п»ї 天皇家を消滅させるのは誰?『山田厚史の地球は丸くない』第199回 | ニュース屋台村

天皇家を消滅させるのは誰?
『山田厚史の地球は丸くない』第199回

10月 29日 2021年 経済

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山田厚史(やまだ・あつし)

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。

秋篠宮家の「眞子さま」が、婚姻届を出して「眞子さん」になった。民間人になった彼女は、アメリカで暮らすという。

朝日新聞に掲載されている「朝日川柳」にこうあった。

「流出は、頭脳につづき、皇族も」。

眞子さんは、とげとげしい世間の目に耐えられないのだろう。

ロンドンで特派員をしていたころ、オックスフォード大学に小和田雅子さんが留学していた。今の皇后さまである。赴任する時、旧知の皇室担当に尋ねた。

「雅子さんの動向をウォッチすることは必要か?」。答えは「皇太子さま(今の天皇陛下)はご執心のようだが、彼女は外されたから、ウォッチしなくていいよ」。

アメリカにいたころ「深い恋愛」の経験があり、皇太子妃の候補から消えた、ということだった。

◆眞子さんの苦悩

しかし「皇太子さまは諦めていない」ということなので、オックスフォードの日本人学生から「雅子さん情報」を時々、聞いていた。

 当時、雅子さんは外務省に勤めていた。「皇太子妃候補ナンバーワン」と注目され、日本にいづらかったのだろう。求愛する皇太子さまから距離を置くため日本を離れたともいわれていた。

ところが学友によると、「彼女はオックスフォードに来たものの勉強に身が入っていない」という。「どうしてそんなことが分かるのか」と聞くと、「落第したようだ」という。勉強は得意のはずの彼女が、単位を落としてしまうというのは、勉学に身がはいらないからではないか、ということだった。

真偽は定かではないが、彼女が精神的に不安定であることをうかがわせる情報はいろいろあった。それでも、諦めなかった皇太子さまの「粘り勝ち」となり、2人は結ばれた。皇太子妃になった雅子さまの苦難はそこから始まった。

世間から見れば、皇太子さまに見初められたシンデレラガールだが、外からはうかがい知れないストレスが皇族にはあるのだろう。平成天皇の后(きさき)・美智子妃も失語症になられた。

 美智子さま、雅子さまと続き、今度は秋篠宮家である。「金銭トラブル」は、婚約者の母親に起きた出来事でしかない。「借りた」のか「もらった」のか、という程度の話で、親の借金など成人した息子の結婚とは関係のない話なのに、皇族であるがゆえに、「国民から祝福されない結婚」などと言われ、婚約者と3年間も会えない異常事態が続いた。「日本にいたくない」と思うのは当然だろう。

 姉の苦悩を見ていた佳子さまは、どう思われただろう。そして、やがて天皇になる15歳の弟・悠仁(ひさひと)さまは、この騒動になにを感じただろうか。

◆「少子高齢化」皇室でも顕著

米紙ニューヨーク・タイムズは「日本の皇室は世界で最も脆弱(ぜいじゃく)な王室」と書いた。世間と同様、「少子高齢化」が皇室で顕著だ。40歳以下の皇族は7人しかいない。しかも6人が女性。男子は悠仁さまただ1人。

 世間は男女同権だが、皇室は明確な男女差別だ。天皇は男系男子に限られ、女性皇族は結婚すると民間人になる。

 男系男子で皇統が維持できたのは「側室」があったからだろう。男の子が分家して宮家をつくり、本家に後継がいなければ男子を供給する。そんな補完システムは一夫一婦制では難しい。1人しかいない妻が何人も男子を産むということは何代も続くわけはない。

 現在、皇位継承権の第1位は秋篠宮さまだが、天皇陛下と6歳しか違わない。第2位は悠仁さま、男はそれだけ。やがて悠仁さまは結婚するとしても、男子が産まれなければ、天皇の成り手はなくなる。「脆弱な王室」といわれるゆえんだ。

「天皇家の危機」は以前から問題にされ、民主党政権のころ、「女性皇族が結婚後、宮家を創設して皇族に残る「女性宮家」が提案された。自民党が政権に復帰すると、「男子男系が日本の伝統」という保守派が力を増し「女性天皇や女系天皇は認めがたい」という空気が強まった。

皇族の数がどんどん減っていく現状に、今年3月、有識者会議が「皇族の数を確保することは喫緊の課題」として、中間報告として2案を打ち出した。女性皇族は結婚後も皇室に残る、旧宮家の男系男子を養子として皇族に復帰させる、という案である。

眞子さんの一件で見るように、結婚した女性皇族は、果たして皇族に留まることを希望するだろうか。廃止された旧宮家の男系男子を今になって復帰させるとしても、いったい誰を選ぶのか。微妙である。皇位継承に政治が絡みかねない。民間人として暮らしている人が皇族になることを希望するだろうか。

◆「家系は男系」政権政党の基調

女性皇族が圧倒的に多い現状を踏まえれば、女性天皇や女系天皇を認めることが合理的だが、「男系男子」を頑なに主張する守旧派が自民党に根強い。

「女系はダメ」の分かりやすい例として挙げられているのが、「小室さん問題」だ。女系だと小室圭さんのような男の血を引く子が天皇になる、そんな天皇を認めることできますか、という論法だ。

「男系男子が日本の伝統」というのは、天皇家の血筋は男によって受け継がれる、という発想である。だから民間人と結婚した女性皇族は皇室に置かない。選択的夫婦別姓を認めないのも、「家系は男系」という考えが政権政党の基調にあるからだ。一夫一婦制の現代に「男系優位」を持ち込んだことが、皇室の衰退を招いた。このままだと天皇家は自然消滅する。「天皇制は日本の根幹」と信奉する保守派が、天皇制を「持続不可能」に追い込んでいるのはどういうことだろう。

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