山田厚史(やまだ・あつし)
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。
「存立危機事態」「防衛装備品移転」「5類型廃止」「安保三文書」。なんのことだか分かりますか。普通の国民には理解しにくい難解な言葉ですが、どれも日本の針路にかかわるキーワードです。ほとんどの人がさっぱりわからない専門用語を使って、つまり国民の大多数をカヤの外に置き、権力者は「戦争への備え」を着々と進めている。ぼーっとしていると、取り返しのつかない所に連れて行かれる。それが今の日本です。 記事全文>>
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。
「存立危機事態」「防衛装備品移転」「5類型廃止」「安保三文書」。なんのことだか分かりますか。普通の国民には理解しにくい難解な言葉ですが、どれも日本の針路にかかわるキーワードです。ほとんどの人がさっぱりわからない専門用語を使って、つまり国民の大多数をカヤの外に置き、権力者は「戦争への備え」を着々と進めている。ぼーっとしていると、取り返しのつかない所に連れて行かれる。それが今の日本です。 記事全文>>

オフィス金融経済イニシアティブ代表。元NTTデータ経営研究所取締役会長、元日本銀行理事。日本銀行では、金融政策、金融市場などを担当したのち、2008年から4年間、金融システム、決済の担当理事として、リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災への対応に当たる。著書に『異次元緩和の罪と罰』(講談社現代新書2753、2024年9月)。
日本銀行は、2025年9月の金融政策決定会合で、保有ETF(上場投資信託)の処分計画を明らかにした。年間の売却ペースを3300億円程度(簿価ベース)に設定するという。
だが、この売却ペースでは、保有残高がゼロになるのは2138年度となる(26年度の売却開始を仮定、参考1参照)。実に113年かかる計算だ。 記事全文>>
株式会社ふぇの代表取締役。独自に考案した個体差の機械学習法、フェノラーニング®のビジネス展開を、栃木県那須町で模索中。元PGRD (Pfizer Global R&D) Clinical Technologies, Director。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。趣味は農作業。
近く公開予定の新シリーズについて、企画趣旨や物語の概要などを、今回と次回第75回の2回に分けて説明します。「ニュース屋台村」の読者の皆様も、想定読者になった気持ちで読んでいただけるとうれしいです。 記事全文>>

バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住27年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。
今回の米国出張にあたり、多くの友人から「アメリカは危険だから行かない方がいい」と忠告を受けた。日本のメディアは、ワシントンDCでの政府職員解雇反対のデモやロサンゼルス市内の暴動の映像を頻繁に流していた。米国では反トランプの運動が大きなうねりを見せ、国内では政治的分断が進んでいる――私はなんとなくこんな印象を持っていた。
私だって好き好んで危険な場所に身を置くことはしない。それでも「アメリカの危機がどこまで進んでいるのか?」この目で見てこないと信じられない。滞在地の宿泊場所の選定にあたっては、インターネットや米国に最近まで住んでいた友人の情報を頼りに万全を期した。ニューヨークではマンハッタンのミッドタウンの東側、ロサンゼルスではビバリーヒルズ、サンフランシスコはユニオンスクエア周辺のホテルを選んだ。ロサンゼルス勤務時代の1992年に大規模な暴動を目の当たりにした私は、暴動の恐ろしさを嫌というほど知らされている。この時は黒人と白人、黒人と韓国人が衝突して63人が死亡、逮捕者1万人、3600件の火災が発生しロサンゼルス市内は火の海と化した。今回の渡米も最悪を想定して準備を進めた。 記事全文>>
元新聞記者。南米と東南アジアに駐在歴13年余。座右の銘は「壮志凌雲」。2023年1月定年退職。これを機に日本、タイ、ラオス、オーストラリアの各国を一番過ごしやすい時期に滞在しながら巡る「4か国回遊生活」に入る。日本での日課は3年以上続けている15キロ前後のウォーキング。歩くのが三度の飯とほぼ同じくらい好き。回遊生活先でも沿道の草花を撮影して「ニュース屋台村」のフェイスブックに載せている。
◆ジャカランダの木の下で
シドニーの街に本格的な春の到来を告げるジャカランダの紫色の花がいま(11月初め)、満開の時期を迎えている。私たちが9月半ばに来た時にはまだ、シドニーの市花に指定されているこの花の開花はまばらで花びらの紫色は薄く見えたが、1か月が過ぎると街の中心部でも郊外でも、特に青空にまばゆく映える濃い紫色のラッパ状の花を公園や庭先、街路樹などいたるところで見ることができる。
ちょうど日本のソメイヨシノのような存在だが、日本の国花が短命なのに対し、シドニーのジャカランダはこれから夏の初めの12月初旬ごろまで楽しめる。南米原産というが、シドニーの街や公園を美しく紫色に染め上げるこの花はこの時期のシドニーを彩るのに欠くことのできない存在で、その木の下を歩いているとなんとも幸せで、すがすがしい気分になる。 記事全文>>
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。
あのシーン、みなさんはどうご覧になっただろうか。満面の笑みでトランプ大統領に寄り添い、大勢の米軍兵を前に飛び跳ねながら手を振る高市早苗首相。「日米黄金時代」を謳(うた)い、大統領と個人的信頼関係を築けるか、が問われていた首相は、緊張して首脳会談に臨んだのだろう。会談を終えて、原子力空母「ジョージ・ワシントン」に場所を変え、米軍兵士の歓待を受けた。高市首相は「日本の歴史に残る女性首相」と紹介され、緊張の糸が切れたかのように舞い上がった。
大統領の腕にぶら下がるようなツーショットは、「トランプおじさま」と「サナエちゃん」といった風情だが、それは「日米同盟の現実」を映しているのかもしれない。毎日新聞の社説(10月29日付)は「対米迎合が先走る危うさ」と警鐘を発した。 記事全文>>

株式会社ふぇの代表取締役。独自に考案した機械学習法、フェノラーニング®のビジネス展開を模索している。元ファイザージャパン・臨床開発部門バイオメトリクス部長、Pfizer Global R&D, Clinical Technologies, Director。ダイセル化学工業株式会社、呉羽化学工業株式会社の研究開発部門で勤務。ロンドン大学St.George’s Hospital Medical SchoolでPh.D取得(薬理学)。東京大学教養学部基礎科学科卒業。中学時代から西洋哲学と現代美術にはまり、テニス部の活動を楽しんだ。冒険的なエッジを好むけれども、居心地の良いニッチの発見もそれなりに得意とする。趣味は農作業。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。
◆予測する未来と夢みる未来
本論考では、個体差の機械学習について考えている。例えば、認知症患者に治療薬を投薬するときに、一定期間後の薬効を評価すると、患者によっては症状の改善効果がある場合と効果が無い場合がある。薬効の個体差は、症状の予後変化に依存するので、とても複雑だ。症状の予後変化は、未来を予測するという意味では、天気予報とあまり変わらない。
現在の天気予報は、雨雲データなどをリアルタイムで観測しているし、現在の天気をユーザーがフィードバックする。直近の天気は、天気予報というよりは、天気レポートの感がある。中長期の天気予報はあまり当たらないので、薬効予測と似ている。薬効予測は不十分でも、診断技術は急速に正確になっていることも、天気予報に似ているかもしれない。個体差といっても、個体間変動(inter-individual-variability)だけではなく、個体内変動(intra-individual-variability)もある場合で、個体間変動と個体内変動が複雑に交絡(こうらく)している状況は、実際に頻繁にある。このように複雑な状況では、現在の統計解析の技術では、占い師の未来予測のレベルと大きくは変わらないのだろう。 記事全文>>

バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住27年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。
2025年8月末から3週間にわたって私は米国のニューヨーク、ボストン、オースティン(テキサス州)、ロサンゼルス、サンフランシスコの計5都市を訪問した。実に30年ぶりの訪米である。私は1980~81年、87~94年の計2回通算9年半の米国での勤務経験がある。米国は私にとって日本、タイに次いで3番目に長く住んだ国だ。しかし米国は今やすっかり遠い国になってしまった。30年も訪問していなければ何も知らないのと同じこと。現在の米国を少しでも理解したいと思い、出張したのだった。 記事全文>>
海外勤務が長く、日本を外から眺めることが多かった。帰国後、日本の社会をより深く知りたいと思い読書会を続けている。最近常勤の仕事から離れ、オープン・カレッジに通い始めた。
◆はじめに
本稿は、「『内部留保』について考える」その1〜4のまとめである。本来連動していた企業利益と賃金・投資が連動しなくなった要因と課題という視点から論点を整理した。
法人企業統計調査が示すのは――内部留保の増加は企業利益の上昇を反映したものであり、企業に財務基盤の強化をもたらしている/一方で企業は1990年代後半以降コストカット経営を進め、人件費や国内投資を抑制している/内部留保は、海外への直接投資や現預金の増加に形を変えている――。 記事全文>>
元新聞記者。「ニュース屋台村」編集長。南米と東南アジアに駐在歴13年余。座右の銘は「壮志凌雲」。2023年1月定年退職。これを機に日本、タイ、ラオス、オーストラリアの各国を一番過ごしやすい時期に滞在しながら巡る「4か国回遊生活」に入る。日本での日課は5年以上続けている15キロ前後のウォーキング。歩くのが三度の飯とほぼ同じくらい好き。回遊生活先でも沿道の草花を撮影して「ニュース屋台村」のフェイスブックに載せている。
9月のオーストラリア・シドニーは例年なら春が始まったばかりの過ごしやすい時期だが、今年はそうでもないらしい。私と妻は9月半ばからシドニーに滞在しているが、来る直前の2週間ほどは毎日ずっと雨だったという。
私たちが到着して以来、幸いまとまった雨はまったく降っていないが、気温は朝方に一けた台まで下がっても日中は35度近くまで上がる日がある。一日の寒暖差は優に20度以上あり、朝から夜までのわずかな間に四季の移ろいを肌で感じている。 記事全文>>