п»ї アニメブームの波に乗れ!『トラーリのいまどきタイランド』第7回 | ニュース屋台村

アニメブームの波に乗れ!
『トラーリのいまどきタイランド』第7回

2月 20日 2015年 文化

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トラーリ

寅年、北海道生まれ。1998年よりタイ在住。音楽やライブエンターテインメント事業にたずさわる。

タイでアニメチャンネル「TOONAMI(トゥーナミ)」が1月14日に開局した。「TOONAMI」とは、「CATOON NETWORK(カトゥーン・ネットワーク)」放送枠の一つで、アクション要素の強いアニメーションを中心に取り扱っているチャンネルである。「バッドマン」「スパイダーマン」などのアメリカンコミックス作品の放送が主体で、アジアではすでに香港、インドネシア、シンガポール、フィリピンに展開しており、ようやくタイにも上陸を果たした。

トゥーナミ立ち上げのきっかけとなったのは、「BOOMERANG(ブーメラン)」というアニメチャンネルである。ブーメランチャンネルは、2013年8月に放送が開始されたばかりで、タイ国内では若いチャンネルであるが、わずか1年半という短期間でありながら急速に人気を高め、タイ国内での認知度ナンバーワンのアニメチャンネルとなった。

ブーメランとトゥーナミの姉妹チャンネルを運営するM TUNER(エム・チューナー)社は、TUNER HONGKONG (チューナー香港、米国の放送大手チューナーブロードキャスティング社のアジア統括法人)と、タイの映画専門チャンネル「Mチャンネル」を運営するMAJOR KANTANA BROADCASTING(メジャー・カンタナー・ブロードキャスティング社)の合弁会社だ。

タイにおけるブーメランチャンネルの人気は、「トムとジェリー」や「ルーニー・テューンズ」「マイリトルポニー」など、米国のクラシックアニメーションのコンテンツそのものの面白さにあることは言うまでもないが、メジャーグループ(映画配給会社大手)とカンタナグループ(映像制作会社大手)という2大グループが母体であることにも大きく起因すると感じている。

カンタナグループは、14年6月に日活や日本テレビ放送網との共同出資でカンタナジャパン株式会社を設立するなど、日本ともビジネスが盛んな映像制作会社で、ドラマ、映画、アニメCG制作のほか、広告代理業やイベントの企画運営も行っており、14年5月には第1回タイランドコミコンというアニメイベントを開催し、大成功を収めた。一方、メジャーグループは、サイアムパラゴンをはじめとした大型商業施設内でシネプレックスの運営と映画の配給を行っている。

◆タイでも大人気の「ドラえもん」

このメジャーグループの映画上映で、14年末から大ヒットしたのが、3DCG映画「スタンドバイミー・ドラえもん」である。大みそかに封切りとなり、約1週間で興行収入が3000万バーツ(約1億8900万円)を超えたと映画専門オンラインマガジン「FLICKZ」は報じている。これは歴代の劇場版「ドラえもん」のタイにおける興行収入を超えた数字だという。

約2年前、タイの配給会社と面会をした際に「日本のアニメはテレビでは人気がありますが、劇場版になると、なかなか興行として成り立たないのですよ。あえて言うなら『ドラえもん』でしょうか。これを超える日本のアニメ映画はタイではいまだかつてないですね」と言われたことを記憶しているが、3DCGでさらにパワーアップした「ドラえもん」が、またしてもタイの子どもたちを魅了し興行記録を塗り替えてくれたことは日本人としてうれしい。

メジャーグループを母体に持つブーメランチャンネルでは、当然この人気映画のコンテンツをテレビ放送することが決定しており、さらなる視聴率アップを狙っている。このように、一つのアニメコンテンツが、映画館、テレビ、ネットなどあらゆるプラットフォームで配信され、またイベントで紹介され、さらにマーチャンダイジングでお金を産む、という構図は、アニメ市場を活性化させるベストな形ではないかと思う。

トゥーナミの立ち上げと同時期に、サイアムセンターに期間限定のLINEキャラクターショップがオープンするなど、最近は日本アニメを取り巻く動きが活発になってきた(LINEアニメーションは昨年からアナログ地上波テレビ局で放送が開始されている)。2015年はこの勢いに乗るべく、日本アニメコンテンツの積極的なアジア向け展開に期待している。

いずれも「TOONAMI(トゥーナミ)」チャンネル開局の記者会見で=筆者撮影

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