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金属資源の現状と資源メジャーと比較した日本の金属鉱山事業
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第241回

5月 12日 2023年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

oバンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住25年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

人類の歴史を振り返ると、民族や国家の繁栄には鉱物資源が深く結び付いていることがわかる。紀元前17世紀から13世紀にかけてアナトリア(現在のトルコ)、メソポタミアで覇権を築いたヒッタイト王国。ヒッタイト人は製鉄技術を有し鉄器、特に鉄製車輪を擁した騎馬戦車を使って近隣諸国を制覇したのである。日本も決して蚊帳(かや)の外ではなかった。13世紀に中国などを旅行して「東方見聞録」を記したマルコポーロ。彼はその著書の中で日本のことを「黄金の国ジパング」と称した。当時金銀を豊富に採掘していた日本は西洋人にとって夢の国であったのであろう。その夢を追いかけて、コロンブスが豊富な銀鉱山を有する新大陸アメリカを発見したのも歴史の奇遇である。さらに日本では16世紀になると戦国時代を迎えるが、佐渡金山を持つ上杉謙信と甲斐金山を持つ武田信玄が覇権を競い合ったことからも鉱物資源の重要性がわかる。

ところが現在の日本にはほとんど鉱山が残っていない。文明開化・富国強兵の明治時代に開発された国内鉱山は経済合理性の下でその多くが閉鎖され、それとともに日本人の多くは鉱物資源の重要性を忘れつつあるように感じられる。欧米諸国は資源メジャーを通して鉱物資源の権益を保有。一方、中国は国策として資源保有国に技術・資金援助を行い、権益の拡大を図っている。今回は、こうした資源をめぐる世界各国の動きをデータを通して解説していきたい。

1.はじめに

人々の生活や産業活動において、資源の利用は欠かせないものとなっている。なかでも鉱山資源は、近代社会の発展に大きく影響しており、スマートフォンや携帯タブレットなどといった日常生活に浸透している製品には、鉱山から採掘された数多くの金属が使用されている。

鉱山とは、地中に存在する有用鉱物資源を採掘する事業場の総称を指す。石炭や石油を採掘する事業場も広い意味では鉱山であるが、前者は炭鉱、後者は鉱場と称して鉱山とは区別することが多いことから、このレポートでは主として金属鉱山に関して記述する。

2.金属の種類と生成について

(1) 金属の種類について

【図表1-①】金属の種類

※非鉄金属の埋蔵量は、表に記載の非鉄金属(アルミニウムを除く)にコバルト、リチウム、レアアース、マンガン、モリブデンを加えた15元素の合計値

(出所)一柳朋紀『非鉄金属業界大研究(第2版)』などを基に筆者作成

【図表1-②】主な金属の特徴・用途

※レアアースは、31鉱種あるレアメタルの一種で、17種類の元素(希土類)の総称消費量は開示なし

(出所)独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構の資料を基に筆者作成

金属は、産出量の違いから鉄と非鉄金属に二分され、そのうち非鉄金属は、その産出量の多寡や希少性などから3種類に分けられる。

鉄は、「産業のコメ」と比喩(ひゆ)されるように、生産規模は他の金属と比較しても圧倒的な規模であり、数多くの金属製品に使用されているが、非鉄金属においても導電性や耐久性などといった各元素の特徴を生かし、数多くの製品に使用されており、現代の産業には不可欠なものとなっている。

(2) 鉱物の生成について

【図表1-③】大地形の分布と銅の埋蔵地域

(出所)筆者作成         (出所)アメリカ地質調査所の資料より筆者作成

金属鉱物は、地球上に均一に散在するのではなく、多くはマグマ活動によって生じた熱水によって運ばれた金属元素が特定の条件下で鉱物として結晶化、沈殿することで生成され鉱床を形成するため、生成地域に偏在性がある。

非鉄金属の多くは上述の要因により生成されるが、アルミニウムの元となるボーキサイトは、岩石が降雨や大気熱の作用により長い年月をかけて風化されることで生成されるなど、生成の仕組みは様々である。

また、鉄は、地球誕生時におけるプランクトン(シアノバクテリア)の光合成により、酸素が生成された際に、鉄と結合し固体の酸化鉄となって海底へ堆積(たいせき)したものが地殻運動の隆起により地上に現れたことで、地表上の鉱床として形成されたと考えられている。

鉱床の偏在について、詳細は明らかにされていないものの、銅は新規造山帯、ボーキサイト鉱床は高温多雨の熱帯地方、鉄は安定陸塊(りくかい)に沿って分布するなど、一部鉱床については生成と産出地域の傾向が判明している。

(3) 金属ができるまでの過程

【図表1-④】金属の製造過程(銅の場合)

(出所)独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構および日鉄鉱業㈱の資料より筆者作成

鉱山から採掘された鉱石は、そのままの状態では産業利用できないことから、選鉱や製錬といった金属抽出工程を通じて、金属品位を上げるための加工がされる。

日本においては、一般に鉱石または精鉱を海外から輸入し、国内の製錬所において地金に加工している。

3.鉱物の埋蔵量、生産量、今後の需要予測など

(1) 埋蔵量

【図表2-①】鉱物埋蔵量の内訳と総量

(出所)アメリカ地質調査所の資料より筆者作成

上述の2で示したとおり、鉱物の生成は特定地域に偏在しているため、産出国にも大きく偏りが生じている。各鉱物の埋蔵量は、上位5か国で過半を占めるものが多くみられ、コバルト、プラチナといった極端なケースでは、1か国で埋蔵量の半分、または全量近くを占めるものも存在する。

一方、埋蔵量については、現時点において採算可能な鉱物の埋蔵量(可採埋蔵量)であることから、米国や豪州といった、現在、鉱山運営が盛んに行われている国が上位にランクインしやすい傾向があるほか、将来的に採掘技術の発展や低コスト化が図られれば、可採埋蔵量が増加する場合もあり、一部鉱物については、過去の数値から増加しているものが見られる。

(2) 生産量(供給)

国別の生産状況については、下図のとおり。

【図表2-②】鉱石および地金の年間生産量

(出所)独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構の資料より筆者作成

鉱石の生産国は、概ね埋蔵国と同様であるものの、地金生産においては、中国の存在感が目立つ。地金を生産するための製錬過程においては、大量の電力を要するほか、廃棄物・排出物の処理といった環境負荷が相応にかかることから、環境規制が緩いとされる中国への偏りが生じている。

(3) 消費量(需要)の推移

【図表2-③】主要金属地金の消費増加率(2000年を100とした場合)

※鉄は鉄鋼完成品の見かけ消費量ベース

(出所)独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構、世界鉄鋼協会の資料より筆者作成

金属の消費量について、20年前の2000年時点と比較した増加量は鉄やニッケルで2倍以上、その他金属についても1.5倍以上に増加している。

主要な消費国は中国であり、20年間における経済発展に伴って消費量が増加した結果、主要ベースメタルである銅、亜鉛、鉛においては、消費全体の半数を中国が占めている状況となっている。

【図表2-④】IEAによる金属需要予測

(出所)IEAの資料より筆者作成

金属の消費量について、20年前の2000年時点と比較した増加量は、中国が全体を押し上げる形で鉄やニッケルで2倍以上、その他鉱石についても1.5倍以上に増加している。

国別の消費量推移をみると、日本や欧州といった先進国の増加量は比較的緩やかである一方、中国、インドの増加量は、世界全体の増加量を上回るペースで進捗(しんちょく)していることから、発展途上段階にある国における消費が活発化している。

また、IEA(国際エネルギー機関)では、環境を配慮した持続可能社会の形成のために、金属の消費量が増加するとの予測を立てており、バッテリーメタルと呼ばれる銅、ニッケル、コバルトにおいて、現在稼働している鉱山および探鉱中鉱山の埋蔵量をベースとした試算では、それぞれ2030年までに需要が供給を上回る見通しであるとしている。

4.日本の鉱物調達について

 (1) 日本の鉱業の歴史

【図表3-①】日本の金属鉱山数の推移

(出所)経済産業省資源エネルギー庁の資料より筆者作成

【図表3-②】日本の主要鉱山および非鉄製錬所(2021年4月1日時点)

(出所)日本鉱業協会

鉱物は、上記のとおり、マグマ活動などにより形成されることから、プレート運動が活発な日本においても数多くの資源が確認されている。

日本における最古の鉱山は山口県の長登(ながのぼり)銅山または鳥取県の荒金(あらかね)鉱山とされており、両鉱山で採掘された銅が東大寺の大仏鋳造(ちゅうぞう)に使われている。以降も各地で産出された銅は、貨幣や仏教用具需要に対して供給され、江戸時代では、国内で産出された金・銀・銅は貴重な貿易品として海外に多く輸出された。

明治時期になると富国強兵の政策の下、鉱山開発が活発に進められ、全国的に鉱山が開発されたが、高度経済成長期以降になると、海外から安価な資源の調達が可能となり、国内鉱山のコストが割高となったほか、資源の枯渇などにより、国内での鉱物採掘は次第に縮小され、現在、商業規模で運営される金属鉱山は鹿児島県の菱刈鉱山(金鉱山)のみとなっている。

(2) 輸入状況

【図表3-③】主な金属資源の輸入国相手

(出所)独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構の資料より筆者作成

日本における金属調達は、現在、そのほとんどを海外から輸入に依存している。

亜鉛や銅鉱石については、生産上位国に中国がランクインしている一方で輸入国相手にはランクインしていないが、これは、生産されたほとんどが国内で消費されるためである。

そのほか、ニッケルについて、マダガスカルが生産国上位ではないものの、輸入の側面では、存在感を示しているが、これは、後述の日本企業による同国へのニッケル鉱山の出資が影響しているものと考えられる。

以上のように、生産国との輸入相手国に違いが見受けられるものの、上位5か国で輸入全体の8割強を占めるなど、特定の国に依存している状況であり、これら輸入国相手の鉱山運営体制や外交状況の動向によっては、必要量の確保が困難になるリスクを孕(はら)んでいる。

実際に2011年には尖閣諸島をめぐる中国との外交上の問題から、レアアース輸入が大きく減少し、供給不足問題に陥ったケースもあるため、継続的な安定調達のためには、輸入国相手との良好な関係の構築が必要であると考えられる。

(3) 調達方法

【図表3-④】形態別銅鉱石輸入割合の推移

(出所)独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構の資料より筆者作成

海外からの輸入に頼る状況下、国内への安定供給を図るため、単に鉱石を買い取るのではなく、商社や非鉄金属メーカー等が鉱山の権益を確保し、出資相当分の供給を受けることが可能な資本参加型の調達割合が増加している。

各社の保有状況については、鉄、銅、亜鉛、鉛といったベースメタルが産出される鉱山への出資が大宗を占めている一方、住友商事、住友金属鉱山ではニッケル鉱山への出資も行っている。なかでも、住友商事が出資するマダガスカルのアンバトビー鉱山から生産されるニッケルは、日本のニッケル輸入の1割強を占める調達先となっている(図表3-③参照)。

【図表3-⑤】日本の都市鉱山蓄積量

(出所)国立研究開発法人物質・材料研究機構

資本参加以外の調達方法として、日本では都市鉱山からの金属再調達に取り組み、金属自給率の向上を図っている。

都市鉱山とは、都市から大量に廃棄される電子機器などの中に存在する有用な金属資源(レアメタルなど)を鉱山に見立てた言葉であり、都市に眠る廃棄対象の電子機器から金属資源を再生し、有効活用するものである。

日本の都市鉱山による蓄積量は、世界全体の埋蔵量のうち20%以上を占める金属があるなど、国内需要を補完するものとして期待されているが、資源を集中して確保可能な体制が十分に構築されていないこと等から、国内自給を即時に達成できる状況にはない。

5.資源メジャーとの比較について

(1) 資源メジャーとは

【図表3-⑥】資源メジャーの定義

(出所)独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構

明確な定義はないが、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構によると、上表の七つの事項に該当する鉱物資源開発企業を資源メジャーと定義している。

鉱物の生産量を例にとると、鉄鋼石においては、上位5社で全体の7割強のシェアを有するなど大きな存在感を示している。

(2) 商社、非鉄金属メーカーとの比較

イ.沿革の比較

【図表3-⑦】主な資源メジャー企業の概要

(出所)各社IRレポートなどの資料より筆者作成

【図表3-⑧】総合商社および非鉄金属メーカーの概要

(出所)各社IRレポートなどの資料より筆者作成

【図表3-⑨】総合商社および非鉄金属メーカーの保有状況

(出所)各社IRレポートなどの資料より筆者作成

総合商社および非鉄金属メーカーにおいても、創業は鉱山事業を祖業とする企業が多く、1880~1890年ごろにおける官営鉱山の払い下げにより資金力のある財閥がこれら国内鉱山を取得したことが鉱山運営の始まりである。したがって、①創業開始年時期および②資産家が事業を開始した――という2点において、資源メジャーと大きな遜色(そんしょく)はない。

しかしながら、その後の鉱山経営について、資源メジャーは積極的な企業買収などにより、国際展開を進めた一方で、日本企業は1970年前後に国内鉱山の限界を迎えた後に海外鉱山に一部出資する形でグローバル展開を開始した点において、違いが見られる。

そのほか、出資参画割合についても、日本企業において、過半出資以上の割合で参画する鉱山数は限定的であるものの、資源メジャーにおいては全体の7~8割以上が過半以上を出資する鉱山であり、主導権を有している点について、大きな違いが見られる。

ロ.鉱山事業の立ち位置

【図表3-⑩】日本企業と資源メジャーの鉱山関連のビジネスモデル

(出所)各社IRレポートなどの資料より筆者作成

図表3-⑦、⑧で示したとおり、日本企業各社において、鉱山事業は多角的に事業展開する中での1事業であるか、最終製品の製造まで手掛けているなかでの川上事業としての1事業であるのに対して、資源メジャーにおいては、鉱山事業を主業とし、製錬・地金の販売までに留まる企業が多く、日本企業および資源メジャーにおける鉱山事業の立ち位置も異なる。

したがって、図表3-⑨のように鉱山開発の規模が異なるものと考えられる。

ハ.決算比較

【図表3-⑪】事業規模の比較(百万米ドル)

(出所)各社IRレポートなどの資料より筆者作成

会社全体の売上高を比較すると、総合商社の事業規模は資源メジャーと遜色ない規模であるものの、金属(鉱山)事業関連のみと比較すると事業規模に倍以上の開きが見られる。

設備投資においても、資源メジャー各社は50億米ドル前後(約6500億円)を拠出しており、投資規模も大きい。

【図表3-⑨】日本企業(総合商社、非鉄メーカー)の当期利益推移(億円)

※鉱山事業が属するセグメントの売上および当期利益を表示

※三菱マテリアルはセグメント別の当期利益の開示がないことから経常利益を表示

※住友金属鉱山は全社売上および当期利益を表示

(出所)各社IRレポートなどの資料より筆者作成

・日本企業

(商社)

権益保有する鉱山は、鉄鉱石・銅が中心となっており、住友商事はこのほか、亜鉛およびニッケル鉱山を保有している。

一部を除き、2014~2015事業年度において、中国経済の減速に伴う鉱物の市場価格の下落により、鉱山の価値見直しが図られた結果、減損損失が発生し、赤字を計上した。

最近の数か年においては、市場価格の上昇や生産量の拡大により、増収基調で推移している。

各社の中長期経営計画によると、持続可能社会の進展を見据え、銅・ニッケル・リチウムへの取り組み強化を図る会社が複数あるほか、鉄の代替素材として注目されるアルミ事業への強化に対する言及も一部でみられる。

(非鉄メーカー)

商社同様、現状では売上高は増加基調にある。両社は国内に製錬所を有しており、既存の製錬所の能力増強を図ることで、将来の堅調な予測がされる需要に対応を図る計画を打ち出している。

住友金属鉱山では、新規鉱山の投資(ケブラダ・ブランカ2,コテ)を決定しており、三菱マテリアルについても、投資費用が抑えられるプロジェクト初期段階からの権益出資を計画しており、鉱山出資の拡張が見込まれる。

そのほか、両社は、下流事業にあたるリサイクルを手掛けていることから、再資源事業の強化を図る計画もある。住友金属鉱山は、使用済みEVバッテリーのリサイクルによる再資源化(銅、ニッケル、リチウム)、三菱マテリアルにおいては、オンラインによる廃電子基板の受入サービスを2020年から開始しており、都市鉱山からの金属調達に注力している。

【図表3-⑩】資源メジャーの当期利益推移(百万米ドル)

※Glencore社は鉱山関連売上および当期利益を表示

※その他は全社売上および当期利益を表示

(出所)各社IRレポートなどの資料より筆者作成

・資源メジャー

企業によって注力する鉱物が異なっており、直近決算年度において売上高が多いセグメントは、鉄鋼石(BHP、Rio Tinto、Vale)、貴金属(Anglo American)、銅(Glencore)となっている。

2014~2015年における中国経済の減速による影響は、日本企業と同様に資源メジャーも受けており、そのほか、Glencoreについては、企業買収を重ねることで業容拡大した背景から、買収企業やプロジェクトの減損損失発生による最終赤字を複数事業年度において計上している。

事業計画では、環境配慮社会への移行に伴い需要増加が見込まれる銅・ニッケルを中心としたプロジェクト参入計画が多い。また、日本企業以上に積極的な鉱山投資展開を図る記載が見受けられ、Rio Tintoにおいては、7鉱石18か国において、初期探鉱活動を展開している。

6. まとめ

①金属はそれぞれの特徴を生かし様々な使途のある近代産業には欠かせない資源であるが、地球の地殻運動およびマグマ活動などにより生成されるため、偏在性があり、どこでも好きに採掘できるわけではない。

②日本は、金属資源を海外からの輸入に頼る状況にある。金属は特定地域に偏在していることから、調達の安定化のためには、埋蔵国・輸入相手国との良好な交友関係を構築する必要がある。

③金属の消費は、足許20年間で大きく増加しており、なかでも中国・インドにおいて大きな増加が見られるなか、環境配慮の持続的な社会への移行に伴い、EV等に利用される金属の更なる消費増加が見込まれている。

④金属は、枯渇性資源であることから、埋蔵量には限界がある。足許の消費増加に伴い、一部金属については、2030年までに需要が供給を上回る予測がされている金属もあることから、対象鉱石発掘のための鉱山開発の活発化が予測される。

⑤日本において、各種鉱石は国内でも盛んに採掘されていた。国内鉱山は、資源の枯渇や高コスト化のために次第に閉山されたために、コストの低い海外資源にシフトし、海外鉱山の権益を有することで安定調達を図っている。

⑥日本企業は、鉱山開発を専業とする資源メジャーと比して鉱山事業の規模が小さい。資源メジャーは早期から海外進出や企業買収により権益の取得拡大を図っていた一方で、日本企業は国内鉱山が枯渇した後に海外進出を本格化したために、グローバル展開が出遅れたことが一因と考えられる。

⑦鉱山事業は、市況影響を大きく受けることから、多額の赤字を計上する場合もあり、利益のボラティリティー(変動率)が高い事業であるが、各社は、今後の環境配慮型社会を見据え、銅やニッケルといった鉱山開発の拡大やリサイクル事業の拡大を図る計画であり、鉱石調達のための各種アプローチは、今後も積極的に行われるものと思われる。

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