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喫緊の課題 日本の教育制度改革を考える
『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第205回

11月 05日 2021年 経済

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小澤 仁(おざわ・ひとし)

o バンコック銀行執行副頭取。1977年東海銀行入行。2003年より現職。米国在住10年。バンコク在住23年。趣味:クラシック歌唱、サックス・フルート演奏。

過去30年にわたる日本経済の長期の低迷は、コロナ禍による経済苦境と相まって日本の賃金の低さを浮き彫りにした。身近に迫った生活苦の恐れから、ようやく多くの日本人がこの「相対的貧困」という事実に気づくこととなった。しかし日本人の貧しさの原因を「中国元凶の資源高」や「悪い円安」などの一過性の問題にすり替えようとする論調がマスコミの中で後を絶たない。そもそも日本の貧しさの根本要因は「日本の製品やサービスが世界的な競争力を失った」ことにある。さらに「円安誘導などで実質ダンピング(価格引き下げ)を行ってきた延命策のコストを日本国民全体で分担させられてきた」結果、日本人総体が貧しくなってきたのである。いまや日本の1人当たりの購買力平価GDP(国内総生産)は世界193か国中33位となっており、2018年には隣国の韓国に抜かれてしまった。

日本人が豊かさを取り戻すためには、なによりも日本の製品やサービスの競争力を向上させることが必要である。民間レベルでは経営方針の見直しや人事制度の改革など複合的な施策の動員が必要となる。一方、日本全体としては30年間全く効果を生み出さなかった政府の成長戦略の抜本的見直しが必要である。その中心的施策の一つが「日本製品やサービスの競争力向上」を担保するための教育制度改革にあると私は考えている。今回は日本の教育の現状を振り返るとともに、改革の要諦について考えていきたい。

1. はじめに

日本はGDP世界第2位の地位を長年保ってきたが、2010年に中国に抜かれ、その後アメリカや中国との差は拡大している。1人あたり購買力平価GDPにおいては、直近2020年の数値や対2000年比増加率がシンガポール、オランダ、欧米先進国に比べて低い水準である。

【図1】名目GDPの長期推移     【図2】1人あたり購買力平価GDP 

出典:IMF World Economic Outlook(図1、図2)

日本のGDP成長率を要因分解すると、労働生産性の中で労働の質(従業員スキルなど)の貢献度が小さい。日本の人口は右肩下がりの推移が見込まれ、労働人口や総労働時間の増加が困難であるため、労働生産性、その中でも労働の質を高めることは重要である。

【表1】日本のGDP成長率(1995年~2018年)の要因分解

【図3】日本の人口推移と将来予測

出典:経済産業研究所 JIPデータベース2021(表1)

出典:United Nations World Population Prospects 2019(図3)

労働の質に関係するランキングとして、スイスの国際経営開発研究所(IMD)が2013年以降、毎年発表している人材競争力ランキング(図4)をみると、日本は直近2020年で第38位となっており、低迷が続いている。その詳細項目(表2)において、日本は「言語能力」「経営教育」など教育に関連するものが順位を押し下げ、ランキング上位のシンガポールは「初等教育・中等教育」「大学教育」など教育に関連する項目が順位を押し上げている。したがって、教育は労働の質に関連していると考えられ、持続的な経済成長のために、教育の果たす役割は大きいと言える。

【図4】人材競争力ランキング      【表2】人材競争力ランキングの詳細項目

出典:IMDのHP(図4、表2)

2. 日本の教育の現状

2-1 初等教育・中等教育

特徴としては、教育の均質化が挙げられる。教育の機会均等の理念に基づき、公立義務教育諸学校の学級編成基準と教職員定数が法律で定められており、学習指導要領に沿ったカリキュラムが編成されている。

2000年以降では、2002年に「ゆとり教育」(授業時間の縮減、総合的な学習の時間の導入)、2011年より「脱ゆとり教育」(授業時間の増加)の実施など学習指導要領の変遷がみられた。一方で、それに伴った高等教育制度(大学入試制度を含む)の変化は乏しく、高等教育と連動した取り組みにはなっていないと言える。また、2020年から英語教育の改革(小学校3年生からの英語教育の開始、中学校の英語授業は英語で行うなど)、小学校でのプログラミング教育の必修化など新たな取り組みを進めている。

2-2 高等教育

 25歳~34歳の高等教育修了者割合は高く(図5)、教育の均質化の成果が表れている指標の一つと考えられる。一方で、修士号や博士号といった専門職学位を取得している人口あたりの人数は少なく、かつ減少傾向を示している(図6)。

【図5】OECD各国の25~34歳の高等教育修了者割合(2019年)

出典:OECD Statistics

【図6】 人口100万人あたり修士号・博士号取得者数(新たに取得した者)

出典:日本・アメリカ・中国のデータは文部科学省 科学技術・学術政策研究所「科学技術指標2020」を基に、筆者が加工・作成。オランダ・シンガポールのデータは、DUO (Education Executive Agency)、CBS (Statistics Netherlands)、The World Bank、シンガポール統計局のHPを基に、筆者が加工・作成

イギリスのクアクアレリ・シモンズ社が毎年発表している世界大学ランキング(以下、QS大学ランキング)において、日本の上位大学の順位をみると、東北大学を除いては概ね横ばいか低下傾向で推移している(図7)。また日本の上位5大学と全体の上位5大学と比較すると、「留学生比率」や「外国人教員比率」の点数が低くなっている(表3)。

【図7】日本の上位大学のQS大学ランキング推移

【表3】2022年度QS大学ランキング

出典:クアクアレリ・シモンズ社HP(図7、表3)

実際、東京大学と他国の上位大学を比べると、当該二つの指標は低い水準にある(図8)。また、国全体での外国人留学生比率をみると日本は中国より高いが、アメリカ、オランダ、シンガポールより低い(図9)。これらの指標は大学における国際性の乏しさを表しており、「国際経験」「言語能力」といった人材競争力ランキングの下位項目にも関連性がある。

【図8】留学生比率及び外国人教員比率(2021年)

出典:U.S. News & World Reportを基に、筆者が加工・作成

【図9】外国人留学生比率

出典:UNESCO Institute of Statistics

3. 各国の教育との比較

比較対象国は、1人あたり購買力平価GDP(図2参照)が高い国として、アメリカ、シンガポール、オランダ、その増加率が高い国として、中国の合計4か国を取り上げたい。

3-1 アメリカ

  • 初等教育・中等教育

【表4】日本との教育制度の比較、アメリカにおける教育制度の主な歴史

州に権限移譲され、多様な教育形態が認められているのが特徴である。一方で、1990年代以降は連邦政府が教育目標を提示し、州に説明責任を要求するなど関与を強めてきている。背景には1980年代の国際競争力の低迷、教育水準の低さを指摘した報告書があり、経済回復のために教育政策を行ってきたと言える。1990年代以降の教育政策は全体の底上げを意図しており、高等教育機関における教育や研究の質の向上にも貢献するものである。

(2)高等教育

QS大学ランキングにおいてトップ100にランクインしている大学数をみると、日本の5大学に対し、アメリカは27大学(世界第1位)である。また、外国人留学生比率においては日本との差は0.5%程度と小さいが(図9)、外国人留学生数をみると直近2018年は日本が18万2748人、アメリカが98万7314人と約5.4倍の差がある(UNESCO〈国連教育科学文化機関〉Institute of Statisticsのデータより)。収入構造をみることで、こうした要因を分析したい。

私立大学の収入構造を比較すると、日本は「学納金」の依存度が高いが、アメリカはそれほど高くなく、多様な収入源を確保していることが読み取れる。また、アメリカの州立大学及び私立大学は「寄付金・運用収入」の割合が日本よりも高い。

【図10】国立・州立大学の収入構造比較(付属病院除く)

【図11】私立大学の収入構造比較(付属病院除く)

出典:文部科学省 諸外国の教育統計(2021年度)(図10、図11)

図12より、スタンフォード大学の収入構造においても同様に「寄付金・運用収入」の割合が高く、それは事業収入が大きい一つの要因であることを示している。同大学では1991年より大学基金専用の資産管理会社で運用を行っている。寄付金は研究資金、学生支援金、各種施設への設備投資資金などとして利用されている(図13)。直近2020年8月期の基金からの取り崩し額は1491億円(1ドル=110円換算)であり、これは大学経費の22.3%を賄っている(東京大学基金の2019年3月期取り崩し額は26億円で対経常支出割合は1.1%)。また、表5よりアメリカでは私立大学だけではなく、州立のカリフォルニア大学バークレー校の大学基金の規模も日本の大学に比べて大きいことが分かり、日本の大学よりも多額の運用収入が見込まれる構造になっている。以上により、寄付金とその運用を含めた多様な収入源の確保が、研究開発、学業支援、学習・研究環境の充実に寄与しており、世界から学生や教授を集めることにもつながっていると考えられる。

【図12】個別大学の収入構造比較(付属病院除く)

2020年8月期スタンフォード大学決算書、2020年3月国立大学法人東京大学決算書、2020年度慶応義塾大学事業報告書を基に、筆者が加工・作成

【図13】スタンフォード大学の寄付金の使途【表5】大学基金の残高

出典:2020年8月期スタンフォード大学決算書(図13)

出典:ハーバード大学HP、スタンフォード大学HP、カリフォルニア大学バークレー校HP、東京大学基金活動報告書2019、慶応義塾大学HP(表5)

3-2 オランダ

  • 初等教育・中等教育

【表6】日本との教育制度の比較、オランダにおける教育制度の主な歴史

「教育の自由」の原則に基づき、生徒個人に合わせた教育制度が発達している。小学校では、生徒自身が興味や理解度に合わせて学習内容を選択できる。こうした教育制度の中で、高等教育にもつながる重要な点は初等教育段階での英語教育である。英語能力測定試験TOEFL iBTの国別平均スコアをみると、オランダは対象170か国の中で第2位の好成績である(日本は第146位で、特にスピーキングに関しては対象国の中で最下位)。オランダにおいて英語教育は10歳から必修となるが、多くの学校では小学校1年生から開始。英文法は中等教育以降で学ぶことになっており、小学校では話すことに重点を置き、楽しみながら主体的に学習するスタイルになっている。日本の伝統的な英語教育のように英文法から学び、和訳や英訳を重視するものとは異なる。表7のようにリスニングとスピーキングで両国の差が大きいのも初等教育段階での英語教育が影響しているとみられる。

また、日本と比べると英語教員の質が高い点も特徴である。オランダの教員教育コースの入学にはCEFRのB2レベル(実務対応が可能な準上級者、英検準1級相当)が必要となっている。日本でも中学校と高等学校の英語教員はCEFR(外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠)のB2レベルを目安としているが、文部科学省「英語教育実施状況調査」によると2019年時点で目安レベル以上のスコアなどを取得している中学校英語教員は38.1%、高等学校英語教員は72.0%となっており、教員の英語力にも差があることを示している。

【表7】TOEFL iBTテストの国別平均スコア(2019年)

Educational Testing ServiceのHP

 (2)高等教育

高い英語力を背景にオランダの大学では国際化が進んでいる。QS大学ランキングをみると、オランダの上位大学は日本の上位大学に比べ、「留学生比率」や「外国人教員比率」の点数が高い。アムステルダム大学では学士課程17、修士課程58と多くの英語プログラムを提供しており(東京大学の英語プログラムは学士課程2、修士課程20)、外国人留学生や外国人教員をひきつけることができている。そこには、語学レベルが高いことで教育や研究を行いやすい環境であることも影響していると言える。

【表8】2022年度QS大学ランキング(オランダと日本の上位大学)

出典:クアクアレリ・シモンズ社HP

日本の海外への留学生数は、2010年4万256人から2018年3万1903人と減少傾向。一方、オランダは2010年1万2622人から2018年1万7560人と39.1%の増加。また、2018年の海外留学生比率(海外に留学している学生の割合)では日本の0.83%に対し、オランダは1.97%となっている。両国における学生の海外志向の差にも英語力が影響していると考えられる。

【図14】海外への留学生数及び海外留学生比率

出典::UNESCO Institute of Statistics

3-3 シンガポール

(1)初等教育・中等教育

【表9】日本との教育制度の比較、シンガポールにおける教育制度の主な歴史

多民族・多言語が共存する社会構造にある中で、エリート教育のために、二言語政策やストリーミング制度による能力主義の教育を実施してきた。教育費の対政府支出割合は2013年度で28.8%と日本の9.3%に比べて高く(UNESCO Institute of Statisticsのデータより)、教育が重要な国家政策になっていることを示している。

(2)高等教育

QS大学ランキングにおいてシンガポール国立大学、南洋理工大学はアジア第1位、2位になっている。「留学生比率」や「外国人教員比率」の点数が高いが、その要因の一つは、初等教育からの言語政策にあるとみられる。大学においては基本的に英語で授業が行われているが、二言語政策で初等教育段階から英語を重視してきたため支障なく進めることを可能にしている。オランダ同様、英語力の高さは外国人留学生の受け入れ、外国人教員の招聘(しょうへい)につながっていると言える。

【表10】2022年度QS大学ランキング(シンガポールと日本の上位大学)

出典:クアクアレリ・シモンズ社HP

また、教員の給与水準の高さも優秀な外国人教員を招聘する上でインセンティブになり得る。シンガポールの大学講師の平均年収は日本の大学教授の平均年収よりも高い。日本では、東京大学や京都大学の教授の平均年収も全体の平均と大きく変わらない水準で、東京大学の教授の中での最高額でさえシンガポールの大学講師上位25%の水準に満たない。優秀な教員の確保という面ではシンガポールの優位性が認められる。

【表11】大学教員の平均年収

出典:シンガポール統計局HP、政府統計ポータルサイトe-Stat、東京大学HP、京都大学HPを基に、筆者が加工・作成

外国人留学生向けの政府奨学金制度をみると、日本の方が手厚い内容であるが、シンガポールは留学生に限らずほぼ全学生を対象にしている。ただし、政府奨学金を利用したシンガポール永住者と外国人留学生は卒業後3年間、国内での就労が義務付けられており、優秀な国内人材の海外流出防止、外国人留学生の国内の労働市場への取り込みが目的として読み取れる。言語政策の面で初等教育・中等教育と高等教育でのつながりがみられ、そして各種政策は教育を通じて優秀な人材を育成し国内経済の発展に生かすという意図を反映している。日本に比べて初等教育から高等教育までの各制度・政策の関連性が強いと考えられる。

【表12】外国人留学生向けの政府奨学金制度の概要

出典:文部科学省HP、シンガポール教育省HP等を基に、筆者が加工・作成

3-4 中国

(1)初等教育・中等教育

【表13】日本との教育制度の比較、中国における教育制度の主な歴史

 日本と比べると教育制度の整備は遅かったが、改革開放政策以降に義務教育制度の整備が進み、教育の大衆化や一人っ子政策による教育熱の高まりを背景に受験戦争が激化。政府は「応試教育」から「素質教育」への転換を図っているが、「高考」と呼ばれる大学入試に向けた宿題や補講は多く、OECD(経済協力開発機構)の2012年調査によると、15歳の1週間あたりの平均宿題時間は上海が13.8時間、日本が3.8時間となっている。

(2)高等教育

義務教育制度の整備を行った後に、高等教育の強化に着手してきており、それは研究開発費の伸びにも表れている。大学部門では政府からの支援を元手に研究開発を拡大している。

【図15】大学部門の研究開発費と政府負担割合

出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所「科学技術指標2020」を基に、筆者が加工・作成

この政府からの支援は中国政府が指定する国家重点大学に対して優先的に行われてきた。1995年以降の「211工程」及び「985工程」において、世界一流レベルの大学を育成するために、重点的に支援を行う大学を指定。特に清華大学と北京大学に対しては、1999年から2001年の3年間に通常の大学経費とは別に各18億元(当該期間の為替レートは1元=13円から15円程度であり、日本円換算では3年間で234億円から270億円程度)が支給された。日本で2014年に開始したスーパーグローバル大学創成支援事業においては、トップ型に採択された13校には最大で毎年4億2000万円が10年間毎年支給されるものであるが、それに比べると、中国の重点支援大学への支援規模は大きい。

表14よりQS大学ランキングのトップ100にランクインしている大学数は増加しており(ランクインはいずれも国家重点大学)、重点支援を受けてきた清華大学と北京大学は直近2022年度で東京大学より上位になっている。表15より両大学は日本の上位大学に比べ、「教員1人あたり被引用論文数」といった研究の分野、「外国人教員比率」といった国際性の分野の点数が高い。また中国全体の外国人留学生比率は0.4%と低いものの(図9参照)、両大学の「留学生比率」の点数は日本の上位大学並みかそれ以上の点数である。国家重点大学に対する資金支援が研究の充実や大学の国際化に寄与していると考えられる。

【表14】QS大学ランキングのトップ100にランクインしている大学数

【表15】2022年度QS大学ランキング(中国と日本の上位大学)

出典:クアクアレリ・シモンズ社HP(表14、表15)

また、国際性という観点でアメリカへの留学生推移をみると、2000年以降日本が減少しているのとは対照的に増加推移。直近2019年の留学生数をみると、日本は1万7554人であるのに対し、中国は37万2532人、対2000年比増加率をみると日本はマイナス62.2%であるのに対し、中国はプラス521.5%となっている。アメリカにおける留学生の国別シェアは中国が世界最大であり、2019年では34.6%である。教育の大衆化や高学歴化により海外の学位を志向する学生が増加していることを反映している指標と言える。

【図16】アメリカへの留学生数、アメリカにおける留学生の国別シェア

出典:Institute of International Education 「Open Doors」

4. まとめ

・人口減少が見込まれる日本経済において、今後の経済成長のためには教育を通じて労働の質や労働生産性を高めることが重要である

・日本では、高等教育の修了者割合は高いが、修士号・博士号まで取得している人数は少ない。大学の国際化が課題の一つであり、それは人材競争力にも関連している

・各国との比較より、日本では以下のような取り組みを行うことが有効である

①初等教育でのコミュニケーションを重視した英語教育、ネイティブ教員の活用

英語力の低さは大学の国際化、海外志向の低迷の要因にもなっており、オランダのようにコミュニケーションを重視した英語教育を小学校の早期段階から始める。教育の質を高めるためにネイティブ教員を積極的に登用することも検討する。

②各教育政策・制度の関連性強化

初等教育・中等教育における改革に伴った高等教育制度の変化は少なく、シンガポールのように関連性や意図をもった教育政策を実施することが重要である。現在強化を図っている英語・プログラミング教育に対応した高等教育の制度設計を行う。

③大学における財源の多様化

国立大学は政府からの支援、私立大学は学納金収入の依存度が高いが、政府支援の大幅な増加は見込まれず、また人口減少に伴う学納金収入の減少も見込まれる状況である。アメリカの寄付金・運用収入のように、これらに依存しない収入構造を構築する。

④重点支援先への優先的な予算配分

政府予算が限られる中で、一律で支援額を増やすことは困難であり、中国のように重点先に対して多額の支援を行うことが一策。スーパーグローバル大学などで重点支援先を設けているが、こうした先の支援額を拡張し、また実効性を高める。

⑤大学教授の給与水準の見直し

大学教授の平均給与はシンガポールに比べて低く、優秀な外国人教員の招聘を行うにあたって障害となっている。大学ランキング上位の東京大学や京都大学でも全体の平均並みの水準となっており、優秀な教授への大胆な給与提示などを含め、給与制度を見直す。

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