п»ї 「障がい者の生涯学習」の本年度のこれまでと来年度のこれから 『ジャーナリスティックなやさしい未来』第161回 | ニュース屋台村

「障がい者の生涯学習」の本年度のこれまでと来年度のこれから
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第161回

4月 22日 2019年 社会

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引地達也(ひきち・たつや)

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◆タフな道のり始まる

文部科学省の2018年度「特別支援学校高等部卒業生等を中心に対象とした若者の学びを展開するための学習プログラムの開発事業」は3月、同省に成果報告書を提出し同年度の講義・カリキュラム・視察調査などは終わった。終わったが、さまざまな形で見えてきた課題には、待ったなしでの状況やそれぞれの人々の期待や思いがあるから、私自身は来年度に向けて走り始めている。

特別支援学校の卒業生及び社会に出る直前の高等部3年生向けに考えていたオープンキャンパスだが、「その対象者を呼び掛ける方法がなかなか見つけられない」「地域とのつながりを模索しながらも、福祉領域の地域リソースに従事する方々は忙しく余裕がない」「医療ケアの方々への学びへの対応は少ない(ほぼない)」ことが2019年度の課題である。

そこに4月に開学した法定外シャローム大学も絡み、必要な学びに対応できる私たちであるための取組みは始まったばかり。まだまだタフな道のりだ。

◆忙しい特別支援学校

特別支援学校は忙しい。先日、ある県の特別支援学校(高等部)を訪れ、来秋のオープンキャンパスの参加を呼びかけするのにあたり日程調整を行ったのだが、秋の予定だというのに就職に向けての実習などでスケジュールは結構埋まっているのには驚いた。

学校や教員は、特別支援教育にある生徒を確実に就労させることに熱心で、確実なプロセスを築いている努力と取組には頭が下がる思いである一方、ややスケジュールがタイト過ぎないかな、と思い、私が率直に「結構、生徒もきつくないですか」と問うと、先生も「そうなんですよ」と困り顔となったのは印象的だった。そして、これは特別支援学校の多くの先生との会話のパターンだ。

「就労させる」大号令の中で、いろいろな生徒がいる中で、先生にもいろいろな思いがあるだろう。結局、オープンキャンパスは学校の「実習」の位置付けで参加してもらうことにしたが、やはり少し窮屈な感じがしてしまう。

◆ニーズの高い精神障がい者

また、初めてのオープンキャンパスで分かったのは、合計6回の開催で延べ参加者約200人のうち、当初は知的・発達障がい者の割合を7割にしていたが、結果的に精神障がい者の割合が7割近くになったことである。年齢も10代から60代まで幅広く、精神障がい者の学びへのニーズは高い。

精神疾患者・障がい者は、就労できない状況から、就労ができるような学びを求める人もいれば、人生を楽しくできるような新しい発見を示してほしい、との声もある。共通しているのは、学びを提供する側である私たちが、それら障がいや疾患などの「ケアが必要な状況」を理解し、行動としてふるまえること、である。

これは教える側の資質として今後養成しなければならない点。結構難しいが、必須であることは確かだ。

◆医療ケアの必要な方の学びを

そして、私が調査や視察で動くことで分かったことが、「肢体不自由の方々の学び」の問題である。特殊な車いすなどでの移動が必要である重度の肢体不自由の方々にとって、18歳以降の学びに関する社会的資源は基本的にはない。

日本全国には地域の支援団体が介護ではなく交流する支援を行っている例もあると思われるが、「学び」を確実に行っている実例は東京都小平市のNPO法人地域ケアさぽーと研究所による訪問授業などがある。

昨年度は同研究所に教えを請いながら、私ができることはないか、を考え、歩き、対象者と対話をし、法定外シャローム大学では「訪問型講義」を立ち上げた。

結果として4月には医療ケアの必要な「学生」が入学し、入学式にも出席した。今年も法定外シャローム大学ではオープンキャンパスを実施する予定で、これら課題に向き合いつつ、新しい学びを考えていく。本年度、私にとっても日々「学び」の連続となりそうだ。

■学びで君が花開く! 法定外シャローム大学

http://www.shalom.wess.or.jp/

■精神科ポータルサイト「サイキュレ」コラム

http://psycure.jp/column/8/

■ケアメディア推進プロジェクト

http://www.caremedia.link

■引地達也のブログ

http://plaza.rakuten.co.jp/kesennumasen/

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