п»ї NPO法人が乗り出すLGBTQへの就労支援に向かう中で 『ジャーナリスティックなやさしい未来』第243回 | ニュース屋台村

NPO法人が乗り出すLGBTQへの就労支援に向かう中で
『ジャーナリスティックなやさしい未来』第243回

9月 19日 2022年 社会

LINEで送る
Pocket

引地達也(ひきち・たつや)

%e3%80%8e%e3%82%b8%e3%83%a3%e3%83%bc%e3%83%8a%e3%83%aa%e3%82%b9%e3%83%86%e3%82%a3%e3%83%83%e3%82%af%e3%81%aa%e3%82%84%e3%81%95%e3%81%97%e3%81%84%e6%9c%aa%e6%9d%a5%e3%80%8f%e5%bc%95%e5%9c%b0%e9%81%94特別支援が必要な方の学びの場、みんなの大学校学長、博士(新聞学)。精神科系ポータルサイト「サイキュレ」編集委員。一般財団法人発達支援研究所客員研究員、法定外見晴台学園大学客員教授。

◆「普通」への期待

認定NPO法人「ReBit」(リビット、東京)がLGBTQなど性的少数者の就労サポートを全国に広げる活動に乗り出した、と先日一斉に報じられた。全国の自治体への啓もうや福祉サービス事業を使っての支援活動を行う予定という。障がい者への支援の枠組みにある就労系のサービスの中で、一般就労に向けた最前線である就労移行支援は企業とのコミュニケーションを密にしながら、就労させた上で定着に向けた活動も行われているが、障がい特性を理解してもらう取り組みの中で、性的少数者に関する支援は難しい。

私自身も、「多様性を認める社会」と各地で連呼される中で、仕事の現場やそれぞれの感性はまだ保守的なのが現実で、そのギャップに当事者はうつ病などの「二次障害」に陥る事実も目の当たりにしてきた。今回の取り組みが起爆剤となって、当事者の現実に接した社会に「ケア」の感覚広がっていき、やがてそれが「普通」になることを期待したい。

◆「わかった」にならぬよう

LGBTQの問題は個々人で事情が異なるので、「理解」は一様ではない。だから、私も「分かった気」にならないように注意しているが、第三者から相談を受けると、どうしても一般化されたイメージを伝えてしまうから、いけないと思っている。

さらに「ゲイの友達がいるからよくわかる」などの、知っていることを自認する人の言動にも社会は振り回されてしまう。ここで問題になっているのは、声にならない声であり、その声をどう拾っていくかも大きな課題だ。ReBitの取り組みは、就労支援のサービスを使って公的なサービスに位置づけ、世の中にこのカテゴリーを顕在化させ、その声が世の中に出ていくこと、出していくことも期待される。

福祉サービスは障がい者支援として位置づけられているが、発達障がいや引きこもりなどこれまでの「障がい者」とは違う方々への支援が広がる中で、その領域に性的少数者への対応も促すことにつながるだろう。

◆「見えなくする」管理

しかしながら、日本社会の偏見は根強い。LGBTQが精神疾患と結び付けられてきたこと、今もその考え方が岩盤のように存在していることを考えると、まだまだハードな取り組みかもしれない。

これは、近代国家になった日本が長く精神疾患者を「座敷牢(ろう)」で家庭が「保護」という名で管理し、外に出さない政策を是としてきた文化の延長線上にある。理解できないものを議論によって解決するのではなく、管理によって社会の表面から「見えなくする」ことで、社会の平安を取り手法である。

今でもこの思想性は社会に根付いているから、まだまだ議論が必要だ。この中にあって、ReBitによる人材育成は必須である。周囲の無理解から二次障害になるケースをいかに防げるのか、という点も重要ではあるが、そもそも「無理解」がなくなれば、何ら問題が生じず、むしろ多様な考え方や視点が自然に身に付いている社会はきっと誰もが居心地がよいはずなのである。

◆声を上げて共存を

2014年の障害者権利条約の批准から考えても、差別解消法の制定や障害者雇用率の引き上げ、合理的配慮に対する企業の取り組みの加速化は、支援が必要な人がこの社会に確実に存在し、それらの当事者と共存していくマインドを形成してきた。このマインドの醸成に向けての相談も増えてきた。

これまでは「うちにはLGBTQがいないから大丈夫」という意見が出ていたが、「いないのではなく、声が上げられないだけ」であること、それは社内だけではなく社会全体の取り組みであることを認識しなければならない。

さらに、オンラインでどこでもつながれる環境が整いながらも、これら性的少数者などの新しい枠組みに関する対応は都市と地方との間での情報格差も存在する。それは「直接に対面していない」のが大きい。地方の支援態勢も手薄と言われる中で、今回の取り組みに呼応する地方でまた新しい声が上がってくることを期待したいとも思う。

コメント

コメントを残す