п»ї 「夏休み」で処理できない欠勤『実録!トラブルシューティング』第26回 | ニュース屋台村

「夏休み」で処理できない欠勤
『実録!トラブルシューティング』第26回

2月 12日 2016年 経済

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東洋ビジネスサービス

1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。

今回は、「緊急夏休み届」に関するトラブルについてご紹介します。タイの労働者保護法では、1年以上勤務した労働者には6日以上の年次有給休暇(夏休み)の付与が義務付けられています。A社では、勤続年数を問わず1年以上勤務した全社員に一律年間6日間の夏休みを与え、消化しきれない場合は翌年への繰り越しは合計で12日までとし、繰り越せない分の有給休暇の買い取りは無し、と定めています。

◆皆勤手当のために考えた裏ワザ

ここで、タイ人社員から変わった問い合わせがありました。「事故や病気などで会社に行けない場合に緊急夏休みを取得したい」とのことです。タイでは労働者には年に30日まで特別休暇と呼ばれる傷病休暇があります。

事故や病気の場合はこちらを取れば良い話なのですが、一体どういう意図なのでしょうか。じっくり言い分を聞いてみると、彼は特別休暇を取らずに夏休みという年次の有給休暇とその繰り越し分を使うことで皆勤手当をもらいたいという話だったようです。

日系企業は、労働者に大変有利に定められている労働者保護法で守られたタイ人従業員が休暇を取得しないように歯止めをかける方策の一つとして、皆勤手当を設定することが多いのですが、皆勤手当をもらいたいがために、このような変わった形でのリクエストとなったようです。

A社ではその後、繰り越せない有給休暇の買い取りを認めた上、さらに年次休暇の取得日数を勤続年数に応じて増やす形に規定を改定し、順調に運用をしています。

◆「餅は餅屋」 労務問題は専門家に委ねる

そもそも一般的にタイ人スタッフと日本人駐在員との間のやりとりでは、通訳の力量によってミスコミュニケーションが発生することが多々あります。それに加えて、タイの労働者保護法は日本人の常識からかなりかけ離れた部分が多くあります。

一方、日本人駐在員のすべてがそもそも法律に詳しいとは限りません。これらがすべて積み重なって、特に労務の分野では「タイ人マネジャーがタイ人スタッフをかばうために不自然な主張をしている」と日本人駐在員が誤解するというケースが後を絶ちません。

だからと言って、日本人駐在員がタイの労働者保護法や、労働裁判の事例についてすべて精通するというのも無理がある話です。日本の常識を基に感情的になるよりは、専門家に適時相談するのが得策です。

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