п»ї 「見える化職場」になっているか―迎流企業診断と評価(3)『ものづくり一徹本舗』第28回 | ニュース屋台村

「見える化職場」になっているか―迎流企業診断と評価(3)
『ものづくり一徹本舗』第28回

12月 05日 2017年 経済

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迎洋一郎(むかえ・よういちろう)

1941年生まれ、60年豊田合成入社。95年豊田合成タイランド社長。2000年一栄工業社長。現在中国、タイで工場コンサルタントを務める。自称「ものづくり研究家」。

「見える化職場」とは何だろうと、疑問をお持ちの方もあろうかと思いますので、私なりの考えを説明いたします。要約すると、トップポリシーに沿った活動が実行されているか否かが、職場に行けば誰でも見てわかるようになっているということです。

従業員は何を知りたいか、トップは職場巡回で何を見たいか、で「見える化」を進めるとよいと思います。「見える化」で各社が工夫している事例をいくつかご紹介します。

◆職場に行けば誰でも見てわかるように

〈1〉トップポリシーや社是が公示されている(会社パンフレットも含む)

〈2〉目標管理項目と達成計画および実績が適宜記録されている。計画どおり進んでいない場合、アクション(対応策)がとられていることがわかるようになっている

① 生産性管理……職場単位の挑戦目標と実績はうまく回転しているか

② 品質保証……社外クレームの発生状況は、目標とする水準を維持しているか
発生した場合は現物を展示し、発生原因と再発防止の説明がされているか

③ 工程別不良発生グラフ……目標値に対してコントロールできているか。突発異常発生は適宜処置がなされているか

④ 安全管理……発生状況が詳しく説明され、再発防止が徹底されているか
〈3〉4Ⅿ(人・材料・方法・機械)変更管理……工程に変化があった時には、具体的にどのように処置したのか、職場の全員にわかるように表示する

以上の〈2〉〈3〉の項目については、毎朝時間を決めて関係部署の幹部が、管理表示板の前に集合し、朝会で報告すると同時に、参加者と質疑を交わすことを習慣としている会社が多数あります。

〈4〉製造現場や倉庫の見える化
これは大きくは3項目に分けて進めるとよいでしょう。

① 工程の稼働状況が見れる装置化
一般的には「アンドン」と称されています。標準タイプは赤、黄、青の3段式表示灯です。高さは機械で隠れない高さで統一されています。用途は、赤=機械が停止している、黄=監督者呼び出し、青=正常運転――を表しています。
この表示灯が職場全体の機械稼働率判断材料になりますし、黄色は「もうすぐフルたちワークになります」「引き取り、空箱、パーツの供給をお願いします」とか「加工が遅れしていますので手伝いしてください」「少し機械の音がおかしいしから見てください」「段替え時間が迫りましたので準備に入って下さい」などのルールを事前に決めて活用します。赤は機械故障や、材料切れ、パーツ供給遅れで生産が停止していることを知らせます。したがって監督者は、赤や黄色に対していかに早く対応しなくてはいけないか常に目配りが必要です。

② 所番地と適正手持ち(在庫)の表示
中間工程の出店や、完成品倉庫は、必ず何をどこに何個(最大・最少)持つのか標準を決めて管理することです。これを「見える化」することでつくり過ぎを抑えることに大きく役立ちますし、整理整頓もできるのです。

③ 生産の進捗管理に「カンバン」で「見える化」する
生産加工が、終日同一ならば機械にカウンターを付けて管理してもよいかと思いますが、他種類の組み込みだと製品ごとに加工サイクルタイムも仕掛け数も 違いますので、1日の稼働予定時間に合わせて加工する製品と数をカンバンカードで仕掛けると、その工程の遅れ進み具合が一目でわかります。

以上、「見える化」の主な項目を説明しましたが、それ以外には来客用に、または社員への教育に役立つ製品の種類と用途などがわかるような工夫も「見える化」の大事な項目だと思います。

蛇足ではありますが、訪問したある会社は、紙飛行機の滞空時間競技への挑戦を掲げて世界記録を達成し、今なお社員に夢を持たせるために限りない挑戦を続ける社風を見せていただきました。これも会社経営ポリシーの表現であると感銘しました。

※『ものづくり一徹本舗』過去の関連記事は以下の通り
第26回 トップポリシーとマネジメントは明確に―迎流企業診断と評価(1)
https://www.newsyataimura.com/?p=7030#more-7030
第27回 4S管理は全社一丸で取り組む―迎流企業診断と評価(2)
https://www.newsyataimura.com/?p=7043#more-7043

※「ニュース屋台村」過去の関連記事は以下の通り
迎洋一郎さんによる工場診断サービス
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第103回
https://www.newsyataimura.com/?p=6861#more-6861

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