもあった。「グレート・アゲイン」というのだから、今はその輝きを失った、というのだろう。で、どんな国になろうとしているのか。 記事全文>>

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「とも喰い予算」でいいのか?
政治の仕事は「優先順位」
『山田厚史の地球は丸くない』第282回

2月 21日 2025年 政治

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

国会審議の雰囲気が大きく変わってきた。衆議院で少数与党となった自民・公明は、野党の協力なしに国会を乗り切れない。ヨ党・ヤ党の中間にあるユ党を抱き込んで予算案を通そうと躍起になっている。自民・公明が安定多数を占めていたころは、野党がいくら騒ごうと、最後は数の力で押し切ることができた。そこには議論や妥協の余地はなかった。衆院の勢力がガラリと変わり、高飛車な国会運営はもうできなくなっている。 記事全文>>

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なんで今? 石破・トランプ会談
「朝貢外交」もう終わりに
『山田厚史の地球は丸くない』第281回

2月 07日 2025年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

石破首相は2月6日夜、トランプ大統領との日米首脳会談に臨むため、政府専用機でワシントンへ向かった。権力を握った2人が「初顔合わせ」する。当然の成り行きのように見えるが、急ぐ必要はあるだろうか。

アメリカは今、「トランプ旋風」が吹き荒れ、「予測不能」の大混乱が起きている。外交方針も定かでない。なぜ日本は暴風雨の中に飛び込んでゆくのか。

トランプのアメリカは、かつてのアメリカではない。どこに向かうのか、しばし様子を見た上で、対米外交の指針を定める。会うのはそれからでいい。 記事全文>>

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