п»ї 先日付小切手で回避できるもめごと 『実録!トラブルシューティング』第40回 | ニュース屋台村

先日付小切手で回避できるもめごと
『実録!トラブルシューティング』第40回

1月 04日 2017年 経済

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東洋ビジネスサービス

1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。

◆「ちょっと遅れて払う」のが習慣化したタイ企業も

今回は、売掛金の回収時に生じることがあるタイと日本の違いについてご紹介します。どこの国でもありえる話ですが、タイで事業を行う際には、タイと日本の様々な商慣習や文化の違いに戸惑うことが多いと思います。弊社のお客様であるA社から「急ぎで相談したいことがある」と連絡を頂きました。普段は日本で勤務していらっしゃる社長さんですが、バンコクの弊社まで来て頂いて話を聞くと、売掛金の回収が遅れており困っているとのことでした。

詳しく話を聞いてみると、未回収金は6回分の発送に対する請求で、支払いの遅れはいずれも3カ月未満です。もちろん請求書に「Due date」(支払期日)は書かれていますので、明らかに支払い遅延です。

しかしながら、この程度の支払いの遅れは「支払い遅延のうちには入らない」と考えるタイ企業があることは残念ながら事実です。もちろん期日通りに払ってくれるタイ企業もたくさんいらっしゃいますが、なぜなのでしょうか「ちょっと遅れて払う」ことが毎月の習慣になっているタイ企業もあります。

そのようなタイ企業に対し「Due date」が来てすぐに督促をしても、すんなりと払ってもらえることはあまりありません。それどころか、度重なる督促と受け取られてしまい、わずらわしく思われてしまうことすらあります。下手をすると「ちょっと遅れたくらいで!」と逆に怒られ、取引関係が悪くなってしまうことすらあります。

そうと分かっていても、未回収金があるA社の社長は落ち着きません。では、どうすればこのような事態を避けることが出来るでしょうか。

このような場合、支払い日が先日付の小切手をもらうことをお勧めします。支払い日当日に銀行に持っていく必要はありますが、不渡りを出せば罰則の対象になりますので、先付小切手を振り出す方も慎重になります。

ちなみに、振出日前に銀行に持っていっても支払いはされませんし、振出日後に銀行に持っていって、その時に支払い人の口座が残高不足の場合も支払いはされません。あくまでも、小切手に記載されている振出日(または、それ以降)に支払い人の口座残高がある場合のみ、支払いがされます。以前にも触れましたが、万が一、振出日後に銀行に持っていき、口座残高不足で支払いがされない場合は、民事訴訟が可能です。

結局、A社は相手方と話し合いの場を持ち、未回収金に関して先付小切手を用意してもらいました。そして、今後も支払いは小切手を使うことで無事に合意ができました。

◆関係良好なら話し合いですんなり解決

先日付ではない小切手に関しても注意点があります。ほとんどの会社は小切手の受け取り日を指定しており、その期間に行かないと、次の指定日まで待たされることになります。会社によっては柔軟に対応してくれる場合もありますが、杓子(しゃくし)定規に「今月の引き渡し日は過ぎたので来月◯◯日から◯◯日に来て下さい。」と言われてしまうことも多々あります。

この支払いについては一例ですが、日本人からすると一風変わったように思える商慣習や文化の違いに戸惑われる方も多いと思います。ここで強硬に出て弁護士から督促状を出したり、訴訟を起こしたりすると、相手の態度を硬化させる場合があります。何かおかしいと思っても、まずは話し合いをされることをお勧め致します。

話してみると、こちらが思うほど相手側は真剣に考えていない場合もあるでしょうし、もしかするとタイ人同士では特に問題がない、普通のこととされるような事案かもしれません。両者の関係が良ければ、話し合いですんなり解決することも多々あります。

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