助川成也(すけがわ・せいや)
中央大学経済研究所客員研究員。専門は ASEAN経済統合、自由貿易協定(FTA)。2013年10月までタイ駐在。同年12月に『ASEAN経済共同体と日本』(文眞堂)を出版した。
◆局地的な「タイプラスワン」拠点
これまで2回にわたって「タイプラスワン」戦略の動きを報告した。しかし、カンボジアやラオスはその候補ではあるが、それら両国の国土全体がその対象とは言えない。例えば、カンボジアには現在までに32カ所の経済特区(SEZ)がある。うち稼働しているのは8つ。しかし、製造業を担うに足るある程度十分なインフラが整備された環境を備えるSEZは決して多くはない。
具体的には、日本の政府開発援助(ODA)で支援したシアヌークビル港SEZやプノンペンSEZなどごく一部。多くのSEZは、賃料自体は安価なものの、上下水処理設備の敷設がなかったり、バックアップ用電源がなく停電リスクは入居企業自ら負わねばならなかったりするなどリスクがある。その結果、自ら製造に専念出来る環境にまで整備する必要がある。
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