山田厚史(やまだ・あつし)
ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。「ニュース屋台村」編集主幹。
カナダの国会で起きた銃乱射事件。米国に高まる地上軍投入の気運。中東の過激派組織「イスラム国」を巡る緊張は高まり、世界のどこでもテロが起きかねない状況になった。イスラムは怖い。そんなイメージが広がっている。
◆過酷な現世を忘れる精神安定剤
イスラム教徒とテロを結びつける発想は日本の警察にもある。3年前、警視庁から流出した公安情報にその一端が現れている。「テロ対策」として都内に住むイスラム教徒をリストアップし、身辺を監視していた。
なじみ薄い人にとってイスラム教は凶暴な宗教と受け取られがちだ。過激派は女性を差別し、自爆テロも辞さない。人質の首を切断するシーンをネットで公開する。イスラムは何をするかわからない、という刷り込みが世界に広がった。