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ウェブ無料講座「学びで変わる」で「学び」の在り方を考える
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第211回

6月 07日 2021年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆支援を考えるシリーズ

 一般財団法人発達支援研究所が主催の無料公開講座「成人障がい者の支援を考えるシリーズ」の第1回として「多様な『学び』で変わる支援 ~障がい当事者の可能性を広げる新たな試み~」が5月17日から6月20日まで、オンラインで無料公開されている。

みんなの大学校の学生2人が、同研究所の山本登志哉所長と私からの質問に答える形で、学びについて考える企画。2人の学生の個性豊かなコメントを受けて、私と山本所長が話を展開する内容だ。研究所の説明では、「みんなの大学校」における「学び」の経験についてうかがいながら、そうした社会と当事者のギャップを「つなぐ」コミュニケーションの場としての「学び」のあり方を考えます、と説明している。

私たちの学びが研究所を通じて考え、それを社会に提供し、課題を共有化する喜びは、どんな反応があるのかの期待を膨らませている。

◆2つの世界をつなぐ

 コンテンツは、インタビューとして「いまから ここから」(語り手:水越さん・みんなの大学校学生/聞き手:山本登志哉・発達支援研究所所長)、「数字は裏切らない」(語り手:中嶋さん・みんなの大学校学生/聞き手:引地達也・みんなの大学校学長)。

対話として「二つの世界をつなぐ『まなび』」(引地達也と山本登志哉)がある。水越さんは、みんなの大学校基礎課程を修了し専門課程で学ぶ40代で、長年引きこもり状態の中で苦しんできた。その彼を社会に立たせている「学び」を、普段話をしている私ではなく、山本所長が聞き出していることが、水越さんにとっても新鮮だったに違いない。

タイトルとなった「いまから」「ここから」は、水越さんの経験から出た切実な決意でもあり、この二つの言葉が言える感覚は、学びが導き出した大きな成果ではあるが、それはやはり水越さん自身が前に進みたいという強い意志があったからだと思う。ただ、その意志の有無ではなく、そのメカニズムも考えていければますます世の中に学びが浸透するのではないかとも思う。

◆絶望から課題を考える

中嶋さんは基礎課程2年生の20代前半。これまでの「学び」の印象によい思い出はなく、その「よい」がないという感覚を詳らかにすることで、気付かされる点は多い。社会に何気なく「学び」といっているものは何か、同調圧力や価値観の押し付けや、権威による絶対評価など、中嶋さんの何気ない言葉から想起される社会の学びの現実は、中嶋さんから見れば絶望的にも見える。

聞き手である私はもちろん、そのような絶望的な現実を否定はしない。むしろ、そのことが分析できる力は称賛に値するし、私が彼から学ぶものは多いから、感謝しかない。その対話の中で、共有できる現実をどう考えるかが、問われている。

この問いこそが、私たちが生きる社会の課題だ。

誰もが一緒、はありえない中で、私たちは違いを乗り越えて社会を形成しているから、その乗り越える壁や境界をどのように設定していくかが、試されている。このインタビューも是非、共有して、その違いを感じ、受け入れ、そこから考えてほしいと思う。

◆当事者視点のきっかけに

研究所は当事者に関する問題について「社会から要求される基準と当事者自身がもっている基準との間のギャップに多くの当事者が悩まれています。この問題は、単に就労のために社会の基準を『訓練』するだけでは解決がむつかしく、さらに当事者視点の理解を深めた新たなアプローチの模索が必要となっています」と指摘し、訓練への限界も示しながら、こう結ぶ。

「当事者の可能性を広げるための『学び』でもあり、現在の就労移行支援のあり方を当事者視点のものへと変えていくきっかけにもつながるものです」。

公開講座の期間は2021年5月17日(月)0:00 ~ 6月20日(日)24:00。

申込期限は2021年6月18日(金)24:00まで。

動画配信はYoutubeで、視聴方法などの詳細は、申し込みいただいた方にお知らせする。定員なし、無料。申し込みはこちら。https://hatsuken.or.jp/information/detail/10722/

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